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建国神話の社会史 虚偽と史実の境界 中公選書

古川隆久

User Review :4.0
(1)

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784121101020
ISBN 10 : 4121101022
Format
Books
Publisher
Release Date
January/2020
Japan

Content Description

「先生、そんなの嘘だっぺ!」。天照大神の孫が高天原から降臨し、その孫である神武天皇がヤマトに東征、橿原宮で天皇の位に就く―。『古事記』『日本書紀』に記されたこれらの神話が歴史的事実ではないことは、戦前の普通の人々にとっても当たり前のことであった。一方で、民主化や経済振興の手段ともなった巨大な「建前」は、やがて戦時下の国民を大きな混乱に巻き込んでいく。『昭和天皇』の著者による天皇と日本社会の近代史。

目次 : プロローグ 史実と虚偽の境界/ 第1講 神話が事実となるまで/ 第2講 「事実」化の波紋―国際協調の時代/ 第3講 建国祭と万国博覧会/ 第4講 「事実」化の矛盾―満洲事変の影響/ 第5講 「紀元は二千六百年」―戦時下の建国神話/ 第6講 「事実」化の破綻―敗戦とその後/ エピローグ 「建国神話の社会史」の旅を終えて

【著者紹介】
古川隆久 : 1962年東京生まれ。東京大学文学部国史学科卒業、東京大学大学院人文科学研究科国史学専攻博士課程修了。博士(文学)。広島大学専任講師、横浜市立大学助教授等を経て、日本大学文理学部教授。専攻は日本近現代史。著書に『昭和天皇』(サントリー学芸賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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どの国の建国神話も程度の違いがあれ、荒唐...

投稿日:2021/04/25 (日)

どの国の建国神話も程度の違いがあれ、荒唐無稽なものである。日本は古事記、日本書紀がそうである.戦前その神話を本当であるとして強制的に教えようとした。子供もその嘘を見抜いていたという。しかし戦争が近づくにしたがって多くの人がその嘘を受け入れたという。

西口まる さん | 大阪府 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • 樋口佳之

    近代日本における建国神話をめぐる歴史像から浮き彫りになるのは、やはりウソは良くないという、ごくあたりまえの教訓/それは真っ当な話ですけど、建国神話にウソが含まれているというのはどこの国でも変わらない事なのではないのでしょうか?宗教に基づくものであれ、社会契約論であれ。違いを生むのは、著者が何度も触れている「愚民観」のような気がしました。

  • さとうしん

    歴史教育として扱われる神代史が、戦前・戦中の小学生の目から見ても史実性が疑われるようなものであったこと、これに対し教師は児童に史実性を疑わせないように教育することが求められたが、指導書などでは教員自身が疑念を持たないようにし、信念を持って教育することを求めながら、その具体策は示されず、まじめな教師ほど深く悩むことになったという話が印象的。教育に関して、方法論や環境の面で無理があることを教師に求めつつも具体策が示されないというのは、今でもある問題かもしれない。

  • ロア

    建国神話を史実として生徒達に教えなければいけなかった教師の苦悩。「サンタクロースは実在するのだ!」って学校で教えるようなものですからね。それはさておきエピローグ「異論を許さず、失敗を防げない、失敗に気づいても回復できない困った社会に逆戻りする」と述べられているのですが、まさに新コロ茶番に踊らされている現状がそれ。間違いに気づいてさえいないのか?このまま間違った方向に爆進&ワクチン強制接種に持ち込み、医療業界とその周辺が待ち望んでいた新しい世界がついにあからさまに実現するのだなぁと思うとしみじみ嫌になる

  • パトラッシュ

    どの国にも国家の正統性確保のため、英雄が先頭に立ち国を打ち建てたとする建国神話がある。維新時に幼い天皇を国父とできなかった明治新政府は、古事記や日本書紀の神話を引っ張り出さざるを得なかった。国学が一般的な当時ならよかったが、科学知識が広まり義務教育が導入されると現実との乖離に苦しむことになる。神話を事実と教えるという矛盾を胚胎した近代日本は、その出発点から引き裂かれる運命にあったのだ。本書は儒学の愚民観に原因を求めているが、日本の現状に不満を抱き戦前回帰を訴える人びとにも愚民観の残滓を感じるのは私だけか。

  • 筑紫の國造

    『記紀』で語られる日本の神話。かつて、その神話が「事実」として語られた時代があった。多くの人々が記紀の神話を「事実ではない」と理解しながらも、事実として扱わなければならなかった時、日本の運命は大きく傾いていた。著者が述べるところによると、建国神話が議会制民主主義の根拠のひとつとして持ち出されたこともあった。しかし、そうした健全な神話への付き合い方は長続きせず、結局最後は徹底抗戦の根拠として利用されることになってしまう。様々なエピソードで綴る「建国神話の近現代史」は現代の社会とも繋がっている。

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