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9条の戦後史 ちくま新書

加藤典洋

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784480074027
ISBN 10 : 4480074023
Format
Books
Publisher
Release Date
May/2021
Japan

Content Description

世界に先がけた理想として敗戦国日本にもたらされた憲法9条。だがその9条とのあいだに、私たち日本人は生きた関係を築けずにきた。原初からの問いを育てることができなかったからだ。もし9条が役に立ちうるとすれば、それを生かすのにいま、何が必要なのか―。日米安保条約締結から、改憲派・護憲派の二項対立が形成される高度成長期をへて、冷戦終結後、対米従属を深め混迷にいたる現在まで。戦後史の深層を丹念に掘り起こし、ゼロからの問いを提起する。『9条入門』の後半として書き下ろされた、著者さいごの提言。

目次 : 第1部 日米安保条約と憲法9条―1950年代(改憲論の登場)/ 第2部 安保闘争と日米安定期―1960〜80年代(さまざまな護憲論/ 折り返し地点―保守系ハト派の護憲型政治)/ 第3部 冷戦終結から日本の閉塞へ―1990年代以降(冷戦以後の日米安保/ 21世紀と凋落のはじまり/ 歴史像の改定―捨象される経験の核心)/ おわりに 憲法9条/使用法

【著者紹介】
加藤典洋 : 1948‐2019年。文芸評論家。早稲田大学名誉教授。東京大学文学部仏文科卒業。著書に『戦後入門』(ちくま新書)、『敗戦後論』(ちくま学芸文庫、伊藤整文学賞受賞)、『アメリカの影』『戦後的思考』(講談社文芸文庫)、『言語表現法講義』(岩波書店、新潮学芸賞受賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • 佐島楓

    コロナ禍のなか、変質してしまった世界を踏まえた論考を加藤氏の筆で読んでみたかった。理想も理念もなくてはならないものだが、目の前にある現実をどう乗り越えていくか。第二次世界大戦の地獄を体験した最後の一人が地球上から亡くなるとき、またそれ以降、ひとりひとりがどういう実感を持てば戦争は回避できるようになるのだろう。

  • 1.3manen

    日本社会の安定のカギとして機能していた(225頁)。高坂正尭、永井陽之助、猪木正道は保守現実主義的解釈合憲の『中央公論』。これに対し、革新中立主義的護憲論の丸山真男、坂本義和の『世界』。60年代以降の構図(227頁)。米国にとって最も好ましいのは、政治・軍事・経済で日米が米国優位の従属関係が保たれていること(241頁)。252頁〜森嶋通夫先生。自分流に考える破天荒な人物(254頁)。他、都留重人(311頁〜)。良心的兵役拒否は、誰もが服すべき規範に全身的拒否で対する行為(330頁)。

  • ころこ

    批評の本ではなくて、政治の本になっています。色々調べています。しかしそれを一気通貫で書くことは、以前の著者の仕事を裏切ることになるのではないか。日米の「ねじれ」を国連に託すことで解消するとは、著者が批判する典型的な護憲派が9条に無謬性を託した対象が変わっただけではないかという疑問が残ります。自衛官の身体性に想像が及んでいない、つまり、左派からは指揮系統の曖昧な軍隊ほど危険なものはない、右派からは動機の曖昧な組織に命は懸けられないという容易に思い当たる反論に耐えうる結論にはなっていないと思います。

  • Kai Kajitani

    護憲/改憲という戦後政治の対立軸は、当初は対米自立を訴える改憲派と、平和主義の理念と経済的繁栄がぼんやりと共存していた護憲派、という構図だった。それが、冷戦の崩壊とそれを受けたジョセフ・ナイによる日米安保の「見直し」により、対米自立どころか米国の安全保障政策にどこまでもついていくことを主張する改憲派と、それに対して実利という手ごまを失い、安全保障の代案もなく、旧来からの平和主義しか対抗軸を持たない護憲派、という構図に変化した、という指摘は目から鱗だった。安保法制をめぐる議論を総括する意味でも有意義な本。

  • takao

    ふむ

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