ヴァルター・ベンヤミン

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図説写真小史

ヴァルター・ベンヤミン

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784480084194
ISBN 10 : 4480084193
Format
Books
Publisher
Release Date
April/1998
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
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Content Description

芸術から「いま―ここ」という一回性の「アウラ」が消滅する複製技術の時代にあって、写真はどのような可能性をはらみ、どのような使命を課せられなければならなかったのか?写真史を考えるとき、だれもが必ず引用する基本文献―ヴァルター・ベンヤミンの「写真小史」。初期写真から1930年代の作品までを通観したこの傑作エッセイに、そこで言及されているブロースフェルト、アジェ、ザンダーらの写真多数と、関連論文を加えて再編集。20世紀最高の批評家による写真論が目で見てわかる実証的な一冊。

目次 : 写真小史(ヴァルター・ベンヤミン)/ カール・ブロースフェルト『芸術の原形』への序(カール・ニーレンドルフ)/ ウジェーヌ・アジェ『写真集』への序(カミーユ・レヒト)/ 顔、映像、それらの真実について(アルフレート・デーブリーン)

【著者紹介】
ヴァルター・ベンヤミン : 1892‐1940年。20世紀ドイツの最も異彩を放つ思想家・批評家。きわめて緻密で繊細な文体をもつ卓越した文章家。青年運動の只中で思想形成期を迎え、ユダヤ神秘主義、観念論的弁証法、マルクス主義的歴史哲学等の影響を受ける。激動の時代状況とアクチュアルにまたラディカルに切り結びながら、同時に近代もしくはモデルネの原史を見据え続けた。亡命行の途上でみずから命を絶った

久保哲司 : 1957年生れ。一橋大学社会学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • 翔亀

    1931年著。創成期から100年間の写真史だが、その100年後の現在でも色褪せていない。多木浩二によると、「資料に遺漏がなく今日の写真論が言うべきことが出尽くしている」。絵画が宿していた一回性というアウラを崩壊させてしまう写真が、芸術の名のもとに、修整と言う形で人工的にアウラを付与させるという堕落の歴史。一方で、アジェやザンダーという「新しい眼差し」をもつ写真家が登場するというダイナミックな歴史。ファシズムのただ中で、政治に利用されるアウラに対抗する写真の可能性を、革命の文脈で語られていて大迫力だ。↓

  • 内島菫

    ベンヤミンの言と異なるが、「アウラ」は写真や複製技術時代の芸術作品において凋落するのではなく、写真や複製技術によってうみ出されたもの(まで)も「アウラ」を纏うようになるため、芸術作品の「アウラ」が凋落したように見えてしまうということではないだろうか。今、本書に掲載されている写真を見ると、「アウラ」は壊れやすいものというより、逆につきやすいもののように思えてくる。しかも、写真に写された人も物も場所も今ではほとんどが失われてしまったという不在と死が、二重写しのように「アウラ」とともに立ち上ってくる

  • 空虚

    @ベンヤミンは表題作のみ。アウグスト・ザンダー『時代の顔』に寄せられた、作家アルフレート・デーブリーンの序文が興味深い。デーブリーンに依れば、死は人の顔を「平板化」する。詩人、政治家、音楽家あるいは国王のデスマスク、それらは個別性を奪われた「静かな客体」であり「ひとかたまり」の顔である。デスマスクに現れるような匿名性は、なにも死者に特有ではない。特定の社会あるいは階層といった視点から人々を眺めるならば、群衆は匿名の集団となるだろう。距離は差異を消失させるのだ。

  • misui

    ベンヤミンの小論に図版と関連文章を加えたもの。図版と注があちこちに飛んで死ぬほど読みづらいが、技術の発展によるアウラの喪失を、当の写真を参照しながら眺められるのはありがたい。カメラは肉眼では捉えることのできない瞬間を捉えることができる。それは意識されない無意識の世界に通じているものであり、ここにおいて技術と呪術は接近する。その境界線は可変的で時代とともに写真の役割は変わっていくだろう……という感じ。

  • T.Matsumoto

    本論自体は短いが、論考で参照されている写真だけでなく、参照した作家の写真集の前文なども収録されており、丁寧な注釈と併せて、編者の心遣いが素晴らしい一冊です。写真に関する芸術論というよりは、「複製技術時代の芸術」に昇華される前段階の論考として読むといいのかもしれません。少し消化不良です。

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