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種 の超克 生命の再生産とその欺瞞 講談社選書メチエ

丹野さきら

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784065415801
ISBN 10 : 4065415802
Format
Books
Publisher
Release Date
November/2025
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

本書の副題にある「生命の再生産」という言葉を目にするとき、何を思い浮かべるでしょうか。
親から子どもが生まれ、その子どもが成長して親となり、またその子どもが生まれる、という世代の連鎖でしょうか。それとも死者の生まれ変わりとしての生者というようなイメージでしょうか。取り沙汰されることの多い「少子化問題」を思い浮かべる人もいるかもしれません。
出生数の減少が社会に負の影響を及ぼしている、という議論がなされています。そこでは、「生むこと」をしない人が増えたことに危機感を抱き、次世代に対する責任が説かれたり、「生むこと」をめぐる個人を取り巻く環境を整備する必要性が訴えられたりします。
しかし、本書は「生むこと」を「人類の存続」や「社会の繁栄」や「種の繁殖」といった大義のために「当たり前に必要なこと」とは考えません。「人類」や「社会」や「種」を構成する人々の数が増えるか否かという尺度で「生まれること」を意味づける考え方から距離を置き、「生まれること」をそれ自体として意味づけることを試みるのです。そのためには、各々の経験の個別性や唯一性を捨象せず、どのような経験をした人にも共通して開かれた地平で「生まれること」について考えなければなりません。
本当は誰にとっても関わりのある「生命の再生産」という問題をマルクスに立ち戻ってそれ自体として考察する中で、フォイエルバッハや田辺元といった者たちの思考を再検討する本書は、マルクスの思考には今日の重要な課題である「人新世」の始まりやエコロジーに通じるものがあることを明らかにするでしょう。
『高群逸枝の夢』で注目を集めた著者が満を持して放つ渾身の論考がついに姿を現します。

[本書の内容]
第一章「息子たちは父をもたない」
1 誕生以前の生き物は己の生まれる夢を見るか?
2 父でなく、父たること
3 二人のルイ
第二章 資本、父と子、自己増殖
1 算術への反乱
2 自己増殖する怪物
3 再生産論再考
4 「人類の不死性」をめぐる対話
5 「神学者」マルクス
第三章 労働の彼方
1 宿命の名の下に――自然と人間の物質代謝
2 時間の弁証法
3 「自由の国」の必然性
4 労働は永遠に?
5 幽霊的労働
第四章 種と性とフォイエルバッハ
1 二人の「類」(1)――マルクス
2 二人の「類」(2)――フォイエルバッハ
3 種としての個体
4 想像の集合体
5 「超人への橋」、種の終わり
第五章 幼虫の形態学
1 「人間の生成」
2 田辺元、否定のロンド
3 運命の夜、偶然の星
4 種のメタモルフォーゼ
5 出会いの系譜学

【著者紹介】
丹野さきら : 1976年、宮城県生まれ。早稲田大学第一文学部(日本史学専修)卒業。お茶の水女子大学大学院人間文化研究科人間発達科学専攻修了。博士(学術)。現在、明治学院大学社会学部付属研究所研究調査員。専門は、日本近代思想史・社会思想。主な論文に、「真珠採りの詩、高群逸枝の夢」(2006年、河上肇賞奨励賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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