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戦国日本を見た中国人 海の物語「日本一鑑」を読む 講談社選書メチエ

上田信

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784065325742
ISBN 10 : 4065325749
Format
Books
Publisher
Release Date
July/2023
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
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Book Meter Reviews

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  • パトラッシュ

    戦国時代の日明関係は倭寇と海禁策が有名なため、事実上の断絶状態と理解していた。加えて日本人同士で殺し合った寧波事件もあり、明側の対日感情は最悪だったはずだ。そんな中で明国人が日本に渡り、観察記録を残していたとは知らなかった。琉球列島から九州南部を経てで堺へ行く航路が開拓されていたり、日本刀を通じて見た日本人の分析などはユニークで読ませる。通過儀礼や切腹の作法など当時の自然や習俗の記録は、日本側には常識すぎて却って記述が残らなかった話だけに貴重だ。ある意味イザベラ・バードの先駆者とも思える存在だったようだ。

  • ワッピー

    倭寇に悩まされていた明の時代に、無位無冠でありながら問題打破のために日本を視察し、鄭舜功が残した紀行『日本一鑑』を通じて当時の東アジアの情勢、『倭寇』の実像や日本国内の海運ルートや政治状況が明らかになる。日本に渡って詳細に情報を集めたものの、鄭は正式な国使ではなかったことが災いし、明内での政争に巻き込まれた帰国後に投獄され、折角の報告も顧みられなかった・・・。日本刀が当時から大量に輸出されていたことは初めて知りました。日本を知るために個人で危険を冒して渡航した鄭がこうして記録を残してくれたことに感謝。

  • ぽんすけ

    室町幕府(作中では京都武家政権)が弱体化し、正式な日明間の貿易が途絶えてから、大内・細川両氏が寧波で激突し、倭寇が猛威を奮った時代に、中国からわざわざ事態の打開のために人が来ていたことに驚いた。この『日本一鑑』を書いた鄭舜功は役人でもなんでもなく、平民の身分で一念発起して渡日してきたというのだから驚きである。彼は当時最悪だった日本人の印象(すぐヒャッハーし人を殺す。凶暴で人を切る時1.5mも飛び上がり瞬殺するとかもはや人外)に踊らされることなく、非常にリベラルな視点で当時の日本社会と日本を見てくれていた

  • MUNEKAZ

    『日本一鑑』を記した鄭舜功の紹介を通して、戦国時代の日本と明との交易を解説する。無位無官の人物が、義侠心に駆られて日本に渡り、倭寇禁圧に尽力するも、帰国後政争に巻き込まれて左遷されるという筋はなかなかに波乱万丈。また鄭舜功が記した『日本一鑑』の紹介自体はつまみ食い程度だが、そこに描かれた戦国日本に生きた人々の実像は興味深いもの。異なる文化からの視点という意味では、イエズス会士の報告ともまた一味違って面白い。当時の交易ルートの紹介や倭寇の大物たちの群像など、意外に広がりのある一冊であった。

  • さとうしん

    明代中国人による日本論というか、前近代の今で言う「民族誌」に相当するものとして『日本一鑑』を評価しようという試み(だと思う)。当然ながら地理に関する話が多いが、読んでいて面白いのは何と言っても当時の日本人の習俗に関する記述である。切腹にまつわる習俗に一種の礼制のようなものを見出しているかのように見えるのは面白い。

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