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静かなノモンハン

Keiichi Ito

User Review :4.0
(1)

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784061984103
ISBN 10 : 4061984101
Format
Books
Publisher
Release Date
July/2005
Japan

Content Description

昭和十四年五月、満蒙国境で始まった小競り合いは、関東軍、ソ蒙軍間の四ヵ月に亘る凄絶な戦闘に発展した。襲いかかる大戦車群に、徒手空拳の軽装備で対し、水さえない砂また砂の戦場に斃れた死者八千余。生還した三人の体験談をもとに戦場の実状と兵士たちの生理と心理を克明に記録、抑制された描写が無告の兵士の悲しみを今に呼び返す。芸術選奨文部大臣賞、吉川英治文学賞受賞の戦争文学の傑作。

目次 : 序の章 草原での戦い/ 一の章 あの稜線へ―鈴木上等兵の場合/ 二の章 小指の持つ意味―小野寺衛生伍長の場合/ 三の章 背嚢が呼ぶ―鳥居少尉の場合

【著者紹介】
伊藤桂一 : 1917・8・23〜。小説家、詩人。三重県生まれ。生家は天台宗寺院。働きながら詩、小説を投稿。1938年、現役入隊、除隊期間をはさんで4年9ヵ月、北支で軍務につく。復員後も貧窮の中で投稿生活を続け、52年、「雲と植物の世界」が芥川賞候補。62年、『蛍の河』で直木賞受賞。苛酷な戦場体験を描きつつも兵士の人間性に光を当てる独自の戦記小説を書き続ける。84年、『静かなノモンハン』で芸術選奨文部大臣賞、吉川英治文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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1939年日本の関東軍とソビエト赤軍が主...

投稿日:2021/05/12 (水)

1939年日本の関東軍とソビエト赤軍が主役となった本格的な戦争である。戦闘は4か月続き双方2万人の死傷者を出した。この戦争は、第2次世界大戦のひきがねの一つになった。この戦争は、兵士を消耗品とする日本軍の論理が際立つ。さらに敵を見くびる性癖も顕著である。

西口まる さん | 大阪府 | 不明

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Book Meter Reviews

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  • サンダーバード@怪しいグルメ探検隊・隊鳥

    昭和14年5月に開戦された日本とソ連の国境紛争。日本軍の戦死者は8440名、850名もいた一個大隊が僅か30名程にまでなる程の激戦の中、生還した3名の兵士の体験談を基にしたノンフィクション。もちろん一個人が見た範囲での記録だからノモンハン事変全体を俯瞰している訳ではない。しかしソ連との圧倒的な火力の差の中、次々と周りの兵士が銃弾に倒れていく様をつぶさに見た等身大の戦争がそこにある。自らも二度にわたる従軍経験のある筆者だからこそ書けた作品ではないかと思う。巻末の司馬遼太郎さんとの対談も興味深い。★★★★★

  • ころりんぱ

    読み手に語り聞かせるような優しい文章で淡々と綴られているノモンハン事件。戦争を肯定も否定もしていないけれど、そこで戦った人たちのその時の気持ちがまっすぐに伝わってきます。記録文学としてとっても優秀。本を読むことでしか知ることができない戦争の感覚。戦場では降参してきたソ連兵を日本兵が射ち殺しています。捕虜にしても対応出来ないという理由もあるし、味方が殺られた腹いせの感情もあるし…。ジュネーブ条約とかあったって、実際の戦闘となったらそりゃそうだよなと、妙に納得してしまったりして。ほんと、何のために戦ったのか。

  • 白玉あずき

    キッシンジャーの「国際秩序」と同時並行で読んでいて思ったこと。最前線で死んでいく兵士の苦痛と、上層部で戦略を練る将軍クラスの思惑、外交、国益を考える政治家。同じ「時」を共有しながら、決して共有できない情報と経験。駒として死んでいく兵士達に対して、「国」のためという理屈でどこまで上層部の個々人を正当化できるのか、云々。色々考えていたら感想も支離滅裂に。人の身勝手と営為のむなしさよ。それにしても関東軍っていったい何だったのか。東京の幕僚本部との関係は?統帥権ってなんだろうと自分の知識の貧弱さにも驚いた。

  • たまご

    「静か」.欲にまみれた人間が一時的にやってきて騒いで,「静か」にもどる.「静か」の前でこんなにもちっぽけな私たちの,愚かな陣地とり.その愚かさに,愚直に散華した私たち.蟷螂の斧でそれなりの戦果を挙げてしまう日本兵の恐ろしさ,悲しさ.末端の,ある意味の美しさと真反対の,上層部の想像力のなさ,無慈悲さ.これはきっと今現在も続いているのだ. 終わりの司馬遼太郎との対談の,両者の温度差も興味深いです.筆者の「静か」な美しい文体もすごい.読めてよかった.

  • 勝浩1958

    関東軍の馬鹿さ加減がはっきり示された、どうしようもなく悲惨な、事件ではなく「戦争」であったことが見事に描かれています。白旗を掲げて擱座した戦車から出てきたソ連兵を、できるだけ近づけたあと撃ち殺しています。いっぽうノモンハンの実情を知る下級幹部に対しては、軍はどこまでも監視の目をゆるめず、事あるごとに、その者を危地に追いやろうと意図したようです。軍だけでなく会社にあっても、組織を守るためには、個人は見殺しにされる場合が多分にあると想います。また、自民党の改憲草案にも、そのような雰囲気が感じられてなりません。

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