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資本主義と闘った男 宇沢弘文と経済学の世界

佐々木実

User Review :5.0
(1)

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784065133101
ISBN 10 : 4065133106
Format
Books
Publisher
Release Date
March/2019
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

「資本主義の不安定さを数理経済学で証明する」。今から50年以上も前、優れた論文の数々で、世界を驚かせた日本人経済学者がいた。宇沢弘文―その生涯は「人々が平和に暮らせる世界」の追求に捧げられ、行き過ぎた市場原理主義を乗り越えるための「次」を考え続けた信念の人だった。大宅賞作家が描く「ノーベル経済学賞にもっとも近かった日本人」86年の激動の生涯。

目次 : リベラリズム・ミリタント/ 朝に道を聞かば夕に死すとも可なり/ ケネス・アローからの招待状/ 輝ける日々/ 赤狩りの季節/ カリフォルニアの異邦人/ 別れ/ シカゴ大学「自由」をめぐる闘争/ もうひとつのシカゴ・スクール/ 二度目の戦争/ 「陰(Shadow)」の経済学へ/ “ドレス”と“自動車”/ 反革命(The Counter‐Revolution)/ 空白の10年/ ローマから三里塚まで/ 未完の思想Liberalism

【著者紹介】
佐々木実 : 1966年、大阪府生まれ。91年、大阪大学経済学部卒業後、日本経済新聞社に入社。東京本社経済部、名古屋支社に勤務。95年に退社し、フリーランスのジャーナリストとして活動している。2013年に初の著書『市場と権力―「改革」に憑かれた経済学者の肖像』(講談社刊)で、第45回大宅壮一ノンフィクション賞・第12回新潮ドキュメント賞をダブル受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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シカゴ大学には新自由主義のフリードマンの...

投稿日:2021/03/21 (日)

シカゴ大学には新自由主義のフリードマンの対極に、 日本で一番、ノーベル経済学賞に近いと言われた宇沢弘文さんがいた。 持続可能な健全な資本主義社会には、 公共が伴う。 資本主義社会の大前提はいつしかマネタリストたちによって歪曲され、 本来の新自由主義も産業界によって歪曲された。 サッチャーやレーガンが求めた新自由主義社会は、 40年たってどうなったか? 世界の経済は限りなく貧困を克服したが、 反面、先進国は二分化され分断が生じた。 これは正確には新自由主義の責任ではない。 まともな経済学者が大前提とした理論も、 都合の良い解釈や政治で結果失敗の烙印が押される。 時代は揺り戻し、修正を加えながら変化する。 その原点にあるのは、 経済はひとりひとりの生活だということ。

ハッチ さん | 愛知県 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • KAZOO

    宇沢先生のほとんど完璧といえる伝記あるいはそれに伴う作品論が書かれたような気がしました。宇沢先生については日経新聞の私の履歴書、集英社新書の元岩波の社長によるものが今までではかなり真実を伝えていましたが、この本はそのとくに業績全般について補っている部分が多いと感じました。私は宇沢先生ほとんどの著作を手にしていますがこれほど克明に理論形成などを追った評論なども読んだことがありません。非常に力作であると思いました。

  • trazom

    宇沢先生の生き様とともに今世紀の経済学の変遷が理解できる充実した一冊。先生を市場原理主義との対立軸で捉えていたが、実はアメリカ・ケインジアンへの失意の方が大きかったかもしれない。ベトナム戦争や水俣病などに深く関わり「行動する経済学者」として先生が到達された社会的共通資本の概念に深い感銘を覚える。昨今、SDGsやESG投資の言葉とともに宇沢先生の名を口にする人がいるが、「経済学の原点はコンパッション」「大切なものはお金に換えてはならない」という先生の志は、そんな胡散臭い流行語とは比べ物にならないほど気高い。

  • 1959のコールマン

    ☆5。宇沢弘文の評伝だが、それがそのまま戦後の経済学史(アメリカ)及び現代史(日本)になっている。故に経済学史の知識(特に戦後アメリカの経済学)を持っているとより良く読めると思うが、分からないところをすっ飛ばしても十分内容がわかるようになっている。浅学な私は、ケネス・アローに招待されてから、日本に帰国するまでのアメリカ経済学会における貢献度が半端じゃなかったとは全然知らなかった。ましてや、ノーベル経済学賞を受けたジョージ・アカロフ、ジョセフ・スティグリッツ、そしてロバート・ルーカスなどを育てたなんて。

  • Sam

    宇沢先生の評伝。評伝を読んでこんなに胸が熱くなったことはなかった。数学を志した学生時代、数理経済学者として時代の最先端を走っていた米国時代、日本に帰国し公害問題を端緒に「社会的共通資本」の確立に情熱を注いだ時代が丹念に描かれている。経済学は社会科学ではあるが、それに留まらず人間としてどう生きるかという問題と切り離せなかったのが宇沢先生の素晴らしさでもありある意味悲劇でもあった。「経済学の原点は、人間の心を大事にすること、一人ひとりの生き様をどのように考えていくかなのです」という宇沢先生の言葉が重く響く。

  • kawa

    世界的に高名な天才経済学者・宇沢弘文氏(恥ずかしながら存知あげなかった…)の生涯と業績を追うドキュメント。「人間の心」を置き去りにする近代経済学や市場システムを万能とする考え方に異議を唱え、水俣公害事件や成田空港農民闘争などに積極的に関わった氏。がちがち経済理論の記述もある600頁超えの大作、読了無理かと思ったがいつの間にか引き込まれ4日間かけて読了。国の政策遂行に経済学が深く関わっているということや、熾烈な学派論争にビックリ。TPP問題・長野県の脱ダム宣言にも深く関わった氏の考えに大きな刺激を頂いた。

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