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中井英夫全集 1

中井英夫

User Review :5.0
(1)

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784488070113
ISBN 10 : 4488070116
Format
Books
Publisher
Release Date
December/1996
Japan

Content Description

黒ビロードのカーテンは、ゆるやかに波をうって、少しずつ左右へ開きはじめた。――12月10日に開幕する中井文学。現実と非現実、虚実の間に人間存在の悲劇を紡ぎ出し、翔び立つ凶鳥の黒い影と共に、壁画は残された。塔晶夫の捧げた“@失われた美酒#オフランド・オウ・ネアン$”、唯一無二の探偵小説『虚無への供物』を――その人々に。初版本に準拠。解説=相澤啓三
目次

1『虚無への供物』(1964) 小説 I

あとがき:塔晶夫/解説――ある二十世紀小説もしくは残酷悲劇――:相澤啓三/解題:本多正一/創元ライブラリ版『中井英夫全集』編集付記
中井英夫全集付録3(「文学の特別席」埴谷雄高、「塔晶夫へのオード」齋藤愼爾)

中井英夫
(ナカイヒデオ )
1922年東京生まれ。東京大学文学部中退。日本短歌社、角川書店で短歌誌編集に従事。1964年、塔晶夫の筆名で刊行されたアンチ・ミステリ『虚無への供物』は、探偵小説の歴史のみならず20世紀文学に金字塔を打ち立てることになった。1974年、『悪夢の骨牌』で第2回泉鏡花文学賞受賞。1993年歿。創元ライブラリ版『中井英夫全集』では、『黒鳥譚』『とらんぷ譚』以下の幻想耽美小説、『香りの時間』に始まる洒脱なエッセイ、戦中日記『彼方より』、詩篇・短歌論など多彩な業績がコンパクトに集成されている。

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 本書「虚無への供物」は戦後ミステリー全...

投稿日:2009/12/06 (日)

 本書「虚無への供物」は戦後ミステリー全盛期に、その根底をも覆すアンチテーゼとしての位置づけとして極北の位置に屹立する異端文学である。  ミステリー愛好を自負するものは必ず読むべし。

白塗りのサル さん | 神奈川県 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • ホームズ

    久々に読んでみた(笑)3大ミステリの中では1番読みやすい作品かな〜。内容はアンチ・ミステリという物になっている。正直あまり難しいことを考えながら読まないので「アンチ・ミステリ」って言われても良く分からないんですけどね(笑)読んでいると物語に引き込まれて行く感じが良いな〜(笑)

  • oz

    初読。ポオか小栗虫太郎の怪奇趣味をそのまま昭和に持ち込んだような幻想ミステリで、複数の探偵役が各々披瀝する推理のどれもが並のミステリなら大オチとして用意されるべき完成度。それらの推理が現れては立ち消え、謎自体も読み進むほど霧の奥へと去ってゆく。ミステリに耽溺する登場人物たちは、膨大な既存ミステリの固有名詞の中、ひたすらに本格ミステリを演じきろうとする。それは読者のミステリへの馴致に抗う装置となり、決然としたアンチ・ミステリに帰着する。その過程は感動的ですらある。

  • ぐっちー

    ずーっと積んであった三大奇書の一つ、「虚無への供物」を漸く読了しました。日本のミステリ作品の中にしばしば名前が挙がる大作。そのイメージで構え過ぎていたのですね。もっと早く読めばよかったです。実際は読みやすい文章で、何だかお洒落でさえある。お屋敷、華麗なる一族、過去の因縁、薔薇ときたら殺人でしょうが、果たして事件か事故か。自信たっぷりに推理を披露する素人探偵たちは、なんだかSNSで好き勝手言う現在の人びとのようで、滑稽でさえあった。人は自分の見たいものしか見ていないのだな。

  • Chako@(旧名:かど =^ェ^=)

    期待を裏切らない読書体験であった。何か曰くありげな「サロメ」で開幕。第一殺人の前に作中作(凶鳥の黒影)の存在と登場人物達がこだわりつづけたトリック。質量共に申し分無く、重箱に三ツ星の料理が詰められてる…ようだ。前半の読みどころは、人ひとりが亡くなってるというのに、関係者、遺族らが探偵ごっことも言える推理合戦を時にまったりと披瀝しあう場面。三大奇書にも二時間サスペンスドラマのような要素が?とは言わないが違和感があった。それでも完璧感が漂う内容に綻びは無いものかと、どこか重箱の隅をほじくるかの如く☟☟☟

  • u

    思えば、最初の幕が開けたときから、眩惑の時は始まっていたのだ。なんと妖しく美しい、暗合に満ちた世界だろう。しかも、まったく無駄がない。文体も洒落ていて、たしかに虚無へと注ぐ美酒のよう。道徳倫理が崩れ始めた戦後日本における痛切な犯行動機も胸を打つが、まずは色彩と暗合に満ちたミステリとしてこれ以上ないくらい楽しい。急激に変容する東京のようすを垣間見ることができたのもよかった。これからは、また別の景色を見ながら街を歩けるかもしれない。

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