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ISBN 10 : 4622078996
Content Description
「世界全体は生命なき物質の従順な奴隷である。いのちだけが奇跡的に自由なのだ」
本書はスターリンの死(1953年)以降に執筆された短篇小説を中心に、随想・旅の手記を集成した。
広島に原爆を投下したアメリカ人パイロットたちを主人公に、兵士の苦悩と責任の問題を描く「アベル」。
戦時下のベルリンの動物園のゴリラ、そしてイタリア軍で四輪荷車をひくラバの視点に立った「動物園」「道」。
ソ連軍が戦時中にナチから没収した名画が戦後に東ドイツに返還されるに先立ち、モスクワで公開された
展覧会で、ラファエロの聖母子像にユダヤ人絶滅収容所で出会った母子を見出す「システィーナの聖母」。
経済的に困窮し、仕事で出かけたアルメニアはアララト山の谷、旧約聖書の土地で、信仰をもたない作者に
訪れた宗教的な体験と思索を綴る「あなた方に幸あれ!」
グロスマンは第二次世界大戦時には従軍記者として名を馳せたにもかかわらず、戦後は反ユダヤ主義の
標的にされ、長篇小説『人生と運命』は原稿類一切をKGBに没収された。以後、作品はほとんど
出版されなくなった。それでも彼は書き続ける。
統制管理とテクノロジーが優先された体制を生きる人間に対する透徹した省察は、現代社会に
多くを投げかけてやまない。
【著者紹介】
ワシーリー・グロスマン : 1905‐1964。ウクライナ・ベルディーチェフのユダヤ人家庭に生まれる。モスクワ大学で化学を専攻。炭鉱で化学技師として働いたのち、小説を発表。独ソ戦中は従軍記者として前線から兵士に肉薄した記事を書いて全土に名を馳せる。43年、生まれ故郷の町で起きた独軍占領下のユダヤ人大虐殺により母を失う。44年、トレブリンカ絶滅収容所を取材、ホロコーストの実態を世界で最初に報道する。次第にナチズムとソ連の全体主義体制が本質において大差ないとの認識に達し、50年代後半から大作『人生と運命』を執筆、60年に完成
齋藤紘一 : 1943年群馬県生まれ。東京大学理学部化学科卒。在学中に米川哲夫氏にロシア語を学ぶ。通産省入省後、課長・審議官を務める。93年退官後、ISO(国際標準化機構)日本代表委員、独立行政法人理事長等をへて現在、翻訳家。99年、通訳案内業免許(ロシア語)取得。訳書にグロスマン『人生と運命』(全3巻、日本翻訳文化賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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syaori
読了日:2022/04/21
miyu
読了日:2017/09/10
かわうそ
読了日:2015/11/26
きゅー
読了日:2015/08/21
柳瀬敬二
読了日:2015/12/17
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