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村上春樹の世界 講談社文芸文庫

加藤典洋

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784065196564
ISBN 10 : 4065196566
Format
Books
Publisher
Release Date
May/2020
Japan

Content Description

著者の文芸評論家としてのキャリアのなかで一貫してつづいた村上春樹作品への強い関心。世界的な人気作家を相手に遠慮も手加減もなく長篇も短篇も読むたびごとに全力で受け止め刺戟的な批評の言葉を対置して向き合ってきた。肯定も否定も超え真価を問う営みがここにある。没後発表された遺稿「第二部の深淵」を収録。

目次 : 1 村上春樹の世界/ 2 作品論(自閉と鎖国―『羊をめぐる冒険』/ 「世界の終り」にて―『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』/ 不思議な、森を過ぎる―『ノルウェイの森』/ 夏の十九日間―『風の歌を聴け』/ 行く者と行かれる者の連帯―『スプートニクの恋人』/ 村上春樹の短編から何が見えるか―初期短編ほか/ 小説が時代に追い抜かれるとき―『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』)/ 3 書評(「心を震えさせる何か」の喪失―『国境の南、太陽の西』/ 消滅した「異界の感覚」―『ねじまき鳥クロニクル』/ 縦の力の更新―『ねじまき鳥クロニクル』第三部/ 「居心地のよい場所」からの放逐―『女のいない男たち』/ 再生へ 破綻と展開の予兆―『騎士団長殺し』第1部・第2部)/ 4 遺稿(第二部の深淵―村上春樹における「建て増し」の問題)

【著者紹介】
加藤典洋 : 1948・4・1〜2019・5・16。文芸評論家。山形県生まれ。1972年、東京大学文学部仏文科卒。国立国会図書館勤務、明治学院大学教授、早稲田大学教授を経て、2014年、同大学名誉教授。85年、最初の評論集『アメリカの影』刊行。97年、『言語表現法講義』で新潮学芸賞、98年、『敗戦後論』で伊藤整文学賞、2004年、『テクストから遠く離れて』『小説の未来』で桑原武夫学芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • ころこ

    加藤は大学に勤めていたが、研究ではなく、あくまでも批評家としての村上への興味を終生持ち続けていた。前半は批評家として、後半は教育者としての文章であり、後半の方が構図がはっきりしていて読み易いが、暗がりを進むような前半の方が加藤らしいし、前半の積み重ねがあっての後半の論である。『行く者と行かれる者の連帯』いったい『スプートニク』の何を読んでいたのだろうかと気付かされる。すみれ=花、にんじん=根の対立をライカ犬と普通の犬にも置き換える。自分は「花」ではなく、「根」の方に付くというコミットメントを描いている。『

  • かば

    たとえば『ねじまき鳥クロニクル』『1Q84』はそれぞれ全2巻で完結かと思わせておきながら忘れた頃に続刊を刊行したのは何故なのか、といったような少々変わった視点から出発しつつ、村上春樹世界の深部までメスを切り込む論評の進め方に舌を巻く。特に「『風の歌を聴け』は、否定から肯定への物語である」と評する「夏の十九日間」は素晴らしかった。文庫のくせに2200円もしたが、十分にそれに値する内容であった。

  • amanon

    いわゆるハルキストではないとはいえ、それなりに熱心な村上春樹読者だ自認してきたが、それでも本書でなされる読みの深さには少なからず理解しがたいものを感じたというのが正直なところ。とりわけ『世界の終わり〜』を論じた章は、作品そのものの記憶が不確かなこともあって、読み通すのにかなり苦労した。ただ、安部公房の『砂の女』を引き合いに出して論じているのが意外であるのと同時に新鮮だった。また、また、『ねじまき鳥〜』が後で書き足されたいう事実に驚き。続編が書き足されずに完結した『ねじまき鳥〜』は想像しにくいけれど。

  • Kazuo Tojo

    三宅香帆さんのYouTubeを見て購入した。著者は、2019年度にお亡くなりになってます。村上春樹さんの本を読んでこんなにたくさんの表現で批評されるんなんて感心するばかりです。著者が一番、好きなのは「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」だそうで。自分は、若かりし頃、途中で挫折した覚えが。また、読みたいと思う。それに「1Q84」も今年中に読んでみたい。

  • 山ろく

    登場人物の行動や台詞がしっくりこないときはあってもそこは実生活も同じで、こいつ何考えてんだろう自分ならそんなことしないな今後付き合うことはないかもな、となるところを、それで終わらないのが文芸批評の凄さだ。作品論が7編と書評が5編。違和感やわからなさを糸口に、一旦は完結した作品の「建て増し」や下敷きとなった短編と長編との読み比べを通して、「なぜこう書いたのか」「何が書きたかったのか」を推理していく。例えば「世界の終わり−」では僕と影との会話や行動など。読解による新鮮な意味づけはスポーツ解説と面白さで通じる。

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