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フィールダー

古谷田奈月

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784087718072
ISBN 10 : 4087718077
Format
Books
Publisher
Release Date
August/2022
Japan

Content Description

【第8回渡辺淳一文学賞受賞作】
迎え撃て。この大いなる混沌を、狂おしい矛盾を。
「推し」大礼賛時代に、誰かを「愛でる」行為の本質を鮮烈に暴く、令和最高密度のカオティック・ノベル!

総合出版社・立象社で社会派オピニオン小冊子を編集する橘泰介は、担当の著者・黒岩文子について、同期の週刊誌記者から不穏な報せを受ける。児童福祉の専門家でメディアへの露出も多い黒岩が、ある女児を「触った」らしいとの情報を追っているというのだ。時を同じくして橘宛てに届いたのは、黒岩本人からの長文メール。そこには、自身が疑惑を持たれるまでの経緯がつまびらかに記されていた。消息不明となった黒岩の捜索に奔走する橘を唯一癒すのが、四人一組で敵のモンスターを倒すスマホゲーム・『リンドグランド』。その仮想空間には、橘がオンライン上でしか接触したことのない、ある「かけがえのない存在」がいて……。

児童虐待、小児性愛、ルッキズム、ソシャゲ中毒、ネット炎上、希死念慮、社内派閥抗争、猫を愛するということ……現代を揺さぶる事象が驚異の緻密さで絡まり合い、あらゆる「不都合」の芯をひりりと撫でる、圧巻の「完全小説」!

【著者略歴】
古谷田奈月(こやた・なつき)
1981年千葉県我孫子市生まれ。2013年、「今年の贈り物」(のちに『星の民のクリスマス』と改題)で第25回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。17年、『リリース』で第34回織田作之助賞受賞。18年、「無限の玄」で第31回三島由紀夫賞受賞、「風下の朱」で第159回芥川龍之介賞候補となり、同年刊行の『無限の玄/風下の朱』で第40回野間文芸新人賞候補となる。19年、『神前酔狂宴』で第41回野間文芸新人賞受賞。他の著書に『ジュンのための6つの小曲』『望むのは』がある。

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • なゆ

    なんと言いますか…グラグラと意識を揺さぶられて、早くも私の中では年ベス級なのにレビューの書きようがないというのは、どうしたもんか。橘の思うように果たしてうまく事が進むのか、それが正しいのか、でも他にどうすれば良かったのか?!でも、ゲームの場面も興味深く面白く読めたし、バーチャルとリアルがうまく絡み合ってた。きっとまた、再読する。「言葉が全然足りないんだよ。複雑なことを複雑なまま伝えないから自殺や差別がなくならない。人間は、本当は、単純さに耐えられる生き物じゃないんだ」

  • ずっきん

    うわああ無茶苦茶面白かった!レビュー欄を『うわあ』で埋め尽くしたいくらい衝撃的に面白かった。噴出する現代のカオスをこれだけ盛り込んでおきながら、展開する物語のしなやかで熱いことったら。端正な文章にじたばたと悶え、辛辣な問いかけに刺されて膝をつく。先行きが知りたくて七転八倒しながら読み進める。ああ、これをワクワクと言わずしてなんという。人生の醍醐味は知ることだと思っている。『フィールダー』は読者にガッチリと追体験させてくれる、刺激と喜びに溢れた小説だ。国内ベスト更新。なぜ話題になってないのだ。みんな読んで!

  • がらくたどん

    「この世界のこういうところがきらいです」と言いつつあともう少しと臨場し続ける日々の中で人が縋る「かわいい」の捩じれと復権を探し求める驚くほど現実的な冒険小説。「かわいい」は「かははゆし(顔が火照るほど恥ずかしい)」から「かはゆし」に転じて可哀そうで見てられない・可憐だの意を加え「かわいい」に不憫だと愛しいの意は残ったが結局は「愛しさ」に収斂された経歴に日本の社会が己の非力に依る後ろめたさを善意の庇護意識でくるんでいった流れを想起してしまう面白い言葉。作中に散らばる「かわいい」の言葉を拾って見つめて旅をした

  • konoha

    スマホゲーム「リンドグランド」と現実の世界をリンクさせながら現代社会の問題に切り込んだ力作。編集者の橘は担当の黒岩が小児性愛と噂され、夫で猫を溺愛する宮田と対立する。橘もスマホゲームの仲間に異常な関心を抱いていた。ゲームの描写がリアル。私たちは根拠のない情報に晒され一瞬で白が黒になる世界を生きている。オンラインと現実のどちらでも当事者=フィールダーとして戦うんだ。橘の「Wi-Fiがないと生きられない。愛とWi-Fiですよ、先生、人生に必要なのは」という言葉が響く。複雑でスリリングで考えさせられる作品。

  • 愛玉子

    「多様性」というシンプルな言葉に落とし込んだ瞬間に、それ自体が単純なものになったかのような錯覚を覚える。単純ではないからこその多様性、なのに。「かわいい」という暴力性、「正しさ」という不確実性。世界はこんなにも矛盾と混沌に満ちていて、なのに私たちは価値観を共有しているという幻想の下、そこから大きく逸脱したように見えるものを悪とし、排除することを善とする、細かな違和感には目をつぶったまま。誰もが当事者である、よく耳にするこの実感を伴わない言葉が目前に突きつけられる。疾走する物語は私をフィールドへ連れていく。

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