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かかとを失くして三人関係文字移植 講談社文芸文庫

多和田葉子

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784062902274
ISBN 10 : 4062902273
Format
Books
Publisher
Release Date
April/2014
Japan

Content Description

九時十七分着の夜行列車で中央駅のホームへ降りた、遠い国から来た私。なぜか周囲からかかとを笑われながら、書類結婚をした男の住む十七番地のアパートで、扉に隠れて姿を見せない夫との奇妙な生活が始まる。ドイツで作品を発表していた著者が、群像新人賞を受賞して日本で衝撃的デビューを飾った「かかとを失くして」他二篇。“21世紀の世界文学”の幕開けを告げる、記念碑的作品集。

【著者紹介】
多和田葉子 : 1960・3・23〜。小説家、詩人。東京生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。ハンブルク大学修士課程修了。1982年よりドイツに住み、日本語・ドイツ語両言語で小説を書く。91年、「かかとを失くして」で群像新人文学賞受賞。93年、「犬婿入り」で芥川賞受賞。96年、ドイツ語での文学活動に対しシャミッソー文学賞を授与される。2000年、「ヒナギクのお茶の場合」で泉鏡花文学賞を受賞。同年、ドイツの永住権を獲得。また、チューリッヒ大学博士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • 佐島楓

    小説という方法で人間の不自由さを書きながら、自由を探っているような姿勢が見てとれるのが印象的だった。めまいがするような奇妙な世界観は、随一のものであろう。文化や言語感覚が文学に与える影響に興味があるため、ほかの作品も拝読したい。

  • bura

    多和田葉子デビュー作。群像新人賞受賞「かかとを失くして」他2作収録の短編集。夜行列車で見知らぬ国の中央駅に降りた私が「書類結婚」をした相手のアパートで、姿を見せない夫と不可思議な生活を続けていく物語。異なる文化圏での日常の違いを異邦人の視点で描いている。独特の文学的浮遊感が素晴らしい。作者が表現する「かかとのない」小説は「つま先が地についているからこそ絶えず転びそうになっている文学」と印されていた。ドイツを拠点としている作者ならではの世界観。文学を自在に操る多和田ワールドの第一歩を味わえた。

  • ころこ

    『かかとを失くして』三島由紀夫『太陽と鉄』で、言葉は身体に対する言葉の腐食作用によって機能するというようなことが論じられていた。言葉は身体性を伴うが、身体の全能感はむしろ言葉を損ない、身体の不全感こそが言葉を生み出す。腐食作用は世界に対する諦めから始まり、超越性に代わり言葉の世界を獲得する。かかと(身体)を失くす(腐食される)ことにより、言葉により描かれた世界は立ち現れる。かかとを失くすことは前に進めなくなってしまうことなのか、新たな発見の呼び水なのか。本作を読んでもどちらかはっきりしないという印象なので

  • 踊る猫

    多和田葉子作品を読むこと。それはたぶんに語り手の世界認識の歪み(いまで言う「認知の歪み」)をどんなツッコミどころがあろうとそのまま呑み込み、突拍子もなく散乱するイメージ群を自らの中に受肉して消化することを意味するのかなと思う。いや、「なにかを読む」とはもともとそうした営みだろう。だが多和田作品の場合は語り手があまりにも受け身すぎていて(つまり、外部でカオスとして生起するできごとにいちいち翻弄されすぎていて)、したがってこちらもその迷宮世界をさまようことになる。それにしても、この迷宮世界はどこまで「天然」?

  • tamako

    ノーマークだった作家だけど、夫から「カフカっぽいよ」と勧められて読んだ。電車の中で読みたい本だ。読み進めるほどに、どこかで見たような、これから向かう先の景色のような、どこにも無い景色のような、いいえ実在しないのは私、とグルグルねじれていく浮遊感が楽しい。

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