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平成の天皇制とは何か 制度と個人のはざまで

Yutaka Yoshida

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784000247238
ISBN 10 : 4000247239
Format
Books
Publisher
Release Date
July/2017
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

現代の日本社会において象徴天皇制はどのような機能を有し、その制度のなかで明仁天皇はどのような役割を果たしているのだろうか―。明仁天皇と美智子皇后が自らの発言や行動を通じて作りあげ体現してきた「平成流」象徴天皇制の実態やあり方を、九人の専門家たちが分析・検証するとともに、「代替わり」後の象徴天皇制の行方を縦横に論じる。

目次 : 1部 明仁天皇と美智子皇后―思想と行動(明仁天皇論―近代君主制と「伝統」の融合/ 美智子皇后論―そのイメージと思想・行動)/ 2部 「平成流」とは何か―新しい天皇制の模索と定着(柔らかな「統合」の形―公的行為の拡大と弱者へのまなざし/ 「皇室外交」とは何か―「象徴」と「元首」/ 「平成流」平和主義の歴史的・政治的文脈/ 宮中祭祀と「平成流」―「おことば」とそれに映る天皇像)/ 3部 社会の中の天皇制制度の中の天皇制(メディア天皇制論―「物語」としての皇室報道/ 近年の天皇論議の歪みと皇室典範の再検討/ 「象徴」とは何か―憲法学の観点から)/ 座談会 「平成」の終焉と天皇制の行方

【著者紹介】
吉田裕 : 1954年生まれ。一橋大学教授

瀬畑源 : 1976年生まれ。長野県短期大学助教

河西秀哉 : 1977年生まれ。神戸女学院大学准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • 梅干を食べながら散歩をするのが好き「寝物語」

    ▼天皇制や政治史の研究者達が様々な側面から平成の天皇制の実態を論じる。引用・出典が章ごとにまとめられているので、その内容を確認しやすい。▼一貫して「批判的」なスタンス。また、明仁天皇夫妻賛美の同調圧力に抵抗する姿勢が露わだ。▼この本を通して、明仁天皇の「平成流」は、研究家の常識を良くも悪くも凌駕していた、ということが理解できた。天皇は保守・革新の両専門家に疑念を抱かせたが、大多数の国民を味方につけた。国民統合の象徴としての働きについて明仁天皇は成功したのだと感じた。▼天皇制研究の最新刊として推薦したい。

  • SK

    91*「おことば」が、本来の象徴天皇制から外れていることが分かった。美智子皇后、けっこう大きな力を持っているのね。

  • Toska

    敗戦により忽然と出現した「象徴天皇」の具現化を目指した明仁天皇の軌跡。我々が無批判に受け入れている「政治から超越し、国民のために祈る天皇」というイメージは、実は彼の真摯な研鑽と演出能力により作り上げられたものであった。これを伝統の中に位置づけるため、花園天皇の訓戒書や後奈良天皇の写経の奥書まで引っ張り出しているのは驚き(そりゃまあ、後醍醐とかは参考にならんだろうなあ…)。一方、本書の中では、憲法上の整合性を曖昧にしたまま「公務」が肥大化していることなどの問題も鋭く指摘されている。

  • 秋津

    様々な問題や矛盾を抱えていた天皇・皇室の在り方について国民、政治、メディアなどが真摯に向き合ってこなかったことのツケがこの度の「おことば」で回ってきたという印象。陛下が模索され続けてきた「平成流」の天皇の在り方に対し、個人としてどう感じるかは別として、制度等の観点から危機感を持って考えるべきであるなと。「近年の天皇論、退位論を通じて言えることは、「歴史」と「伝統」がふんだんに持ち出されるにもかかわらず、それが論者の言説に都合の良い部分のつまみ食いに終わっている嫌いがあることだ」という指摘は重要。

  • たろーたん

    渡辺治が提示した「天皇制のねじれ」が印象深かった。平成天皇は護憲や平和など、安倍政権と正反対の路線である。それがリベラル派とマッチして、本来であれば天皇を否定するリベラル派が天皇を称賛し、本来であれば天皇を賛美する右派が天皇を批判するねじれた状態になってしまった。しかし、リベラル派にとっては天皇が自分たちと同じ意見の時は問題ないが、もし天皇が復古主義な性格を見せたらどうするのだろうか。平成天皇の象徴としての行為によって、天皇が行える公務は拡大した。(続)

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