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インドネシア大虐殺 二つのクーデターと史上最大級の惨劇 中公新書

倉沢愛子

User Review :5.0
(1)

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784121025968
ISBN 10 : 4121025962
Format
Books
Publisher
Release Date
June/2020
Japan

Content Description

1960年代後半、インドネシアで2つのクーデターが発生した。事件の起きた日付から、前者は9・30事件、後者は3・11政変と呼ばれる。一連の事件が引き金となって、独立の英雄スカルノは失脚し、スハルト政権が誕生することになる。権力闘争が絡んだ事件の裏で、最大200万人とも言われる市民が巻き添えとなり、残酷な手口で虐殺された。本書では、今なお多くの謎が残される史上最大級の虐殺の真相に、長年の現地調査と最新資料から迫る。

【著者紹介】
倉沢愛子 : 1946年生まれ。東京大学大学院修了。コーネル大学大学院ならびに東京大学にて博士号(ともにインドネシア研究)。摂南大学、名古屋大学教授を経て慶應義塾大学教授、その後名誉教授。専門はインドネシア社会史。著書『日本占領下のジャワ農村の変容』(草思社、1992、サントリー学芸賞受賞)ほか多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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1965年から1968年にかけて発生したインドネ...

投稿日:2021/04/22 (木)

1965年から1968年にかけて発生したインドネシアの政変、クーデターは、実は虐殺事件を伴った凄惨なものだったのだが、冷戦体制下の、ヴェトナム戦争を抱えていた東南アジアに於いては、様々な思惑もあって、その残虐性にはあまりスポットが当たらないままに来てしまった。そのインドネシア政変を大虐殺という視点から取り上げた本。実際、このインドネシアの負の歴史は、近年制作された映画などによって今更ながらスポットライトが当てられているものの、つい先頃まではインドネシアに対するそうした負のイメージは殆ど意識されて来なかったのではないだろうか。そんなような、うっかりした私のような人間に頭から冷水をぶっかけてくれるような本。

Verdi さん | 神奈川県 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • HANA

    題名にこそ大虐殺とついているが、実際はインドネシアで60年代後半に起きた政変のルポタージュ。この時期はイデオロギー対立がもっとも先鋭化した時期で、中国の文革やクメールルージュはよく知られているが、インドネシアでも同じような事が起きていたことは、本書によって初めて知る。虐殺の部分は本書の一部ながら、そこで語られている体験談が本書中一番価値があったのではなかろうかと思った。この部分、もう少し掘り下げて堀かったなあ。あと自分年代には単なるテレビタレントとしか思えた居なかったデヴィ婦人の意外な活躍。人に歴史あり。

  • skunk_c

    スカルノ政権末期からスハルト政権へ移行する期間の政治史と、その間に起こった虐殺について、最新の知見や被・加害者へのインタビューを交えて明らかにした著。本書にも紹介されている馬場公彦『世界史の中の文化大革命』で知ったこのインドネシア共産党への弾圧について、より深い知見を得ることができた。また直前に『民衆暴力』を読んでいたため、インドネシア民衆が共産党関係者を虐殺するプロセスの中に、いくつか共通点を見いだすこともできた。スカルノの失策もあったが、政治過程の残酷さ、この時代の党派抗争の熾烈さを改めて感じた。

  • パトラッシュ

    インドネシアでスカルノからスハルトへの政権移行期に大量虐殺があったと聞いていたが、その実相を初めて知った。政権上層部の権力闘争が民衆にも広がり、フェイクニュースで踊らされ隣人が殺し合うボスニアやルワンダを予告する事態が起こっていたとは。人は信じたいものを信じ、そのためなら簡単に人を殺す。それを煽動した欧米や見捨てた毛沢東など国際政治の冷酷さも浮き彫りにする。途上国だけの話ではなく、来月のアメリカ大統領選でトランプが敗れたら陰謀論を信じる熱狂的支持者が暴動を起こす可能性が冗談ではなく危惧されているのだから。

  • まると

    こういうのを読むと、人間は何と恐ろしいことのできる生き物かと感じざるを得なくなる。殺戮に加担した人や40年以上、家族と離れて逃避行を続けた人の証言が生々しく、読ませる。この血生臭い大虐殺とその後の弾圧・差別がナチス・ドイツやカンボジアのそれと比べてあまり知られていないのは、独裁体制下で情報統制さえすれば、陰惨な歴史的事実も隠し通せることを証明しており、そのこと自体に恐ろしさを感じる。惨劇を後世に残そうとする学者の矜持を感じるとともに、インドネシア現代史の輪郭を学ぶことのできる良質なテキストでもありました。

  • kk

    ちょうど私ことkkiがこの世に生を受けた頃、南の国インドネシアで繰り広げられた恐るべき政治的大激動の実態。言葉も民族も宗教も生活も同じくしていても、人は人に対して、かくも苛烈になれるものか。政治やイデオロギーといったものの本源的な恐ろしさに、今さらながら戦慄する思いです。アジアに於いて冷戦はこのように戦われ、我々自身の今日の暮らしもこうしたエピソードに繋がっていること、心の片隅にであれ、忘れずにいたいものです。

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