Product Details
ISBN 10 : 4093567484
Content Description
理不尽と闘った一人の女性の勇気の物語
1960年代、シチリアの保守的な小村。「女は水差しだから、割った人のところにもらわれていくもの」と母親に擦り込まれた少女オリーヴァは、初潮を迎えてからは「純潔を守るため」に、地元の風習と母の教えに従い男子との交流を避け、学校も辞め家のなかで過ごしていた。しかし裕福な菓子店の息子に目をつけられ、16歳の誕生日に誘拐され性暴力を受けてしまう。当時の刑法第544条により、加害者の男はオリーヴァと結婚することで罪が放免されることになる。結婚を迫る男や周囲からの圧力に追い詰められるオリーヴァ。やがて友人や支援者との励ましに自分の本心に気づき、法廷でこの理不尽に「ノー」を突きつけることを決意する。
『「幸せの列車」に載せられた少年』のベストセラー作家が実話に想を得て描いた、一人の女性の勇気と尊厳の物語。
【編集担当からのおすすめ情報】
イタリア刑法典第544条
第1節〔暴行、又は脅迫を用いて、人に性交を強制する〕及び第530条〔16歳未満の者に対する猥褻行為〕の犯罪については、罪の正犯が被害者と婚姻したときは、罪は消滅する。(以下略)
これは、1981年までイタリアに存在していた通称「ロッコ法」という法律です。南イタリアには長い間「償い婚」という因習があり、性暴力の加害者が被害者と結婚をすることで、その罪を免れていたのです。純潔を失った女性の名誉を守る、という驚くべき観点から定められた法律で、そこには「魂の殺人」によって自分を踏みにじった相手と結婚しなければならない女性側の視点が、完全に欠落していました。
本作は、この法の廃止のきっかけとなった実際の裁判にインスパイアされた著者が、フィクションとして2021年に発表した小説です。舞台は約60年前の南部の村で、このような法律はもちろん現代の日本にはありません。ですが、性暴力によって尊厳を傷つけられた上に、声を挙げた後も「被害者にも落ち度があった」と心ない言葉を投げかけられる光景は、現在も起きている性暴力の事件に驚くほど似ていて、愕然とさせられます。性暴力は絶対に許されない人権侵害であること、それをいま一度噛みしめるとともに、踏みにじられても立ちあがろうとする少女の勇気に胸を熱くさせられる必読の書です。
【著者紹介】
ヴィオラ・アルドーネ : 1974年、イタリアのナポリ生まれ。ナポリ大学文学部を卒業。高校でイタリア語とラテン語を教える傍ら、2012年に『La ricetta del cuore in subbuglio(乱れた心の処方箋)』で小説家としてデビュー。長篇小説3作目『「幸せの列車」に乗せられた少年』(河出書房新社)がイタリア国内で30万部のベストセラーに。長篇4作目にあたる本作『オリーヴァ・デナーロ』は、《現代のヒロイン賞》を受賞し、約20カ国で翻訳出版されている
関口英子 : 埼玉県生まれ。イタリア語翻訳家。2014年に『月を見つけたチャウラ ピランデッロ短篇集』で第一回須賀敦子翻訳賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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たま
読了日:2025/06/04
がらくたどん
読了日:2025/06/05
Hiro
読了日:2025/03/31
フランソワーズ
読了日:2025/05/17
ぽけっとももんが
読了日:2025/05/14
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