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ツタよ、ツタ 小学館文庫

大島真寿美

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784094067255
ISBN 10 : 4094067256
Format
Books
Publisher
Release Date
December/2019
Japan

Content Description

明治の後期に、沖縄の士族の家に生まれたツタ。父を早くに亡くし暮らしは貧しかったが、千紗子という新しい名前で身の裡を言葉に表すという、自分を解放する術を得る。教員生活、異国での結婚、愛する我が子との別れ、思いがけない恋愛…。さまざまな経験を経たツタは、やがて「作家として立つ」と誓った。昭和七年、婦人雑誌に投稿した短編小説が評価され掲載されるが、同郷の人々からの思わぬ激しい抗議に遭い―。沖縄史、女性史の片隅に眠る「幻の女流作家」の生涯に、直木賞作家が光を当てる傑作。

【著者紹介】
大島真寿美 : 1962年愛知県名古屋市生まれ。92年「春の手品師」で第七四回文學界新人賞を受賞し、デビュー。2012年『ピエタ』で第九回本屋大賞第三位。19年『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』で第一六一回直木三十五賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • キムチ

    NHKの紹介が無かったら、手にすることなかったであろう1冊・・彼女のような足跡を辿ったであろう女性が大勢いたであろうことを感じた読後。明治末期は近代史、女性の歩みは親、男、子の陰にあって然るもの、心の裡に有る呟きすら仇や疎かに言えない時代。沖縄に生まれ育った聡明な彼女自らの解放を言の葉に乗せたことが人生を大きく変えた。私が「ツタ」なら、今の時代なら泣き喚き訴える術を選ぶのだろうが筆者は恐ろしいまでに淡々と水彩画の様に綴る。読み始め、韻律を踏まぬ和歌?と感じ違和感も受けたがこういう表現法もあるのだろう

  • 朗読者

    大島さんの偉人掘り起こしシリーズ(私の勝手な命名)の3作目。本屋大賞3位のピエタではヴィヴァルディの教え子で天才ヴァイオリニストのエミーリアを、直木賞の渦では浄瑠璃作家の近松半二と歌舞伎作家の並木正三を見事に掘り起こした大島さん。今回は戦前に突如現れて、突如消えていった幻の女性作家久志芙沙子(本名久志ツル)さんの生涯を現代に復活させ、読者に届けてくれました。小説なので脚色はあるにしても、戦前にこのような女性が、しかも沖縄から現れたというのは驚きでした。とても面白く読ませていただきました。次も楽しみです♪

  • びっぐすとん

    110円本。実在の女性をモデルにした作品。主人公は色々考えてはいるのだが熟孝は出来ず、行き当たりばったりな行動で翻弄された人生を歩む。本人は自己表現のつもりで書き、世論に訴えるつもりではなかった作品が騒動を招き、生涯ただ一つの作品となる。子を失い、故郷を失い、過去や自分の本当の名前さえ失った女性ではあるけれど、今一つ共感はしにくい。今なら自己表現の方法はいくらでもある。彼女ももっと楽な生き方が出来ただろう。彼女に沖縄初の女流作家と肩書きをつけるのはむしろ酷だ。沖縄とは切り離されてしまったのだから。

  • チェアー

    テレビ番組から知った本。 ツタは文章の力と怖さを知った女性だった。筆を折ってからも、自分のなかではずっと言葉を紡いできた人だったのだろう。それを外に出さないこともまた、彼女の表現の一つだったのだ。辛く、また強いことだった。

  • すみっちょ

    女性作家の一代記と言ってしまえばそれまでですが、沖縄の現状などを思うと色々考えさせられるところはありました。ツタの波乱の一生を時代のせいにして片付けてしまうこともできますが、もし現代だったら違う生き方があり、もう少し作品も残せたのかなと思います。ただ、ツタが書きたいことは今の時代には特にないのかもしれませんが。生き別れた息子が会いに来てくれて、今の夫との子どももツタの味方で、夫に名前を呼ばれながら最期を迎えられたツタ。ずっと頑張って生きてきたんだろうなと思いました。

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