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スクリーンのなかの障害 わかりあうことが隠すもの

塙幸枝

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784845923113
ISBN 10 : 4845923114
Format
Books
Release Date
November/2024
Japan

Content Description

映画はどのように障害を描いてきたか――

歴史、物語のパターン、再現による同一化、当事者性……様々な角度から映画と障害のつながりを解きほぐす。

ろう者の子どもを主人公にした『コーダ あいのうた』がアカデミー賞で作品賞含む3部門に輝くほか、『ドライブ・マイ・カー』『ケイコ 目を澄ませて』『LOVE LIFE』と日本の気鋭の若手監督たちが次々と障害者が登場する作品を手がけている現在。「感動ポルノ」や「共生」といった言葉で単純化することなく、障害の描かれ方、何よりも見つめ方を考え直すべきなのではないか?

「スクリーンのなかで障害がいかに描かれてきたのか、また、より今日的な映画作品のなかで障害がいかに描かれるようになったのか」を論じる本書では、サイレント時代から現代まで「映画における障害者イメージの変遷」をたどり、「スクリーンのなかの障害」の歴史が通時的につづられる。そして、その「障害者イメージの変遷」の土台となる「社会における障害観の変化」がどのように起こったのかを「障害学」の基礎とともに提示していく。

また、歴史をつづるだけでなく、コミュニケーション、障害の再現、当事者性という切り口のもと映画と障害のつながりを捉え直していく。障害を扱う多くの映画がコミュニケーション、「不全」から「達成」へと進行する物語を描いているのはどうしてか? 視覚的・聴覚的な描写によって再現された障害に同一化する際、何かが隠蔽されていないか? 障害者の役は障害当事者しか演じてはいけないのか?といったアクチュアルなテーマが、近年の障害を描いた作品をもとに論じられる。

『レインマン』『フォレスト・ガンプ/一期一会』『アイ・アム・サム』といった名作として語られる作品から、『ワンダー 君は太陽』『最強のふたり』『コーダ あいのうた』などの近年話題となった作品まで、多くの観客を得てきた作品を新しい視点で読み直すきっかけにもなる本書。われわれ観客はどのように障害を見つめていくべきか、思考と議論のための新しい出発点。

【本書で扱う作品】
『フリークス』『ノートルダムのせむし男』『エレファント・マン』『秋のソナタ』『ポーリーヌ』『靴ひも』『レインマン』『フォレスト・ガンプ/一期一会』『カッコーの巣の上で』『ドリーム・チーム』『ワンダー 君は太陽』『最強のふたり』『アイ・アム・サム』『リンガー!替え玉★選手権』『岬の兄妹』『コーダ あいのうた』『サウンド・オブ・メタル 〜聞こえるということ〜』『ケイコ 目を澄ませて』『パーセント』ほか

【著者紹介】
塙幸枝 : 1988年生まれ。成城大学文芸学部准教授。専門領域はコミュニケーション学、メディア論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • ラーク

    映画において、障害者はどのように扱われてきたのかについての考察。モンスター化→非力化→有力化という変遷を辿ってきており、それが現実社会での障害者に向けられる目とリンクされていったという話にはなるほどと思った。と同時に、いずれの見方にも問題があるという言説には、やはり健常者が障害者を理解するということが難しいのだろうと感じた。社会と映画作品との相関性に留まらず、どのような技法で障害者の視点を表現しているのかと、演者がどのようなアプローチで障害者を演じているのかにも振れられており、網羅的に論じられている印象。

  • W

    多くの学びがあった。📝第3章。障害をコミュニケーションの問題(社会コードやコンテクストを克服して達成する)として描くことは、時に障害というテーマを遠ざけ、「恋愛」「家族愛」「友情」といった別のテーマを照射し、その構図ゆえにそれらのストーリーを受容することがあたかも障害や障害者を理解することと同列であるかのように捉えられる可能性がある、という論。例:『アイ・アム・サム』(2001)

  • 読書初心者

    良著。障害者表象を通じて社会の障害者観がいかに変容してきたかを語りながら、単純に障害を扱った作品を紐解く映画論としても面白いし優れている。特に『サウンド・オブ・メタル』と、『ケイコ 目をすませて』のパートは「こんな読み解き方があるのか」という新しい視座を与えてくれる論述で、映画好きは必読の書と言っても大袈裟ではないと思う。自分は濱口竜介監督が好きだけど、『ドライブ・マイ・カー』での彼の韓国手話に対する発言は確かに問題があるし、そこを脚注で指摘していて良かった。

  • CBF

    (★★★☆☆) スクリーンのなかで障害はいかに描かれてきたか。サイレント時代から現代まで「映画における障害者イメージの変遷」をたどり、その変遷の土台となる「社会における障害観の変化」がどのように起こったのかを障害学の基礎とともに提示するー。 『コーダ あいのうた』や『ドライブ・マイ・カー』など、観たことある作品が事例として出て来て興味深かった。最後の方に書かれてた「障害者が健常者を演じることには多くの観客が恐らく容易に違和感を見出すのに、その逆はそうではないのは何故か?」という問いかけにハッとさせられた。

  • azu3

    映画を素材に障害の社会モデルを検討する本。ただの「感動ポルノ」で終わらせないためにはどのように観るのか、という視座を与えてくれる。良書。今のところ、今年1番。いや、まだ2月初めだけど…。要再読。

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