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アメリカン・スパイ

ローレン・ウィルキンソン

User Review :3.0
(1)

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784152100023
ISBN 10 : 4152100028
Format
Books
Publisher
Release Date
February/2021
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

1980年代後期。FBIニューヨーク支局で捜査官として働くマリーは、黒人女性であるがゆえに能力を発揮する機会を与えられずにいた。そんな時、ブルキナファソの共産主義政府の弱体化を狙うCIAから、若き革命家トマ・サンカラにハニートラップを仕掛ける役目を言い渡される。自身の才能ではなく容姿を買われたのだと悟りつつも役目を引き受けたマリー。そして、さらにハイリスクな任務の見返りとして、幼少期から共にスパイに憧れて育った姉の謎の失踪について鍵を握る人物との接触を約束される。しかし、国民のための改革を推し進めるサンカラの人柄を知るほどに、任務に対する信念は揺らぎ始め…。舞台はアメリカ、ブルキナファソ、そしてマルティニークへ。史実を元に冷戦の知られざる一面を描き出すスパイ小説。

【著者紹介】
ローレン・ウィルキンソン : 1984年、ニューヨーク生まれ。コロンビア大学で創作と翻訳の修士号を取得。大学在学中から執筆をはじめた短篇“Safety Catch”が文芸誌“グランタ”に掲載される。この短篇を7年かけて長篇に仕上げた本『アメリカン・スパイ』を2019年に発表。長篇デビューとなる本作は、オバマ元大統領の夏の読書リストに選出されたほか、NAACP(全米黒人地位向上協会)イメージ・アワードの新人賞、エドガー賞(アメリカ探偵作家クラブ賞)、アンソニー賞の最優秀新人賞にノミネートされ注目を浴びた

田畑あや子 : 翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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スパイものはそれほど読んでいないが、黒人...

投稿日:2021/04/18 (日)

スパイものはそれほど読んでいないが、黒人、女性、アフリカというのがそれほど多いとは思わないので、そこらあたりが新機軸なのかもしれない(黒人の問題は主人公に対する扱いもだが、末尾の方で描かれるロビーとマットの対比も分かりやすい)。 アメリカは民主主義の擁護者みたいに振舞っているが、何よりも大切なのは「反共」で、その国の住民たちの幸せなんて二の次。本書の舞台となったブルキナファソに関しても同じだったようだ。ブルキナファソやトマ・サンカラについてはほとんど知らなかったので、興味深かった。事実をベースにしたとしても、あくまでエンターテインメントなので、多少の事実が変更(訳者あとがきによると国連での演説の年次)されたとしても問題はないだろう。ブルキナファソの運命は、ナオミ・クラインの『ショック・ドクトリン』、ロスがかかわる会社は、ジェレミー・スケイヒルの『ブラックウォーター』を読んでいても、こういった形で描かれるとアメリカや新自由主義が持つ危険性が分かりやすい。 『アメリカ 侵略全史』などを読むと、アメリカやCIAの謀略は第二次世界大戦後だけでも驚くほど多いので、もっとこの手のアメリカの“犯罪”が描かれる作品が増えてほしいと思っている。

ねも さん | 兵庫県 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • アン

    1992年、コネティカット。ニューヨーク生まれの元FBI捜査官の黒人マリー。彼女は幼い息子たちと暮らす自宅に突然侵入した男を射殺。危険を感じたマリーは母親の住むフランスに身を隠し、自分の人生を手記にし息子たちへ。冷戦下、彼女はCIAからアフリカのブルキナファソの若き指導者のもとへ潜入する任務を与えられ…。白人男性が支配する組織での黒人女性の置かれた状況、人生の影響を受けた姉の謎、揺らぐ使命。単なるスパイ小説ではなく、人を愛する自由、より良き世界の変化を願う母親の息子たちへの愛ある真摯で力強いメッセージ。

  • ヘラジカ

    これまた驚くほど秀逸なデビュー作。スパイとしての任務を描くにあたって、緻密に人物の背景を構築する様や、正義や大義の揺らぎをデリケートに表現する筆致は、正にかの大作家ジョン・ル・カレを思い起こす。そこに「黒人」で「女性」であるが故のガラスの障壁、国家や家族(特に姉)に対するアンビバレンスな感情などが入念に描かれていて、現代の文学作品としても非常に完成度が高い。古典性とオリジナリティを併せ持つ良作。終始淡々とした文章で強烈なインパクトを残すわけでもないが、質の高い読書時間を過ごせて大満足である。

  • だいだい(橙)

    プルキナファソ。この国のことは良く知らなかった。冷戦下で共産主義革命を行った実在のリーダー、トマ・サンカラ大統領にハニートラップをかけることを求められ、動揺するアメリカ人の黒人女性マリー。事故死した姉が交際していた白人(CIA勤務)のスレイターと話したい、という動機で、望まない業務に一歩踏み出す、という筋書き。この話自体がマリーの回想録の形をとっているために初めの方がやや退屈。結末も最初から見えており謎も少ないが、マリーの心の動き自体を読ませる文学作品としては深みがあり、優れている。

  • 横浜中華街2024

    作者はまだ30代の若手作家でありながら、自分と同じアフリカ系アメリカ人女性を主人公にして80年代の冷戦下における諜報活動を描いている。つまり30年ほど以前の世界を知りえた情報を基に想像を駆使して描いているわけで、その試みが成功しているか否かはともかく小説としては非常に斬新な試みではないだろうか。諜報活動の中核はブルキナの若き大統領であるサンカラ(実在)に対して主人公がアフリカ系女性である利点を活かしてハニートラップを仕掛けることで、西アフリカの政治や歴史が絡んできて読み応えがある。作者の今後の作品に期待。

  • mike_sugino

    図書館で借りて読了。ベタなタイトルですが、結構考証されていて所々唸らされた。主人公のマリーはFBIに入局し、防諜業務に就いてていたが、ある時CIAから誘いを受け外国大統領への調査を行う。徐々にストーリーはふくらむが、1960年代から90年代における黒人女性の立場も考え、それを今、同じ黒人女性である著者が描いてくれたことが素晴らしい。

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