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夏の流れ 丸山健二初期作品集

丸山健二

User Review :4.0
(1)

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784061983960
ISBN 10 : 4061983962
Format
Books
Publisher
Release Date
February/2005
Japan

Content Description

平凡な家庭を持つ刑務官の平穏な日常と、死を目前にした死刑囚の非日常を対比させ、死刑執行日に到るまでの担当刑務官、死刑囚の心の動きを緊迫感のある会話と硬質な文体で簡潔に綴る芥川賞受賞作「夏の流れ」、稲妻に染まるイヌワシを幻想的に描いた「稲妻の鳥」、ほかに「その日は船で」「雁風呂」「血と水の匂い」「夜は真夜中」「チャボと湖」など初期の代表作七篇を収録。

【著者紹介】
丸山健二 : 1943・12・23〜。小説家。長野県飯山市の生まれ。1966年11月、「夏の流れ」で文学界新人賞、さらに同作品で芥川賞受賞。情感を排した硬質な文体が高く評価され、作家生活に入る。当時23歳の受賞は、芥川賞史上最年少であった。68年7月、「正午なり」を発表、帰郷した青年の孤独感を描く。8月、自身も長野県に移住、以後執筆活動を続ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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乾いた世界観で、簡潔な言葉を積み重ねた硬...

投稿日:2019/01/07 (月)

乾いた世界観で、簡潔な言葉を積み重ねた硬質なストーリーが特徴。 移行自体がプリズムの分光みたいで、目の前に浮かぶ描写に何度も酔い痴れてしまう。 現実と幻想がシームレスになって、異様なリアリティーとクラクラするような覚醒感が連続して、波みたいに繰り返して押し寄せてくる感じが、中毒になってハマってしまった。

Joe さん | 大阪府 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • ヴェネツィア

    表題作は、第56回(1966年下半期)芥川賞受賞作。死刑囚監房の刑吏を語り手とした珍しい小説。死刑執行のくだりをはじめ、全体として(おそらくは綿密な取材によるもの、もしくは作家の想像力によるものだろうが)きわめてリアルな感触に満ちている。生の側にいる者が死を執行する、そこには超えがたい一線があるだろう。生と死の境界は、いわば絶対である。そして、法の名の元に死刑を宣告するのは国家だ。だが、それを行うのは市民の誰かなのだ。我々は日頃、それが見えないふりをしているのだが、丸山は直視し、書くことで問いかける。

  • 遥かなる想い

    第56回(1966年)芥川賞。 刑務所につとめる私と堀部、中川と 囚人たちの 奇妙な距離感がいい。 夏の日の釣りと 刑の執行が、光と影のように 静かに描かれている。 日常に潜む不気味なものが、読者に 伝わってくる、そんな作品だった。

  • kaizen@名古屋de朝活読書会

    【芥川賞】前半は刑務所に勤務する主人公の日常生活。後半は死刑執行にまつわる、新人の迷い、囚人、刑務官の先輩の対応など、劇的な部分を、前半と同じような平板に記述している。良いと思う人と、あざといと思う人がいるかもしれない。自分では、読み進めやすかった。いろいろな仕事、いろいろな状況を知ることが出来る。著者の経験ではないことを表現する技法としては妥当なのだろう。銓衡委員である三島由紀夫が「男性的ないい文章であり、いい作品である。」という評論が分かり易い。平板な評価に意味がある作品なのかもしれない。

  • absinthe

    死刑囚が収容される拘置所の話。主人公は刑務官。刑を待つ死刑囚に名前はなく単に囚人。主人公と囚人の心の距離でもある。囚人の背景を語らないことで、逆にその囚人のまさにその今についての描写が真に迫ってくる。人間は薄っ皮の理性をまとった野獣なのだと思う。往生際がとても悪く描かれているが、その生への執着もまた人間の性だ。普通の家庭と囚人の境遇、仕事を淡々とこなして見える主人公と辞めたいと言い出す中川。対比によって印象が深まっている。

  • みっぴー

    《2018夏物フェア》第六弾。表題作は芥川賞受賞作。作者は当時二十三歳で、綿矢りさに抜かれるまでは、最年少受賞者でした。詩的な表現は一切なく、簡潔というか、カッターナイフで勢いよくスパスパ切ったような鋭い文章。会話も短く、テンポがよい。しかし軽いどころか、量感を感じさせる。二十三歳が、死刑囚と看守、ひいては命をテーマにした作品を書き上げることに驚愕。『雁風呂』『その日は船で』『血と水の匂い』も印象に残りました。どの作品も、女性がいつも悲しんでいるような気がします。解説は茂木健一郎。

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