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太平記よみの可能性 歴史という物語

兵藤裕己

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784061597266
ISBN 10 : 4061597264
Format
Books
Publisher
Release Date
September/2005
Japan

Content Description

太平記よみの語りは、中世・近世を通じて人びとの意識に浸透し、天皇をめぐる二つの物語を形成する。その語りのなかで、楠正成は忠臣と異形の者という異なる相貌を見せ、いつしか既存のモラル、イデオロギーを掘り崩してゆく。物語として共有される歴史が、新たな現実をつむぎだすダイナミズムを究明し、戦記物語研究の画期となった秀作、待望の文庫化。

目次 : 第1章 太平記の生成/ 第2章 もう一つの「太平記」/ 第3章 天皇をめぐる二つの物語/ 第4章 楠合戦の論理/ 第5章 近世の天皇制/ 第6章 楠正成という隠喩/ 第7章 『大日本史』の方法/ 第8章 正統論から国体論へ/ 第9章 歴史という物語

【著者紹介】
兵藤裕己 : 1950年生まれ。京都大学文学部卒業、東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。学習院大学教授。専攻は国文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • はっせー

    かなり面白かった! この本は太平記におけるよみ(講釈)の可能性を広げるものである。最初の部分では太平記の中身の検討をしてその後は太平記がのちの世にどんな影響を与えたかについて触れていた。その中でも印象に残っているのは楠木正成が山伏の人と関わっていた点である。楠木正成は天皇を守った忠臣として描かれがちである。しかしその側面では一土豪が天皇の側近まで登りあげたことについての疑問や可能性をあげていた。楠木正成についてもっと深く知りたいのとして兵藤さんの本をまた読んでみようと思った!

  • たま

    日本文学に不案内ながら、この本は素晴らしい本だと思った。私なりに要約すれば、平家物語と太平記は(単なる戦記物ではなく)朝廷を守る武臣つまり源平の交替と言う歴史観を示し、また武力交代の正当性の主張(宋学の名分論)であり、その後幕末へと至る歴史を方向付けたと言うことになるだろうか。後醍醐天皇と楠正成の、武臣内秩序を飛び越えた結縁が太平記語りらの活動で民衆の想像力をかき立て尊皇を掲げる草莽の「志士」の暴力(テロリズム)へとつながっていく。今なお私たちの社会がその影響下にあるものを鮮やかに捉え直していると感じた。

  • isao_key

    太平記全40巻は3部に分けられる。後醍醐天皇の即位から北条氏の滅亡、建武政権の発足までが第1部で、建武政権の崩壊と、足利尊氏の北朝擁立、楠正成や新田義貞の戦死、後醍醐天皇の崩御までが第2部、足利政権の内訌、北朝方守護大名の抗争、南朝勢力進出と足利義満の登場までの第3部である。また「忠臣」という語から、当時直ちにイメージされたのも楠正成であった。水戸光圀が、摂津湊川に「嗚呼忠臣楠子之墓」を建立したのは元禄5年(1692)で、すでに元禄15年の赤穂事件当時「忠臣」正成の墓碑は、山陽道の名所になっていたようだ。

  • 千住林太郎

    太平記は足利家の権力を正当化する物語である一方、足利家に敵対する楠木正成を稀代の忠臣として描くことで、既存の権力秩序を解体する解釈もできる物語であった。物語の解釈が、新たな歴史観を生み、そして歴史を作る原動力となる。その中でも由井正雪の章が印象的だった。太平記を読みふけるうちに、由井は自分を楠木正成と同一化してしまい、江戸幕府に対して反乱を起こす。 それ以外の章も面白く、太平記のみならず朱子学や水戸学などの日本思想にも興味が沸いた。

  • ドビン

    武臣と天皇の関係、源平交代の歴史、太平記の読み換え受容の歴史等を通して、物語としての歴史があらたな歴史、物語を産み出していく過程を見事に考察した著。読み応え、十分❗

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