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白暗淵 講談社文芸文庫

古井由吉

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784062903127
ISBN 10 : 4062903121
Format
Books
Publisher
Release Date
June/2016
Japan

Content Description

爆風に曝された大空襲から高度成長を経て現代へ―個の記憶が、見も知らぬ他者たちをおのずと招き寄せ、白き“暗淵”より重層的な物語空間が立ちあがる。現代文学を最先端で牽引しつづける著者が、直面した作家的危機を越えて到達した、傑作。

【著者紹介】
古井由吉 : 1937・11・19〜。小説家。東京生まれ。東京大学大学院修士課程修了。大学教員となりブロッホ等を翻訳。文学同人誌「白描」に小説を発表。1970年、大学を退職。71年、「杳子」で芥川賞受賞。黒井千次、高井有一、坂上弘等と“内向の世代”と称される。77年、高井らと同人誌「文体」創刊(80年、12号で終刊)。83年、『槿』で谷崎潤一郎賞を、87年、「中山坂」で川端康成文学賞を、90年、『仮往生伝試文』で読売文学賞を、97年『白髪の唄』で毎日芸術賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • 佐島楓

    研ぎ澄まされた感覚と、明晰な思考、過去と現在が混濁する記憶。ものやひとはただ、そこに在る。そこに在って、息をしたり、話したり、交わったりしているだけなのだ。

  • 練りようかん

    12短篇。滞留する空気を常に意識しながら、包まれるでもなく座視ともちょっと違う、何だろうこの感じと思いながら読み進めると、表題作で主人公が抱える空白に出会い、輪郭がない、まさにそれだとハッとした。空襲の強烈な体験、少年から老年まで肌身で感じる肉親の死、何度も交わる女。繰り返される描写やモチーフが幻想小説を思わせた。文章を理解できてないのに文脈に呑み込まれる勢いが古井的世界だなと痛感。“踏切りを渡る時、人は失踪してるのかもしれない”という言葉が非常に印象的。つゆ知らず暮らしてる。踏切りが淵に見えてきた。

  • いのふみ

    「物を言わずにいるうちに、自身ではなくて、背後の棚の上の、壺が沈黙しているように感じられることがある」。何を借りる当てもなく彷徨っていた閉館間際の図書館で、何気なく手に取ったその冒頭にひっくり返りそうになったのだった。文章を追うだけでも心地よい。人はすこし「ぼんやり」している方が却って鋭敏なのだ。

  • 7ember

    古井由吉、数年前読んだ時は、やたらめったら晦渋な文体だなと圧倒されるばかりでまったくついていけなかったけど、今回読んでそれもそのはずと納得した。人生経験云々という以上に、プルーストやフロイトを全く知らずに、感性だけでこの作家に挑もうとするのはほとんど無謀。そういう古典を踏まえた上で読むからこそ、舌を巻くことができたと思う。

  • 白いハエ

    「しろわだ」と読む。「闇も極まれば白くなる」というようなことをどこかの対談で著者が言っていたが、表題作に現われるのは白き闇自体ではなく、闇と白の強烈なコントラストだった。光が差しても消えぬ黒、ならば、光もどこか闇を孕みつつ、生きるわれわれの腹の内に蠢いているのではないか。そういう不安が絶えず文中につきまとい、死の床に就いた人々の方がよほど安らかに映るほどである。古井由吉は読めば読むほど、恐ろしく、物狂おしい何かがこちらの精神に滲みてくる。世俗の会話すら、どこか、遠い破壊の記憶に通底していくような。

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