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棄国ノススメ

増田幸弘

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784794809971
ISBN 10 : 4794809972
Format
Books
Publisher
Release Date
February/2015
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

日本に住むことに、居心地の悪さを感じた。なにかに押さえつけられ、足払いを食らっているようだった。なにが起きているのか、どうしてそんなふうに感じるのかはよくわからなかった。2000年前後のことである。「失われた10年」とか、「閉塞感」とかといった曖昧な言葉が、巷にはあふれていた。
とりあえずぼくは日本から逃げ出すことにした。家族を連れ、海外に移り住んだのである。世の中がなにひとつ解決できないのだから、そうするしか思いつかなかった。仕事のことも、家族のことも、子どもの教育のことも、のしかかる問題をすべてチャラにしてしまいたかった。経験者の友人たちは「とにかく『日本人ムラ』にだけは気をつけろ」という警告を添えて、ぼくら家族を見送った。
移住先に選んだのは、チェコのプラハ。二度、訪れたことがあるという、ただそれだけの理由だった。別にあてなどなにもなかった。資産があるわけでもない。言葉ができるわけでもない。外国に住むといっても、旅行しているにすぎないという気軽さと、亡命してきたなどという重たい気持ちが同居した。それがすべてのはじまりだった。
それからというもの、よたよたと生きながらも、本当にいろいろなことがあった。よいこともあれば、悪いこともあった。そのたびに、なにか根源的なものが突きつけられた。生きるとはなにか。家族とはなにか。社会とはなにか。国とはなにか。答えのない問いが浮かんでは消えた。それは日本に住んでいる限り、これまで考えなくてもすむものだった。
本書でぼくは外国で暮らすことで経験したことを時間軸に沿って追いながら、世界に対する考え方や感じ方が少しずつ変わっていく様子をとらえようとした。ぼくはもちろん、家族(妻と二人の子ども)も変化し、進化していく。その果てにいったいなにがあるのか。国を棄て、日本人をやめることで、いつしかぼくは楽に生きられるようになっていた。(ますだ・ゆきひろ)

[著者紹介]
1963年生まれ。フリーの編集者/記者。現在はスロバキアに住み、日本とヨーロッパを行き来して取材をおこなっている。主な著作に『プラハのシュタイナー学校』(白水社)、『ザルツブルクとチロル アルプスの山と街を歩く』(ダイヤモンド社)などがある。

【著者紹介】
増田幸弘 : フリー編集者・記者。1963年東京生まれ、早稲田大学第一文学部卒業。スロヴァキアを拠点に、日本とヨーロッパを行き来して取材をおこなう(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • Nobuko Hashimoto

    日本で生きづらさを感じ、日本(人であること)を棄てようと、家族を連れてチェコに移り住んだ体験記。長期滞在許可や仕事を得ることに苦闘する日々。慣れてくるとチェコにも倦んでスロヴァキアに移り住む。苦悩、逡巡、葛藤、病んでいく心と身体に関する吐露が多く、前向き、外向きな本ではない。が、この本を書くことは、著者が心を浄化するのに必要なことだったのだろう。妻は著者の突然の決定や方針転換をいつも黙って受け入れ、工夫して暮らしを整えていたそう。本書では影が薄いが、妻が体験記を綴ったらもしかして面白いものになるかも?

  • makimakimasa

    ANA機内誌の素敵なエッセイ(散髪の話)がきっかけで本書も読んでみたものの、こちらは随分と印象の違う文章だった。「ふと思い立ち、日本を離れることにした。ほんの軽い気持ちだった。」これは嘘でしょ。相当悩んで肩肘張ってるし。全体的に色々と一貫性が無い気がした。結局その状況にhappyなの?unhappyなの?と少しイライラする。ネット上で受けた嫌がらせや子供とのいざこざは、海外移住(著者の場合はチェコの後にスロヴァキア)の現実を赤裸々に書いている。自己陶酔感ある文章だけど、日本脱出記としては非常に面白かった。

  • naka-m

    日本から海外へ家族4人で移民する話。「ススメ」とあるのでどんなメリットや夢のような生活を聞けるのかと思ったが、8割方苦労話。特に理不尽系の話は読んでる自分の心が折れる。どこに移民するかにもよるだろうけど最低限言葉の壁をクリアしてないとまだまだそんなに簡単な話ではないんだなあという実感。

  • あやり

    書名からして政治的な内容かと構えていたが、そんなことはなかった。一人の日本人男性が家族と共に海外移住した、エッセイ、ルポタージュなようなもの。手続きの煩雑さや実際暮らしてみて感じる嫌なことや良いこと、綴られる全てが一人の人間の生きた声だった。著者の文章と相性が良いらしく、読みやすい。面白かった。

  • mu

    おもしろかった! 『変化が必要な時代に 何も変わろうとしない日本に絶望し、ここではないどこかを求め移住する。社会が変わらない以上、自分が変わるしかないのだ。そして自分を変えることで初めて社会が変わることに気づく。社会とは他社ではなく自分そのものなのである。』 私自身も組織に属するのをもういい加減やめたいので 個人でお金を生み出す?というか回す方法について考えていたときだったので、ヨーロッパ人の「仕事のあるところに移動するのが当たり前」というのが身軽でうらやましい。島国は息苦しい。やはり語学か。

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