佐藤幹夫

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  •  以前、ニュースでこの本の主人公と思われる人の話題...

    Posted Date:2022/07/05

     以前、ニュースでこの本の主人公と思われる人の話題を目にしたことがある。「障害がある教師が、無理に遠い学校に転勤させられて困っている」、そんなニュースだった気がする。  その時は何とも思わず、あゝそんなこともあるのかなぁ、と思った。この本の書名に惹かれ、ページをめくると、実の問題は、長年「担任になりたい」という願いが打ち砕かれている、ということだと知った。  読んでみて、これは奮闘の記録であるばかりでない。  著者はいろいろな人的ツールを駆使して問題を多方面から深掘りして読者に突きつける。  私は、一貫して「管理社会」に対する挑戦の書として読み、以下三つの視点で理解した。 ◎一般教育の管理。例えば「授業のUD化」「授業の流し方を画一化する」という方法が流行っているという。 「授業スタンダード」「規律スタンダード」とで教師と子ども共々が管理されるという。これには驚いた。実に恐ろしい話ではないか。  そのうち教師は要らない、パソコンの方が、スタンダードを守る、という話になるだろう。これは一例だが。 ◎特別支援教育の管理。障害の「レッテル張り」が横行して排除の思想が広がっていると指摘している。これも管理の結果であろう。  実は、政府は最初から特別支援教育という新たな美名のもとで、「正常」社会から「異常」分子を追い出し、安価かつ効率的に管理しようとしたのだと思う。それが、現場に実現されたにすぎないのだと思う。 ◎障害のある教師の支援という偽善。偽善的お題目唱えるのはポリコレの常とう手段である。きっと管理から外れない程度にやったふりをするだろう。 (私は疑い深いので、秋田県の処遇は、その範囲と見た。)  それでもなお旧態依然の社会に果敢に挑み続ける主人公。それを支え社会に発信しようとする著者。両社の奮闘には敬服するしかない。    ご存じだろうか。内閣府で出している「ムーンショット計画」には、人口食物を食べ、アバターなる「私でない私」が仮想空間で”幸福な生活”を実現するという100%管理の狂気じみた社会が理想として研究されている。  教育という営みもこうした狂ったリーダーの下に管理されようとしている。  そうした勢力に抗い、教育の場で、福祉の場で、闘う書としてぜひ一読をお勧めしたい。

    Q-chan .

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