Books

開けられたパンドラの箱

創編集部

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784904795538
ISBN 10 : 4904795539
Format
Books
Publisher
Release Date
July/2018
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

2016年7月に起きたやまゆり園障害者殺傷事件は、障害者には恐怖をもたらしたまま、一般の人たちには忘れられつつあるかに見える。重大で深刻な事態に直面し、それが二度と起こらないようこの社会は対応を迫られたはずなのに、何もなされぬまま事件を風化させつつあるように見える。本当にこのままでよいのだろうか。本書は植松聖被告や事件の被害者など様々な関係者への取材をもとに改めて問題提起をしたものだ。

【目次】

はじめに 開けられたパンドラの箱に社会はどう対応すべきなのか............篠田博之―



第1部  植松被告に動機を問う
1............植松被告が面会室で語ったヒトラーの思想との違い―
2............植松被告から編集部へ送られた手紙―
3............ 「どの命も大切だという考えはないの?」という問い―
4............被告が語った津久井やまゆり園での仕事―
5............何が植松被告を事件に追いやったのか―
6............衆院議長への手紙から措置入院までの経過―
7............被告がつづった犯行後の出頭状況―
8............ 「色のない食卓」―獄中生活―
9............被告がつづった自分の生い立ち―
10............7項目の提案と「戦争反対」の主張―
11............植松被告が獄中で描いたマンガ―



第2部  事件とどう向き合うか
黙ってしまうと植松に負けたことになる............尾野剛志―
・事件の朝、体育館に4枚の紙があった
・犠牲者が全て匿名になった背景
・匿名では植松に負けたことになる
・津久井やまゆり園建て替えをめぐる議論
・今やられていることは「順序が違う」


社会にとって他人事でしかないやまゆり園事件をどう引き受けるか............海老原宏美―
・事件の後も障害者への差別は全く変わらない
・被害者の名前が出ないのは悲しかった
・日本は今、逆のことをやろうとしている
・なぜ今、自分たちで映画を作ったのか


娘・星子と暮らす身として植松青年には言わねばならない............最首 悟―
・植松被告の言う「心失者」という概念
・「わからないこと」がなおざりにされている
・植松青年の言う「解決」とは
・人間における「二者性」の問題
・植松青年がかつて教師を目指した意味
・植松青年と賛同者に言いたいこととは
・待ち構えている2025年問題
・娘・星子と私たちの生き方


犠牲になった19人の「生きた証」を求めて............西角純志―
・19人の「生きた証」を言語化する試み
・犠牲者を知る人を訪ね歩く
・ハートネットTV「匿名の命に生きた証を」の反響
・「お別れ会」で語られた逸話と地域住民の活動
・やまゆり園の建て替えをめぐって
・法権利を奪われた犠牲者たち



第3部  精神科医はどう見るか
「思想」と「妄想」の曖昧な境界............香山リカ×松本俊彦―
・「思想」なのか「妄想」なのか
・措置入院解除後も2回の通院
・ヘイトデモ参加の差別主義者との関係は
・薬物使用の影響、家族との関係は
・障害者との共生と監視社会の恐怖


「包摂」か「排除」か―最終報告書を読んで............香山リカ×松本俊彦―
・厚労省検討チームの最終報告書
・日本の精神科医と薬物の問題
・とてもデリケートな「関係機関等の協力の推進」
・保安処分的な見解と検討委員会の見方
・植松容疑者と福祉施設職員の待遇
・植松容疑者の価値観はいかにして形成されたのか
・折り合いをどうやってつけるのか


相模原障害者殺傷事件と強制不妊手術の通底............香山リカ×松本俊彦―
・自己愛性パーソナリティ障害という診断について
・犯行動機については同じ主張を繰り返す
・犯行への飛躍の仕方が病的な印象
・病気と言えるわけでないが正常とも思えない
・犯行に及ぼした薬物の影響
・措置入院の影響は深刻な問題
・「同意なき支援」と「監視」の平行線
・措置入院の入り口をめぐる問題
・事件の背景にある時代の雰囲気
・強制不妊手術の驚くべき実態
・次の国会で再び法案提出か


