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ISBN 10 : 4166614738
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政府推計によると、2025年には認知症者の数は約700万人となり、65歳以上の人の約20%が認知症だという。
いまの時代、認知症と宣告されることほど避けたいものはない。
それは「認知症になれば、何も分からなくなる」という思いこみがあるからだ。
長年、認知症当事者を多く取材してきた著者のノンフィクション作家、奥野修司氏は、そうした古い認知症観を捨てなくてはならないと説く。認知症の人も私たちと同じような感情を持っており、楽しければ笑い、傷つけられたら悲しむし、怒る。そして多くの当事者が、記憶が失われていくことにおびえている。
そもそも、すべての年齢層の約6割、80歳以上に限れば8〜9割を占める「アルツハイマー型認知症」は病気なのか?
老年精神医学の権威、東京大学名誉教授の松下正明氏は「正常加齢者とアルツハイマー型認知症者の脳に質的な差異はなく、加齢と連続した状態とみなしたほうがいい」という。
つまりアルツハイマー型認知症とは、一部の人だけが発症する「病気」ではなく、脳の老化現象なのだ。
老化は誰も避けられないし、記憶力や判断力、実行能力といった認知機能が低下していくのは自然なこと。
しかし、その心や人格まで失われることはない
そうした認識が多くの人に広がっていけば、認知症になってもつらい思いをしなくなるだろう。
大事なことは、家族や地域が力を合わせて支え、認知症になっても生きていける社会を作ること。
認知症の人を介護する家族を悩まるのは、暴言・暴行や徘徊(はいかい)、妄想といった「周辺症状」だ。
本書では、専門家の助言を得て、家族が接し方、考え方を変えたことで、周辺症状が改善した例を紹介する。
また、認知症対策の先進地域の事例を通じて、地域で認知症の当事者を支えている事例も紹介。
誰もが認知症になるのだから、みんなが当事者なのだ。
【著者紹介】
奥野修司 : 1948(昭和23)年、大阪府生れ。ノンフィクション作家。『ナツコ 沖縄密貿易の女王』で大宅壮一ノンフィクション賞と講談社ノンフィクション賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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