Product Details
ISBN 10 : 4422118315
Content Description
本書は、長年独自の立場から心理臨床家として面接とスーパーバイズの実践を重ねてきた増井武士氏の集大成となる一冊である。
第I部では、患者さんにとって副作用が少なく、かつ出来るだけ早期によくなる方法を探求してきた増井氏の独自の治療的面接について語る。治療者が患者さんを対等な立場から一人の人間として認め、治療者自身も一人の人間として一人称の言葉で話し、患者さんの一人称の話を聞き、「良くなりたい」という自己援助的な力を育てる過程について論じる。患者さんとの具体的なやりとりを示しながら、いくつもの考え方や方法のポイントを示しており、読者が面接を行う際の参考になる。また、既存の理論に囚われすぎないことの重要性も説いている。(一般的には重要と言われることが多い)洞察や自己理解が伴わなくとも、患者さんは良くなっていく。必要であれば、患者さんと面接室以外の場でも会う。面接では治療者も自分の意見や出来事を素直に話すことが、患者さんとの関係を良くする。こうした、患者さんとの一対一の関係性を第一に考える態度は、読者自身の面接のあり方をあらためて問い直すうえで重要な示唆をもたらす。
第II部では、増井氏のスーパーバイズを長年受けてきた方たちが、そこで考えたこと、感じたことなどを率直に綴った体験記である。各々の立場から、印象的なエピソードや言葉、増井氏から学んだこと、自身がどのように影響を受け変わっていったのか、自らの臨床にどう生かしているのか等を語っている。その語りを通して、読者は増井氏の治療的面接にかかわる考え方や技法等を別の視点から知ることができる。さらに、心理臨床に携わる者にとってのスーパーバイズという営みがもつ意義についても考えさせられる。
巻末には、神田橋條治氏と村山正治氏による解説・推薦の文章を付する。
【著者紹介】
増井武士 : 1945年生まれ。九州大学教育学部大学院博士課程修了後、九州大学教育学部助手。その後産業医科大学医学部医学心理学教室准教授(教育学博士)、同大学病院精神・神経科および産業医実務研修センターを併任。その後亡き河合隼雄先生を学会長とした日本心理臨床学会常任理事、同学会倫理委員長などを経て同学会編集委員などを務める。産業医科大学定年後、九州産業大学国際文化学部教授を経て、東亜大学大学院客員教授。日本臨床心理士会理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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