ヴォルフガング・シュトレーク

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時間かせぎの資本主義

ヴォルフガング・シュトレーク

User Review :5.0
(1)

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784622079262
ISBN 10 : 4622079267
Format
Books
Publisher
Release Date
February/2016
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

資本と国家の結託が民主主義を揺るがす。いま資本主義は危機の渦中にある。貨幣のマジックで危機を押さえ込む「時間かせぎ」はどこまで可能か。欧米で大きな反響を呼んだ、資本主義の新たな歴史。

目次 : 序章 危機理論―当時と現在/ 第1章 正当性危機から財政危機へ(新しいタイプの危機/ 危機理論が想定していなかった二つのこと ほか)/ 第2章 新自由主義的改革―租税国家から債務国家へ(民主主義の機能不全による財政危機?/ 新自由主義革命における資本主義と民主主義 ほか)/ 第3章 財政再建国家の政策―ヨーロッパの新自由主義(統合と自由化/ 自由化マシーンとしてのEU ほか)/ 結語 次に来るものは何か?(次なるものは?/ 資本主義か、民主主義か ほか)

【著者紹介】
ヴォルフガング・シュトレーク : 1946年ドイツ生まれ。社会学者。フランクフルト大学で社会学を専攻し、80年博士号、86年ビーレフェルト大学で大学教授資格取得。ベルリン科学センターのシニア・リサーチ・フェロー、米ウィスコンシン大学マディソン校教授を経て、95年よりケルンのマックス・プランク研究所(社会研究部門)所長、99年からはケルン大学教授を兼任。学際的、国際的視野から、資本主義社会における経済と政治の相互作用や民主主義の多様性について、多数の論文、著書を発表している

鈴木直 : 1949年東京生まれ。ドイツ思想史専攻。東京大学教養学部ドイツ分科卒業、同大学院比較文学比較文化修士課程修了、博士課程退学、東京医科歯科大学教養部教授を経て、東京経済大学経済学部教授(社会思想史)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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序章、一〜三章、そして結語で構成されてい...

投稿日:2018/12/11 (火)

序章、一〜三章、そして結語で構成されているが、私にとって第二章の途中までは、少々難しいというか分かり難いというのが実感だ。具体的に書くと、126ページ以降からようやく著者の、資本主義と民主主義の問題、資本主義の危機の問題などが多少ともすんなり頭の中に入ってくるようになった。 なお、本書のもとになったのは、2012年の「フランクフルト・アドルノ記念講義」において行われた三夜連続の講義である。 著者の基本的な主張を簡単に書くと、1970年前後から迎えた資本主義の危機を、最初はインフレ誘導、二度目は国債発行の増加、三度目は国債発行の増加で膨らんだ国家債務を家計債務へつけかえることで乗り切り、現在は四度目の危機にあるというもの。細かい部分では著者の主張を批判することは可能なのだろうが、全体としては著者の見取り図は、素人の私が判断する限り、1970年以降の状況をよく説明している。 そして、ほかの方も触れられているが、今の国家が「国家の民」と「市場の民」という二つの基盤を持っていながら、主権を持つ「国家の民」よりも「市場の民」が優先されていることが、この危機の根幹にあるという指摘も分かりやすい。第三章で詳しく論じられているEU圏の問題など、まさしく典型であるだろう。ポルトガル、スペイン、イタリア、ギリシャの危機を見ていると、「市場の民」が望む緊縮政策が優先されている。しかし、その政策を実施して国家財政が正常化したとしても、「国家の民」たちの生活がよくなるとは思えない。それどころか、格差は開くばかりに思える。 そういった意味で、著者が227ページで書いた「「市場」は人間に合わせるべきであり、その逆ではないというあたりまえの考え方が、今日ではとんでもない夢物語だと思われている」という異常な状態こそ、「あたりまえ」に戻すことが求められているのだろう。

ねも さん | 兵庫県 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • 1.3manen

    2013年初出。空間、近接で作られる社会的文脈は、社会にとっては時代と同じように決定的意味をもつ。通詞的、史的時間も大切だ。社会科学的認識は、時間と空間のインデックスで初めて社会科学的認識となる(12頁)。民主主義の脱経済化による資本主義の脱民主主義化(傍点)のプロセスを提示する1冊(30頁)。文化産業が心地よさを生み出し、恒常化するための能力を備えていることを、アドルノは微塵も疑っていなかった(44頁)。資本主義における経済危機は資本側の信頼危機から生じる(50頁)。

  • tama

    図書館本 面白かった・難しかった だから貸出期限延長した。銀行危機・国家財政危機・実体経済危機についてEUを主題にして書いている。なんにしても持てる者が更に持つ状態は完成して成長しているそうで、EUは統一通貨はともかく各国通貨の変動相場に変えろと。日本はどうなんだろう。国の借金は世界トップレベルで、アメリカ経済組織に首根っこ押さえられてるし。EUの対処方法が通用するとはとても思えない。

  • 青雲空

    現代資本主義の行き詰まりを明快に解説できる好著。分析は単純でいながら説得力に富む。結局1970年代の成長率屈折からの宿題を先送りしているという視点には同感である。 そして金融資本主義とそれを支える富裕層の利害に、民主主義が劣後していることを警告。ピケティの指摘とも通じる。 2013年、ピケティの21世紀の資本と同年に出版されながら、ドイツ語ということでベストセラーになり損ねた本。16年2月にようやく邦訳が出たことを歓迎したい。

  • かず

    インフレは分配されるパイを大きくするように見えるが、それはあくまで見かけ上のことで、実際に大きくなっているわけではない。しかし短期的に見ると、見かけと現実の間に必ずしも違いはない。インフレは雇用者側にも被雇用者側にも、新たな消費を可能にする豊かさがもたらされたかのような錯覚を呼び起こす。それは時間とともに冷めていき、貨幣価値の下落が貨幣資産の所有者に投資の抑制や他の通貨への逃避をを促すようになった時点で消失する。

  • インフレ、国債、民間債務、中央銀行による債務買取を通じて、資本主義の危機が先延ばしにされていったことが描かれる。十分に理解できたわけでは全くないが、以前読んだブライスの本と似た部分、観点の異なる部分がありおもしろかった。筆者の結論だと、ナショナリズムや最近の政治的ラディカリズム(極右左翼政党の台頭)を容認し得ることになってしまうように思うが、それでよいのだろうか。

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