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ISBN 10 : 476642381X
Content Description
吉行淳之介(一九二四‐九四)は、新宿赤線地帯の娼婦を題材にした作品群で登場し、一九七〇年代以降一世を風靡するごとく注目された作家である。現代の侍にたとえられ、ストイックな芸術家、女好きの女嫌いなどと評され、その文学は人工的な冷やかさを持ち、虚無と抽象性、研ぎ澄まされた感覚にみちている、と評された。だが、その作品の魅力の全体像を探りながら論じたものはこれまでにない。本書は主要な作品の生成をたどりながら、あらたなる吉行文学の本質―「現実から非現実への飛翔」「心理ではなく生理のメカニズムの抽象化」「繰り返された改稿の果てにたどりついた文体の美」等を論じた意欲作である。“女”や“性”を書いた作家ではない、という言葉の先に見える吉行の文学世界が新鮮に輝く。
目次 : 第1章 伝説への序奏―「鳥獣虫魚」/ 第2章 恋愛と覚醒―『闇のなかの祝祭』/ 第3章 痩せ我慢とダンディズム―『焔の中』/ 第4章 文章の高みへ―『驟雨』における改稿から/ 第5章 具象から抽象へ―『砂の上の植物群』まで/ 第6章 荷風と淳之介―『星と月は天の穴』の頃/ 第7章 衰弱と薔薇―『暗室』/ 第8章 澄みわたる文体―最後の短篇「蝙蝠傘」へ
【著者紹介】
加藤宗哉 : 1945年生れ。慶應義塾大学経済学部卒。日本大学芸術学部文芸創作科非常勤講師。1997年より2012年まで「三田文學」編集長。学生時代、遠藤周作編集の「三田文學」に参加、同誌に載った小説が「新潮」に転載され、作家活動に入る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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