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村上春樹の短編を英語で読む 1979-2011上 ちくま学芸文庫

加藤典洋

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784480099457
ISBN 10 : 448009945X
Format
Books
Publisher
Release Date
October/2019
Japan

Content Description

英訳された作品を手がかりに村上春樹の短編世界を読み解き、その全体像を一望する画期的批評。短編小説からアプローチすることで、村上がそのデビュー時から、どのような課題にぶつかり、固有の困難を自らに課し、それらを克服してきたかが見えてくる―。上巻では、「言葉」か「物語」かの二者択一という問いに突き当たった「初期」、そして、本格長編『羊をめぐる冒険』以降、はっきりと「物語」に軸足を置くことになった「前期」の作品群をあつかう。英語での講義をもとに日本語で書かれた、平明にしてライブ感あふれる一冊。

目次 : 序 「井戸」の消滅―『ねじまき鳥クロニクル』から『1Q84』へ/ 第1部 初期 物語と無謀な姿勢(最初の選択―「言葉」か「物語」か/ 「無謀な姿勢」はどこから来るか―「中国行きのスロウ・ボート」/ 観念と初心―「貧乏な叔母さんの話」/ 「耳をすませる」こと―「ニューヨーク炭鉱の悲劇」)/ 第2部 前期 喪失とマクシムの崩壊(卑小な「空白」―「午後の最後の芝生」/ 強奪と交換―「パン屋再襲撃」/ 「ないこと」があること、「ないこと」がないこと―「象の消滅」/ マクシムの崩壊―「ファミリー・アフェア」)

【著者紹介】
加藤典洋 : 1948年、山形県生まれ。文芸評論家。早稲田大学名誉教授。東京大学文学部仏文科卒業。著書に『敗戦後論』(ちくま学芸文庫、伊藤整文学賞受賞)、『言語表現法講義』(岩波書店、新潮学芸賞受賞)、『小説の未来』『テクストから遠く離れて』(朝日新聞社/講談社、両著で桑原武夫学芸賞受賞)など多数。2019年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • 佐島楓

    10日くらいかけて上巻を読了。時間をかけて正解な内容だった。下巻にまとめて感想を書くつもり。

  • 踊る猫

    すでに語りつくされた感のある村上春樹を、とりわけ短編を中心に読みこんでそれを英語圏の聴衆たちに語ることによってあらたな像を浮かび上がらせようとするこころみ。「英語で読む」というわりに日本語のテクスト読解にかなり依存している印象も持つが、しかしそこはさすが加藤だけあり村上春樹がさまざまな外部のガジェットを自家薬籠中のものとして作品世界を広げていったことを説く手つきは侮りがたい。じゅうぶんに細部に目を凝らし、そこから丹念にかつどんな既存の読みにも深く依存したりせず加藤独自の徒手空拳の読解を繰り広げていると読む

  • ラウリスタ〜

    タイトルで誤解してはいけない。NHKでやってそうな、英語学習用の春樹本ではなく、英語圏での村上研究は、日本語での村上とは別のコーパスを持っており(特に短編小説集)、そのことで今後、日本人だけが村上研究で、部外者になってしまう可能性を指摘。日本小説の、私小説的な「我」にうんざりしていた若き春樹にとって、アメリカ小説(とその翻訳)は、救いになった。社会への無関心が、若者に支持され、大江らに批判されたが、実際には彼の初期小説は、父の中国従軍の記憶、内ゲバ、といった負の歴史を、気づかれないように書いていると深読み

  • なつのおすすめあにめ

    とりあえず下巻へ行くが、「村上春樹の 長編 を 短編 で読む」というタイトルの方がいい気がする。

  • 山ろく

    読みどころは著者の語る「文学作品の解釈の基本のコツ」p186「漠然ともやもやしたものを、そのままに一語にして確保しておく」。「自分の解釈が変な理屈のこね回しになってないか」を「確認する足場にする」。読後感を言葉にしただけでは伝わらない、置き換える、仮説をでっちあげる。という訳で、村上春樹の短編には一体何が、なぜ書かれたのかを次々と「仮説」でもって解釈していく。村上春樹評論のキーワードである「デタッチメントとコミットメント」についての解釈や「井戸」と作品との関わり方の変化など興味深く読めた。詳細は下巻読後。

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