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ニュー・ブルータリズム 善と美の相剋

レイナー・バンハム

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784306047204
ISBN 10 : 4306047202
Format
Books
Publisher
Release Date
September/2025
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

異端の名著、半世紀の時を経て完全復刻。

『ニュー・ブルータリズム』は名著か、悪書か? その受容経緯からすれば、それはもっぱら悪書とされてきた。また現在の目において、事実関係を注視して内容の誤りをあげつらえばきりがない。かたや近年では、忌み嫌われた過去の再評価のなか、嫌悪の対象とされてきた「ブルータリズム建築」への偏愛とともに、本書は突如として古典的な権威と化した。また戦後建築史を描いた最初期の建築史書のひとつであるという意味では、それは遡って読まれるべき名著である。
 しかしそのような善悪の彼岸でこそ、本書が投げかけるさまざまな疑問符は、読み解かれるべきときを待っている。
――江本 弘

「ニュー・ブルータリズム」という言葉は1950年代前半、アリソン+ピーター・スミッソンを中心としたサークルで生まれた。それが世界的に広まったのは、現代建築界にすでに広く行きわたっていた、ル・コルビュジエの「べトン・ブリュット」を再生・発展させようとする態度に端的な呼称を与えたためである。現在、ブルータリズムは代表的なトレンドのひとつとなっている。それはまた多くの者にとって、近代建築の道徳的要求の更新を意味する。
その出発点においてブルータリズムが問題としたのは、造形ではなく精神的態度である。責任、真実性、客観性、素材と構造の正しさ、可読性などの概念がそこには含まれている。
建築史家としての最重要人物のひとりレイナー・バナムは、イギリスの国際建築家サークルの関係者であった。その彼がブルータリズム現象の来歴を語り、その歴史的分類を行い、批判的に鑑賞し正しく説明した本書は彼の最高傑作に列するものである。現行の論争の最前線を明らかにしたバナムの『ニュー・ブルータリズム』は、戦後最大の国際貢献の一端を担っている。
「現在多くの者にとって、「ブルータリズム」という言葉は粗い表面ほどの意味しか持たない。エピゴーネンにとっては、エレガントな工業的造形がざらざらしたカーテンウォールに変わっただけ、ある建築の流行が他の流行に置きかわっただけのことである。しかしブルータリズムが本来目指していたものは特殊なファサード化粧などではなかった。ベルラーヘからバケマに至る言説に示されるように、それはモダニズムの道徳的要請を呼び覚ます運動だったのである。ブルータリズムは感情を極端に冷たく抑えたミース建築を超克しようとした。ブルータリズムの理解では建築物は内から外へと展開する。かくしてブルータリズムは空間境界の可塑性に対する感覚を再覚醒させた」
――ユルゲン・イェディケ

【著者紹介】
レイナー・バナム : 近現代建築史家・批評家。1922年3月2日、英ノリッジ生まれ。第二次世界大戦後にロンドン大学コートールド美術研究所に入所し、ニコラウス・ペヴスナーのもとで近代建築史を専攻。英誌『アーキテクチュラル・レビュー』の編集者として戦後イギリスのデザイン思潮を牽引する。1964年ロンドン大学バートレット校講師、1969年ロンドン大学環境学部教授。1976年渡米、ニューヨーク州立大学バッファロー校教授、1980年よりカリフォルニア大学サンタクルーズ校教授を歴任。1988年3月19日ロンドン没。テクノロジーと大衆文化が交差する環境を主題とし、旺盛な執筆活動および講演を行った

江本弘 : 建築史家・建築家。1984年生まれ。東京大学工学部建築学科卒業、同大学院工学系研究科建築学専攻修了。博士(工学)。明石工業高等専門学校建築学科准教授、一級建築士。近現代建築のヒストリオグラフィー、建築のジャポニスムを研究。著書『歴史の建設 アメリカ近代建築論壇とラスキン受容』(東京大学出版会、2019)。『歴史の建設』により第8回東京大学南原繁記念出版賞、2022年日本建築学会賞(著作)受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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    歴史観を変える力 未来を作っていく・歴史家の責任 優雅な絶望感 モダニズムの理想が骨抜きに スミッソン夫妻 ハンスタントン・スクール 建築の正直さ それが見えるとおりのもので作られている イメージとしての記憶性 形式の解放 粗野な素材を用いて、感動的な関係を作り出す 建築行為そのものに対する倫理的な姿勢 存在的責任 幾何学的な形式性を超えた チーム・X モダニズムの根本的な転換 素材の重力感 人間的なスケール感の回復 第二機械時代 醜さの崇拝 建築的な誠実さとしぶとさ 古典建築の大師たちと対話を止めた

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