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サイレントシンガー

小川洋子

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784163919911
ISBN 10 : 4163919910
Format
Books
Publisher
Release Date
June/2025
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:
Yoko Ogawa ,  

Content Description

沈黙が、そして消えゆくリリカの歌声が魂の慰めとなる。“アカシアの野辺”に生息する人々は―これは遙かな時間について綴った物語。

【著者紹介】
小川洋子 : 1962年、岡山市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。88年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞を受賞。91年「妊娠カレンダー」で芥川賞、2004年『博士の愛した数式』で読売文学賞、本屋大賞、同年『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、06年『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、13年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞、20年『小箱』で野間文芸賞を受賞。07年フランス芸術文化勲章シュバリエ受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • パトラッシュ

    能率と法規とSNSという言葉の網目に覆い尽くされた日本で、一切の言葉を拒絶する集団「アカシアの野辺」が存在し得るのか。成立事情や経済的基盤が明記されず、役所やマスコミも最低限しか干渉せず時間設定も曖昧になるとはリアルではなくファンタジー世界だ。そこで祖母の後を継いで働くリリカは、いわばあの世とこの世をつなぐ役割を担っている。半ば人ならざる身となりながら、言葉を捨てた人びとの声を引き受けたリリカは沈黙の歌声を現世に届け続ける。言葉の洪水が当たり前の社会は正しいのか、言葉を生業とする作家の問いかけが聞こえる。

  • starbro

    7月の第一作は、小川 洋子の6年ぶりの長篇小説、小川 洋子は、新作コンスタントに読んでいる作家です。本書は、声タレの生涯、小川 洋子ワールド全開でした。 手タレやスタントマン等、裏方の人生にも色々とドラマはあるんでしょうね。 私は、リリカという名前は可愛いと思いますし、声の美しい女性は好きです。 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163919911

  • 旅するランナー

    沈黙を愛し数少ない指言葉だけで意志疎通するコミュニティで生活する女性リリカ。不完全なお菓子が恵んでくれる幸運、湧き水の池に並ぶおばあさん手作りの人形たちが示してくれる親しみ、老い衰え死んでいく羊たちの穏やかさ、何もかもひっそり通り過ぎていく。村上春樹の壁の中の街を彷彿とさせる世界観の中で、無言でいるもののためだけに歌われる、沈黙を乱さない歌は、声少なき弱者への鎮魂歌なのか。

  • hirokun

    ★3 小川洋子さんの作品を読むのは二作目の様だが、前回の作品についてはすっかり記憶から飛んでおり、この作品についても読メに参加していなければたぶん読んでいなかった。少しファンタジー感の漂う作風は彼女の持ち味なのか?現代社会に警鐘を鳴らすような表現も散見され、『魂を慰めるのは沈黙である』という言葉には強く共感できるものがあった。結果的には、最後まで読み終えて何か心の落ち着きを感じさせてくれる読書だった。

  • ちょろこ

    掬いが好き、の一冊。出会いも喪失も全てを小さな世界に閉じ込めた世界観は、どこか「ことり」を思わせる。アカシアの野辺で暮らす人々が愛するのは沈黙、十本の指を駆使した指言葉での静かな会話。そしてそこに住まうリリカが奏でる誰をもを包み込む歌声。限られた場所で、ささやかに慎ましく生きる人々も確かにいること。小さな幸せが確かにあること。それらをいつだって優しく掬い取る小川さんの描き方が好き。静けさの中からしか、不完全なものからしか伝わらない、得られない想いや優しさ。そこに嘘偽りはないこと…全てが静かに心に刻まれる。

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