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鴨長明と寂蓮 コレクション日本歌人選

小林一彦

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784305706492
ISBN 10 : 4305706490
Format
Books
Publisher
Release Date
September/2012
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

時代を駆け抜けた二人の芸術家、個々の魅力を読みとく。長明の歌風は俊成、定家ら御子左家の新風にも影響を受けつつ、独自に熟成した歌は今なお現代に輝く。寂蓮は今様などの摂取にも鋭敏、狂歌も巧みで、後鳥羽院が「真実の堪能」と評した名手である。

目次 : 鴨長明(ほととぎす鳴くひと声や/ 春しあれば今年も花は/ 桜ゆゑ片岡山に/ 住みわびぬいざさは越えむ ほか)/ 寂蓮(思い出づる事だにもなくは/ 数ならぬ身はなきものに/ いにしへの名残もかなし/ 降りそむる今朝だに人の ほか)

【著者紹介】
小林一彦 : 1960年栃木県生。慶應義塾大学大学院博士課程単位取得。現在、京都産業大学文化学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • ヴェネツィア

    この二人の歌人としての評価は知らずに、ただただ印象からのみ言うのだが、寂蓮を天性の歌人とすれば、一方の長明は刻苦と努力の人か。寂蓮の代表歌とされるのは「むら雨の露もまだひぬ…」の百人一首歌か、あるいは新古今三夕の歌として名高い「さびしさはその色としもなかりけり…」だろうか。いずれも名歌であるが、私は「暮れて行く春のみなとは知らねども霞におつる宇治の柴舟」を採る。新古今屈指の歌の一つに推したい。長明は代表歌が難しいが、長明らしい歌として「秋風のいたりいたらぬ袖はあらじただ我からの露の夕暮」をあげたい。

  • しゅてふぁん

    寂漣は俊成の甥で養子となった、定家の従兄であり義兄。さすが歌道の一門だけあって秀歌揃いだった。長明と寂漣が生きた時代は平家の滅亡、武士の台頭という争乱の時代。解説によると、二人ともアウトドア志向の歌人で垂直方向への感心が高く独特な歌を残しているが、寂漣は上方へと伸びる目線、上昇する動きへの関心であるのに対し、長明の目線は下を向いていることが多く、消えゆくものやはかないものに注がれていることが目立つとのこと。『方丈記』もそんな感じだったなぁと思いながら長明の歌を読み返してみた。

  • もち

    鴨長明、めちゃくちゃ陰気で気になる。鬱っ気のある友人にひどく似ている……。

  • 文鎮

    長明に関する私の認識は、世の無常を歌いし方丈記の作者という程度に過ぎなかった。本書は彼の遺した和歌を解釈しながら、長明の人柄までも解釈している。幾多の失恋、自殺をほのめかす和歌からは長明が如何に陰鬱な心情を文学にぶつけていたかが伺える。洋々たる未来が望まれた少年時代が、父の死で暗転する様は、幾多の挫折に直面し打ちひしがれる現代の若者にも共通するだろう。現在を生きる我々と同じような彼の考えに、強い共感を覚えた。思えば、Twitterでも「死にたい」だとか、他者からの承認を望んだ悲観的な表現は目にできる。彼は

  • 文鎮

    鴨長明に関する認識は、世の無常を歌いし方丈記の作者という程度に過ぎなかった。本書は彼の遺した和歌を解釈しながら、長明が如何に陰鬱な心情を文学にぶつけていたかが伺える。思うようにならぬ世の中は現代にも共通し、現代の我々と同じような考えに、強い共感を覚えた。本書の解釈からは、恐らく、全時代に置いて彼は共感を持って受け入れられることであろうと思った。

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