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琥珀のまたたき 講談社文庫

小川洋子

User Review :5.0
(1)

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784065139967
ISBN 10 : 4065139961
Format
Books
Publisher
Release Date
December/2018
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:
Yoko Ogawa ,  

Content Description

閉ざされた家で暮らす、オパール、琥珀、瑪瑙の三きょうだい。密やかな世界に隠された美しく切ない物語を描く、小川文学の粋の結晶。

【著者紹介】
小川洋子 : 岡山市生まれ。早稲田大学文学部卒。1988年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞を受賞。’91年「妊娠カレンダー」で芥川賞、2004年『博士の愛した数式』で読売文学賞、本屋大賞、同年『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花賞、’06年『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、’13年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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静かな生活が終わるまでの話。 一般的に見...

投稿日:2021/06/29 (火)

静かな生活が終わるまでの話。 一般的に見たら、あの生活は終わるべきものだったけれど、主人公からするとそれが幸せか不幸だったかはわからない。正しさと幸せは違うのかなと思った。だからといって許されるものではないけど。 悲惨なはずなのに、1つ1つのエピソードは輝いているように見えた。だからこそなおさら読んでいて心が苦しくなった。小説を読むことの醍醐味が詰まっている本だと思う。

えびまよ さん | 東京都 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

    夜の月をうけて手足はしろい薔薇となり、絡まった。籠の中の鳥は空をとぶ夢をみる。鳥をあわれだとひとは言うけれど彼らがいったい何を知っているというのか口を噤め。宝玉たちは夕焼けの光でしあわせをうたう。永遠はたしかにそこにあったでしょう。そうひそやかに咎めたバレリーナはいってしまったね。わたしにはもう、おもいでを左目に閉じこめて生きることを慈しむしかありません。どうか、脅かさないで。どうかこれ以上ないほど絞った音量で、眠りにつくまでカノン奏でてください。

  • ちょろこ

    静寂の中で読みたい一冊。小川作品の中でも無音、静寂が一番似合う。その環境で読みたい作品。現実から見れば仄かな狂気の世界。それをくるっと小川ワールドに裏返すと瞬く間に自分の世界を慈しむ人の美しい世界へと変わる。息づかい、瞬きの音や微風さえも感じとれそうな閉ざされた場所でオパール、琥珀、瑪瑙は確かに自分たちなりの輝きを放ち、限られた場所でもささやかな幸せを見つけその幸せに心を守られていたと思う。突然の終わりが来ようとも瞬きで会える思い出のかけらたち。これは小川さんが本に閉じ込めた、愛と家族の証を紡いだ物語。

  • エドワード

    子供の頃の私は、図鑑が好きで、一日中眺めていても飽きなかった。図鑑を編集する父が建てた別荘に住む、オパール、琥珀、瑪瑙と名付けられた三人の兄弟と母、亡くなった妹は琥珀の瞳の中で生き続ける。壁の中で暮らす四人の、濃密で愛に満ちた暮らし。図鑑には世界の全てが凝縮されている。時折訪問する、ロバのボイラー、よろず屋ジョーが壁の外の情報をもたらしてくれる。なんと美しい小世界、これこそ小川洋子さんの物語だ。年老いたアンバー氏はもちろん琥珀だ。童話の中でも人は生きていける。アンバー氏の「一瞬の展覧会」を私も見てみたい。

  • ちゃちゃ

    「一瞬の展覧会」でアンバー氏(「琥珀」)が披露するのは、図鑑の余白に描いた家族の姿。1冊めくるのに8秒、12冊分でたった1分36秒の展覧会だ。外界から隔絶した別荘で、家族と過ごした7年近くの歳月。子どもたちはママの言いつけを守り、壁の中でも自由に心を解き放った。たとえそれが危うく脆く歪んだ世界であっても、「琥珀」にとっては何ものにも替えがたい家族との濃密な時間だったのだ。一瞬の中に永遠が宿る。気の遠くなるような時を経て琥珀に閉じ込められた生物のように。翳りを帯びた閉じられた世界のなんと美しいことだろう。

  • ふう

    人の心はどこまで自由に広がり、そして自由に閉じることができるのでしょう。その心を、琥珀色の左目に大切に入れて生きた少年。世界も心も少年の左目の中にあり、ときを経ても何も失われてはいない。そこにいてほしい人はいつも静かにそこで微笑んでいる…。そんな小石がわたしの中にもひっそりと埋もれていてほしいと思う、小さな悲しみと深い喜びに満たされた物語でした。

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