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オオカミは海をめざす

三田村信行

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784494020928
ISBN 10 : 4494020923
Format
Books
Publisher
Release Date
July/2025
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

イリヤ。
ぼくたちは、彼のことをそう呼んでいた。
けれどそれは、彼の名前ではなかった。彼にはもともと名前はなかった。人が間に合わせに〃イリヤ〃という名前を彼に与えたにすぎない。もっとも、ぼくたちにとっては、そんなことはどうでもよかった。イリヤはイリヤで、それ以外の何者でもなかった。
その名前に、ぼくたちは今でも親しみと懐かしさを感じている。
その名前に、憧れを感じる者もいる。もちろんぼくも、みんなと同じように、イリヤに親しみと懐かしさと憧れも感じている。ただひ
とつだけ、みんなが感じていないものを、ぼくはイリヤに感じていた。
それは、恐怖──。
しかし不思議なことに、イリヤに感じていた恐怖こそが、ぼくがイリヤにもっとも引きつけられたところのものなのだ。
イリヤは、ある日突然ぼくたちの前に現れ、強い印象をぼくたちに与えて消えた。イリヤとぼくたちとの関わりを要約してみれば、た
だそれだけのことにすぎなかったが、その内実は、謎と秘密と不思議な冒険に満ちていた。

三田村信行の創作は、幼年から高学年まで多岐にわたり、作品数も膨大ですが、一貫して書き続けてきたモチーフが“オオカミ”です。1988年『オオカミのゆめ ぼくのゆめ』を嚆矢とするならば、その集大成とも言える作品が『オオカミは海をめざす』です。
児童文学というジャンルすら忘れさせる、一級のミステリー&エンターテインメント作品。

【著者紹介】
三田村信行 : 1939年東京都生まれ。早稲田大学文学部卒業。在学中から創作を始める。1975年発表の短編集『おとうさんがいっぱい』(理論社)をはじめ、数多くの創作シリーズ、伝記、歴史ものなど多彩な執筆活動を続ける。第50回日本児童文学者協会賞、第32回巌谷小波文芸賞を受賞

北沢夕芸 : 1962年長野県生まれ。雑誌「BRUTUS」でイラストレーターの道へ。雑誌、書籍、広告、アニメーションなどを中心に木彫りのオブジェも制作する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • gero

    アングラ児童文学;不良文学;ユリ熊嵐;野生 「オオカミがきた(1976)」「オオカミの時間(2020)」に続くなつかしい読み味の暗黒の寓話。先の二作に比べてストレートなエンタメになっており、ずっと書き継がれてきたオオカミが神話生物としてのオオカミを指していたことが分かります。表向き居ないことになっている、人間に擬態している、文明に制御されない、青年が心に飼い育てる、孤独で凶暴、そして特にあの終わり方がユリ熊嵐を思わせます。

  • 季秋

    疾走感がとてもいい。 ただ始まりの人についてもうちょっと詳しく欲しかった。

  • かはほり

    2段組み300頁を超える三部からなる大作だったが、話の運びはうまく、次はどうなるのだろうという期待感もあって一気に読めた。ただ最終章は話が一気に進んでしまい、タイトルになったオオカミたちがなぜ「海」を目指す理由が今一つわからない。海に入って泳ぎだすということは、新しい希望に満ちた世界へ向かっていくことなのか? 死を象徴しているとしか読めなかったのは、私がもう歳だからかなのかなぁ?

  • 希咲(きさ)

    本屋さんで手に取った時、その大きさと分厚さに少しひるみながらも、味のあるイラストに惹かれて購入。 突然現れた不思議な少年イリヤと、児童養護施設で生活するユーキの物語です。 まぁ、あらすじとか「オオカミがモチーフ」って説明文から大体の展開は想像つくよね笑 でも、挿絵のイラストも相まってすごくおもしろかった!不思議さとほんのちょっぴりの不気味さがあって。 もともと、朝日小学生新聞の連載小説だったのを、最後まで完成させて単行本化したようです。 これ小学生のときに読んでたら続きが気になって仕方なかっただろうなぁ

  • ふぅ

    挿絵が残念。

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