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頭上運搬を追って 失われゆく身体技法 光文社新書

三砂ちづる

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784334102524
ISBN 10 : 4334102522
Format
Books
Publisher
Release Date
March/2024
Japan

Content Description

世の中の発達とともに失われていった身体技法は、疫学研究者である著者の興味をひいてやまない。ある身体技法ができる、ということはどういうことか。なぜできるようになるのか、なぜできなくなるのか。本書では今はこの国でほとんど失われてしまった身体技法「頭上運搬」の記憶を追う。沖縄や伊豆諸島をはじめ日本各地や海外にその痕跡を訪ねつつ、話題は着物や伝統衣装、お産のほか、生活と労働を支えていた身体技法へと広がる。

【著者紹介】
三砂ちづる : 1958年山口県生まれ。兵庫県西宮市で育つ。京都薬科大学、神戸大学経済学部(第二課程)卒業、琉球大学大学院保健学研究科修士課程修了。’99年ロンドン大学PhD(疫学)。ロンドン大学衛生熱帯医学院研究員、JICA疫学専門家として疫学研究、国際協力活動に携わる。ブラジルで約10年間暮らした後、帰国。2001年より国立公衆衛生院(現・国立保健医療科学院)疫学部に勤務。’04年より津田塾大学学芸学部教授。’24年3月に退職し、八重山で女性民俗文化研究所主宰。ゆる体操正指導員。運動科学総合研究所特別研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • アキ

    頭上運搬を今でもしている地域は日本国内にみられなくなったが、昭和時代には日本全国で行われていた。経験者に話を伺うと、必要に迫られれば、誰でも30kg位の重さの荷物は練習せずにできるようになると言う。そのほとんどが女性であり、その立ち姿は美しい。京都の大原女、白川女、沖永良部島の大きな桶を頭にのせた女性、神津島で芋を運ぶ女性の写真はどんな年齢でも凛としている。それは体の軸を意識した姿なのであろう。身体意識としか言えない今は消えてしまった風習は、筆者が実際に試みたように再現することはいつでも可能なのである。

  • kuukazoo

    日本では頭上運搬の担い手は女性だったようだが先日読んだエチオピアのコンソでは男性だった。性差に関わらず驚く程の重さや大きさのものを頭に載せかなりな距離を歩いて運ぶ身体技法の不思議。過去にやっていた人は特に教えてもらわずとも周りで皆やってるしやってみたらできた、やるしかなかった、という。昔の重労働を美化するわけではないが現代人から「失われた」身体性に学ぶものは多いと思った。自分でも試したが頭と荷物の間にクッションになる輪っか(タオルとか)が必須で軽いより重い方が安定するが、頭がぶれないようにするのが難しい。

  • ようはん

    テレビで見るアフリカの情景として水を汲んだ甕を頭に載せる女性を何度か見た事はあるが、これは日本においても地域によっては昭和30年代頃まで見られていた光景で本内の写真を見ても運ぶ物の種類は多種多様でかなり重そうな物をさも当然に運ぶ姿に驚いた。

  • MASA123

    女性による頭上運搬の歴史から、運搬の身体技法考察まで及び研究書。頭の上に物をのせて運ぶのは、練習すればだれでもできるそうだ(人間の身体は頭上運搬に適している)。 1950年代に、自動車、その前に自転車により平坦な場所で頭上運搬は消滅。ただ、1960年代でも、坂の多い島などでは、まだ残っていたそうだ。 急な雨の時、傘がないと、手に持っていたバッグを頭にのせたりするから、頭に物をのせるのは、人として自然な動作なのだと思う。

  • Humbaba

    自分の力で物を運ぶ。そのためには運び方についても注意を払う必要がある。手で持つというだけでは持てる量が限られるからこそ、頭上にものを載せて運ぶ。一見するとまるで大道芸のようにも感じられるが、そのような方法だからこそ他の持ち方よりも多くのものを支えられる。ある場所でのみ行われているならただの奇行と思われかねないが、多くの場所で、それらが伝えられたわけでもないのに行われている以上、有効な方法と言えるのだろう。

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