万葉集巻十三の長歌文芸 研究叢書

巻十三の異伝や類歌を有する歌群を対比的に読み解き、人々が本伝の歌を享受する中で、歌詞に絶妙な改変が加えられ新たな主題を持つ異伝が生み出されていく過程を明らかにする。また、歌群間の先後関係が議論される天武天皇御製と巻十三類歌の関係や、人麻呂集歌を異伝に持つ問答歌をめぐる問題についても適切な解釈を試みるとともに、難訓を有する歌群に対しても古辞書や漢籍の訓詁を踏まえた理解をめざす。

目次 : 序章　巻十三の歌群成立と編纂/ 第１章　巻十三の異伝注記/ 第２章　反歌附加の試み―巻十三異伝歌群の背景/ 第３章　主題の相違/ 第４章　調使首作歌と調使家記/ 第５章　隠蔵杉―歌の改変と主題/ 第６章　天武天皇御製歌と巻十三の類歌/ 第７章　下にも長く汝が心待て―巻十三・三三〇五〜三三〇九問答考/ 第８章　巻十三・三二四二歌難訓考―行靡闕矣・吾通道之/ 第９章　長歌の字足らず句―記紀歌謡から万葉へ/ 終章　万葉第三期と巻十三

【著者紹介】
垣見修司 : １９７３年兵庫県生まれ。１９９６年同志社大学文学部文化学科国文学専攻卒業。１９９９年同志社大学大学院文学研究科博士課程前期課程修了。２００７年関西大学大学院文学研究科博士課程後期課程修了。高等学校教諭、高岡市万葉歴史館研究員（２００９年）、同志社大学准教授（２０１３年）を経て、２０１７年より同教授。博士（文学）。第４回萬葉学会奨励賞受賞（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）