措置入院をめぐる誤った見方―佐賀バスジャック事件を教訓化しなかった誤り............斎藤 環―
・暴力に対する反応がナイーブすぎる日本の精神医療
・精神医療でのクレイジーとマッドの違い
・障害者だけでないマイノリティ排除の発想
・刑法39条自体の見直しが必要ではないか
・退院後、回避すべきだった孤立した状況
・措置入院とは何なのかさえ曖昧なままでの議論
・対応を間違えると真相は闇の中に


あとがき
この1年間痛感した事件の風化とメディアの責任............篠田博之―

Customer Reviews

Comprehensive Evaluation

☆
☆
☆
☆
☆

0.0

★
★
★
★
★
 
0
★
★
★
★
☆
 
0
★
★
★
☆
☆
 
0
★
★
☆
☆
☆
 
0
★
☆
☆
☆
☆
 
0

Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

powered by

  • ナミのママ

    発売前にNHKにても取り上げられ話題になった本ですが『少年A』のような本人の手記ではありません。編集長が自ら長い取材をしたものを丁寧にまとめています。この事件は19人を殺傷して反省がみられないという植松被告の問題だけではなく、被害者が匿名報道された事、やまゆり園建て替えに関して全国障害者関連団体が反対して計画が見直された事、措置入院と精神科の問題、多くを含んでいます。著者は自分の考えを押し付けず、読んで考えて議論してほしいと書いています。マスコミのありかたも含め読んでみて良かったと思える本です。

  • 南北

    津久井やまゆり園障碍者殺傷事件から5年になる。本書では植松聖へのインタビューだけでなく、本人の描いた絵が掲載されているが、なぜ犯行に至ったのかが見えてこない。死刑判決が確定し、今後弁護士や家族しか接見できなくなるので、今後新たな情報が出てくる可能性は低くなる。意思疎通できないものは「心失者」であり、社会から排除すべきであるという考え方は一貫しており、同調者が今後出てこないとも限らない。単に拒絶しているだけでは原因分析できないし、対応策も見えてこない。死刑執行すればすべて終わるわけではないのだ。

  • うさうさ

    植松被告や関係者に取材を重ね真面目に事件に取り組んだ印象。事件当初からこの事件にかなり関心を持っていた。植松被告の重度障害者に対する考え方やその周辺を聞くと、おかしな部分は多いのだけど何となく分かるような感じもした。それは多くの人間が持っている弱者切り捨て論だ。 強制不妊手術、生活保護叩き、子を産まない人は生産性ない発言… そして、植松被告が事件前に同僚に自分の考えを打ち明けたとき、法律でダメだからとは言うが、誰もその考え方は間違っていると言わなかった点からも何となくわかるかな。

  • gtn

    彼がやまゆり園に勤務しなかったら、このような奇妙な思想に取りつかれることはなかったに違いない。彼はいろいろ理屈を並べて自己正当化しようとするが、その裏にあるのは「潔癖」という浅薄な性分である。自分はヒトラーではない、人種で差別しない、「心失者」を本人のために安楽死させてやるだけだと彼はいう。では、その線引きをするのは誰だ。生殺与奪の権を握っているのは、植松聖、お前か。

  • bayashi

    全く報道されなくなり気になっていた。が、この本を読んで判ることは特になかった。やはり理解できる類の物ではないのか、書いたら出版に耐えないものになるのか。特に一章の内容は、後者になるのを無理やり避けてる印象を受けた。 事件当時は、積極的ではなく対象も異なるだろうが、植松と似たようなこと考える人はいると思ったので、これに続く人が出るのではと考えたがそんなことはなかった。本当に良かったですね。

レビューをもっと見る

(外部サイト)に移動します

Recommend Items