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原発事故 自治体からの証言 ちくま新書

今井照

User Review :4.0
(1)

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784480073723
ISBN 10 : 4480073728
Format
Books
Publisher
Release Date
February/2021
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

福島第一原発事故当時、現地の役場で何が起きていたのか。途方もない危機が迫っているにもかかわらず情報は乏しく、国や県からの指示もなく、事故対応マニュアルは役に立たない。そして水素爆発の重い音が町中を揺らした。事故の瞬間から避難、さらに復興に向けて、原発災害の過酷な状況に直面した自治体の職員が何を考え、何をしてきたか。石田仁(大熊町前副町長)、宮口勝美(浪江町前副町長)へのインタビューをもとにした証言に、研究者による解説を加えた貴重なドキュメント。

目次 : 第1章 原発事故と自治体(「誘致」から事故が起きるまで/ 事故から避難まで/ 避難指示解除から現在まで)/ 第2章 大熊町で起きたこと、起きていること(伝えたいこと―検証のための記録を残しておきたい/ 原発避難開始から三春へ/ 一〇〇キロ離れた会津へ/ 復興へのステップ/ これからの大熊町)/ 第3章 浪江町で起きたこと、起きていること(原発で変わった町―原子の火・地震・津波・避難/ 転々とする役場―津島から東和へ/ 議会、独自に動く/ 復興推進課長として―住民と国・県との間で/ 副町長として―馬場町長を支える)/ 第4章 データから見た被災地自治体職員の一〇年(生活環境―事故前採用職員に強いストレス/ 職場環境―役場内で議論ができていない/ 健康被害―カスハラによるストレス/ 就労意欲―職員を支えるのも住民/ 事故後採用職員―町民との葛藤)

【著者紹介】
今井照 : 1953年生まれ。専門は自治体政策。公益財団法人地方自治総合研究所主任研究員。博士(政策学)。東京大学文学部社会学専修課程卒業。東京都教育委員会、東京都大田区役所、福島大学教授を経て現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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東京電力福島第一原発事故が起きた後、転勤...

投稿日:2021/04/13 (火)

東京電力福島第一原発事故が起きた後、転勤で3年ほど福島市内に住んでいた。それで原発事故に関する本はいろいろ読んだが、本書ほど具体的で読みやすい本は稀だ。第一原発が立地していた大熊町と、目と鼻の先にある浪江町。その両町の副町長が体験を赤裸々に語っている。自らも間違いなく被災者であるが、思わぬ事故に巻き込まれた町民を助けることを優先しなければならない。そのつらさや悩みが、行間からにじみ出ている。一番びっくりしたのは、原発事故後、被災した自治体の幹部が東京電力の幹部に会う場面。恨み骨髄で激しく文句を言うと思いきや、立地町(第一頑発だけでなく、事故を免れた第二原発の立地町も含む)の幹部は東電側となあなあの関係で、さほど抗議をしない。近隣の町の抗議が浮いてしまっているというくだりだ。私が今住む静岡県には浜岡原発がある。福島の事故後に当時の菅直人首相の指示で止まってしまったが、中部電力は再稼働を目指している。徹底的な安全対策が再稼働の前提であることを、本書を読んで改めて感じた。

うーちゃん さん | 静岡県 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • skunk_c

    F1で避難を余儀なくされた自治体の幹部職員2名の語りをまとめた部分が圧巻(というか本書の中身そのもの)。自らも被災しながら、24時間住民と共にし、時には怒鳴り合いながらも、でもこのふたりは「自分の自治体の住民をどう救うか、そして元の自治体にどうやって戻すか」を真剣に考えながら、そして苦悩しながら立ち向かっている。本音もたっぷり吐き出されており、編者の自治体職員のメンタルを中心にした補足と合わせて、その過酷さが実感できる。編者の「自治体とはいざというときに住民を救うもの」とのまとめが突き刺さる。

  • まると

    東電や国、県からの情報はなく、テレビを頼りに避難せざるを得なかった自治体の過酷な状況は記事にまとめたことがあるので既知ではあったが、その後のことは認識がなかった。前副町長2人の証言から、離散した町民への対応は職員に相当な負荷がかかっていたことがよくわかる。立地自治体と周辺自治体との微妙な温度差も肌感覚でわかった。改めて感じるのは、制度を一律に地域に当てはめようとする国の硬直性、現場(住民)を持たない中二階官庁である県のふがいなさだ。現場に近いところからのこうした証言には、後世に残すべき教訓があふれている。

  • Tomonori Yonezawa

    地元図書館▼2021.2.10 第一刷▼全4章281頁、原発事故と自治体、大熊町の当時と現在、浪江町の〜、データで見た被災自治体職員の10年、といった構成。▼自治体職員の当時の話を中心に、自治体とは何か?災害避難はどうすべきだった?復興とは?なんてことを考える本。▼この自治体だからか登場職員が優秀なのか?私がイメージする自治体職員よりもかなり原子力災害時の任務を把握しており冷静に実践されたように読める。▼あれから10年、本にも登場するコミュニティという言葉、日本の災害対応計画は今もこれが軽んじられている。

  • カモメ

    福島第一原発への原発誘致は近隣住民にも伝えられることなく福島県庁主導で行われ、目的が工業振興から地域振興へと変わっていった。原発事故後、マスコミは文学的表現を使ったり、津波の放映ばかりしており原発について正確な情報が伝わらなかった。現場でも放射能の事は伏せられ、予め放射能が漏れてると聞いていたら避難時マスクをつけさせたり、安定ヨウ素剤飲ませる事が出来たと悔やんでいた。また、東電は国から資金注入されて暮らす一方被害者は避難が続いたままで不満も募る。賠償金額が変わる区域の問題もシビアである。

  • 玻璃

    大熊町と浪江町の副町長の証言の生々しさ。ことばにならない。当時のこと、いま現在のこと、今後のこと。うっかりした感想を書いたら、「復興に水を差すのか!」とお叱りを受けそうだが、復興とはキレイゴトだけではないのも事実だと突きつけられる。

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