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戦狼中国の対日工作 文春新書

安田峰俊

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784166614363
ISBN 10 : 4166614363
Format
Books
Publisher
Release Date
December/2023
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

 習近平体制が確立して以降、中国は「戦狼外交」と呼ばれる超攻撃的な外交を繰り広げてきた。アメリカをはじめとする西側国家を舌鋒鋭く批判し、日本などの周辺諸国に対しては軍事力をちらつかせながら恫喝する‥‥。こうした中国の外交姿勢は、当初、「口先だけ」と思われていた。
 しかし、これはけっしてハッタリではなかった。いつの間にか、中国政府の魔手は私たちの周辺に張り巡らされていたのである。
ウィーン条約を無視して、大使館以外の在外拠点を勝手に日本に開設。その中には秘密警察の「派出所」として機能している拠点もある。そこでは、大陸を逃れてきた反体制派中国人の監視や脅迫、留学生からの情報収集、さらにはスパイ行為などがおこなわれているのである。
 著者は日本国内に開設された中国秘密警察の拠点を特定。体当たり取材を試みた。さらに、日本に逃亡中の反体制活動家にインタビューすることにも成功。彼らが日本国内においても中国当局の尾行や監視にさらされている現実を、生々しい脅迫エピソードとともに聞き出している。
 また、SNSを駆使して日本で公然とフェイクニュースを拡散し、「認知戦」を繰り広げる大阪総領事・薛剣にもインタビュー。中国共産党が日本においてどのような宣伝工作を繰り広げているのかを、緻密な取材で解き明かす。
 地を這う取材に徹してきた筆者。その取材で明らかになってきたのは、「中国はマジで危険な国家になった。それは長年中国ウォッチャーをしてきた自分の想像をはるかに超えている」(筆者の言葉)である。
 観念論先行の中国批判本とは一線を画する作品である。

【著者紹介】
安田峰俊 : ルポライター。立命館大学人文科学研究所客員協力研究員。1982年滋賀県生まれ。広島大学大学院文学研究科博士前期課程修了(専門は中国近現代史)。2018年刊行の『八九六四「天安門事件」は再び起きるか』(KADOKAWA)が第5回城山三郎賞、第50回大宅壮一ノンフィクション賞をダブル受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • skunk_c

    表題の「戦狼」という言葉が少し独り歩きしている感じ。本書の中身は例によって丁寧な取材によって、海外における反政府的中国人に対する(かなりお粗末な)中傷と脅迫、中国要人の個人情報を晒す反政府ハッカー、「戦狼」外交を行う外交官の素顔、そして若き日の習近平が日本でどんな振る舞いをしたかなど、かなり多様で興味深い内容。この著者の他書と同様、習近平長期政権の独裁性に批判的だが、それにおもねる中国官僚達の行動に、「戦狼」の原因を見る。それは決して緻密で計画的なものでなく、権力の転換によって様相が変わることも示唆する。

  • HANA

    中国が最近展開している闘争を前面に出した「戦狼外交」。本書は中国の外交官やプロパガンダに協力している日本人などに取材し、その実態を明らかにした一冊である。とはいうものの、その外交の内容を読んで感じる事は「雑」という事。外交というとインテリジェンスに満ちた丁々発止の遣り取りを想像しているのだが、勇ましい事を言うのは全て内向きへのアピールというのが何とも。という一方で秘密警察の派出所や沖縄への工作を見ていると、その雑さで何を仕出かすかわからない恐ろしさもあるので。現代中国の方向性を考える一つの助けとなります。

  • ピンガペンギン

    2023年12月出版。著者の動画をみて、高市首相発言にXで反応した大阪総領事の章を目当てに読んだ。題名について。中国の外交官が西側諸国に向けて過度に挑発的な言説を繰り返す現象が「戦浪外交」と言われている(P88)。2019年秋から習近平の呼びかけで始まったとされる。外交部は、監査により「忠誠心不足」を指摘されやすい部署であり、そのため過度に忖度したパフォーマンスを生みやすいという。第二章、インターネット規制とハッカーについて。政府にコネがある被疑者は罪を免れて、他の青年が犠牲になったというのは、ひどい。

  • ピオリーヌ

    農村土豪ムーブと呼ばれる近年の中国。農村土豪とは地方の農村部出身の成金を指す中国のネットスラングであり、彼らの価値観はシンプルで、相手よりも多くのカネや力を見せつけさえすれば他人は自分を尊敬し、いう事を聞くと考えている。いっぽう、そんな自分の姿が第三者の目にどう映るかを想像したり、相手の立場を慮って行動したりすることは苦手である。緻密な計算もリスクコントロールもなく、近視眼的な価値観で力任せに棍棒を振るい続ける戦狼中国の体制は、このようにして生まれている。世界二位の国力を誇る、高度な国民監視網に支えられた

  • 羊山羊

    果たしてこれを中国一国の工作活動と呼ぶべき なのだろうか。機関、各個人が各々の利益の為に 底の見えない活動を見せる様は、まぁ何とも不気味で ある。只、各個の利益が再優先であるため、それが中国国内の問題の延長線上である為か、外交問題というより、刑事ドラマの各課の点数争いや派閥争いの様子を見ているような印象を受ける。一方で、この問題で脅迫されたり迫害を受けているのは、日本や諸外国に移り住んだ中国人達であり他国への尽大な権利侵害であることに疑いの余地がない。

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