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スウィングしなけりゃ意味がない

佐藤亜紀

User Review :5.0
(1)

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784041050767
ISBN 10 : 4041050766
Format
Books
Publisher
Release Date
March/2017
Japan

Content Description

1939年ナチス政権下のドイツ、ハンブルク。軍需会社経営者である父を持つ15歳の少年エディは享楽的な毎日を送っていた。戦争に行く気はないし、兵役を逃れる手段もある。ブルジョワと呼ばれるエディと仲間たちが夢中なのは、“スウィング(ジャズ)”だ。敵性音楽だが、なじみのカフェに行けば、お望みの音に浸ることができる。ここでは歌い踊り、全身が痺れるような音と、天才的な即興に驚嘆することがすべて。ゲシュタポの手入れからの脱走もお手のものだ。だが、そんな永遠に思える日々にも戦争が不穏な影を色濃く落としはじめた…。一人の少年の目を通し、戦争の狂気と滑稽さ、人間の本質を容赦なく抉り出す。権力と暴力に蹂躙されながらも、“未来”を掴みとろうと闘う人々の姿を、全編にちりばめられたジャズのナンバーとともに描きあげる、魂を震わせる物語。

【著者紹介】
佐藤亜紀 : 1962年、新潟県生まれ。91年、『バルタザールの遍歴』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。2003年『天使』で芸術選奨新人賞を受賞。08年『ミノタウロス』で吉川英治文学新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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凝りに凝ったプロット。キャラ立ちしまくり...

投稿日:2019/01/01 (火)

凝りに凝ったプロット。キャラ立ちしまくりな人物造形。政治、歴史の該博な知識。 無駄のなく、密度の濃い格調高き文章。 どれを取っても一級品な佐藤先生の新作は、いつも捨て作一切無しのマスト本です!

Joe さん | 大阪府 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • 紅はこべ

    ユダヤ人迫害をメインではなく、第二次大戦中のドイツを描いたのは珍しい。ドイツとジャズって意外な組み合わせだった。ユダヤ系じゃない富裕層もゲシュタポの標的となっていたのか。佐藤亜紀さんの訳した歌詞がかっこいい。演奏者としての才能はなかったけど、プロデュースや商売の才能があったエディ、自国をお馬鹿な帝国と言い放てる見識、かっこいいよね。経済をきちんと描くのがこの作家らしい。ナチに膝を屈したと見えた父の真意をエディが悟った時は泣けた。デュークと再会するかと思ったが…。

  • 風眠

    もしも日本が戦争を始めたとして、アイドルやバンド等の音楽や文化を全部禁止します、と言われたら、私達は黙って従えるだろうか。つまりこの小説で言っている事って、そういう事なのだ。第二次大戦、ナチス政権下ではジャズは敵性音楽だった。そんな理不尽と抑圧と全体主義に対して「誰得だよ」とか「うぜえ」とか言いながら、ジャズを手放さない不良少年達。こんな風に文体を1940年代から現在にスイッチさせた佐藤亜紀のセンス、本当に素晴らしいと思う。だって、ナチス政権のバカバカしさや戦争の愚かさを、身近に感じる事ができたのだから。

  • 雪風のねこ@(=´ω`=)

    戦場のコックたちと似たニュアンスかなと読み始めて、ドイツは敗戦国だったと思い直す。言い回しが小気味良く適度な刺激で読み進められる。エディは、イロニーは無いと嘯いているけれど、パーティを催し、海賊盤を作り、工場も運営し…。それが彼のイロニーでは無いかと思う。世は何時もお前より一枚上手だ、と叔父に言われるが、ゲッベルスが自前のバンドを持ち…という件から、真理としてさらに一枚上手だったと言える。人間の本能的な喜びは制度や暴力では止められない。止める側が止めてないからだ。そういうイロニーが込められた作品である。

  • 🅼🆈½ ユニス™

    ナチス政権下のドイツで金と時間だけを持て余すボンボンの悪ガキどもが、敵性音楽と呼ばれるジャズに夢中になって仲間たちで享楽的な毎日を送る。恵まれた環境の中で不良を気取り、ゲシュタポを馬鹿にしていた奴らが時代の嵐に立ち向かう姿を著者は立体的に独特な描写で伝えて来る。戦時下のドイツの若者の状況を始めて垣間見た気がした。中々面白かった。同じ時期を背景に描いた’また、桜の国で‘も是非読んでみたい。

  • seacalf

    ナチ支配下のハンブルクを舞台に、成り上がり経営者の御曹司、斜に構えたお坊ちゃんが主役の物語。jazz狂いの悪童ではあるが、ナイーブさを持ち合わせた主人公エディは憎めない奴。現代風にした台詞まわしに若干違和感を覚えるが、ストーリーはがっつり濃厚。洒落っ気が利いた若者達の青春物語に、戦争の醜さを絡めていく非常に上手い小説。脇を固める登場人物達もエディ以上に魅力的なくらいだ。ただ、賢しく上っ面を滑るように物語が進行してゆき、自分の肌には合わなかった。上手いんだけど、物語にスウィングできない。好みの問題かな。

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