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0番目の患者 逆説の医学史

リュック ペリノ

User Review :4.0
(1)

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784760153060
ISBN 10 : 4760153063
Format
Books
Publisher
Release Date
December/2020
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

医学者だけが英雄か?隔離されたチフスのメアリー、ある仮説のために女として育てられたデイヴィッド、上流階級の見世物にされた女性ヒステリー患者たち―。輝かしい歴史の裏に渦巻く欲望と、病者たちの犠牲と貢献。コロナ後の世界で、犯人探しを始める前に知るべき物語!

目次 : タンタン―脳の言語領域の特定に貢献した男/ 麻酔のゼロ号患者たち/ 人格が変わってしまったフィネアス―前頭葉損傷による気分障害/ ヒステリーのヒロインたち/ ジョセフ少年―狂犬病ワクチン接種のゼロ号患者/ ニューヨークの女性料理人―無症候性キャリア「腸チフスのメアリー」/ アウグステ―アルツハイマー病のゼロ号患者/ ジェンダーの蹂躙/ ふたつの特別な数字―宿主を病気から守る大腸菌/ ウンサの沈黙―遺伝子変異による発達性言語協調障害/ 永遠に生きるヘンリエッタ―研究に貢献するがん細胞/ 海馬の冒険者たち―記憶の研究の大飛躍/ マッキー夫人―マイクロキメリズム:母体に移る胎児細胞/ 無原罪の御宿り―ヒトの単為生殖は可能か/ 吐き気を催す事件―サリドマイドによる薬害/ ジョヴァンニのアポリポタンパク質―遺伝子変異体と長寿の夢/ 悪魔と奇跡の生還者―HIVの発見とエイズ完治の難しさ/ いつもと違うインフルエンザ―SARSの発生から終息まで/ 脳のない男―はかりしれない脳の可塑性

【著者紹介】
リュック ペリノ : 1947年生まれ。医師、作家、エッセイスト。熱帯医学と疫学で学位を獲得。アフリカ、中国、フランス農村地帯で長年、臨床経験を積んだ。リヨン大学医学部で医学史や疫学などを教える傍ら、医学や生物学の知識を一般向けに噛み砕いて伝えるために小説を含む著作に励んでいる。培った知識や経験に基づき、現代の医療システムおよび医療関連市場の歪みや逸脱を、ユーモアを交えて指摘、批判している

広野和美 : フランス語翻訳者。大阪外国語大学卒。長年、理系を含む実務翻訳に携わり、近年書籍翻訳も手がけている

金丸啓子 : フランス語翻訳者。大阪外国語大学卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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患者、しかもゼロ号患者(集団内で初めて特...

投稿日:2021/03/06 (土)

患者、しかもゼロ号患者(集団内で初めて特定の感染症にかかったと見なされる患者)に焦点を当てた医学史。ただ、必ずしも叙述は体系的なものではなく、様々なケースについて書かれている。いくつかの症例については、かなり知られたものもあり、ほかの本で読んだこともあるものもあった。 自覚なき患者もいれば、勇気をもって病気に立ち向かった患者もいる。死後になってからも、思わぬ形で医学への貢献をした患者もいる。私たちが病になっても、治癒可能になった背景には、医師たちと患者たちの秘められたドラマがあったのだ。 新型コロナ感染症の被害が拡大し続ける現在こそ、改めて患者たちの存在に注目すべきなのかもしれない。

ねも さん | 兵庫県 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • アキ

    初めて感染症に罹ったとみなされる患者を「ゼロ号患者」と呼ぶらしい。SARSと異なり、今回の新型コロナでは0番目の患者を見つけられそうにないけど、腸チフスの無症候性キャリアーでニューヨークの女性料理人だったメアリー・ブラウンが1915年に終生隔離が宣告されたり、アウグステという50歳前後の患者をアロイス・アルツハイマーが剖検で1906年に発表したアルツハイマー病は、発表当時注目されていなかったのが1980年代になって再注目されたなど、0号患者にまつわるエピソードも興味深い。19章の患者のトリビアが載る。

  • R

    医学の発展には医者よりも前に、患者があった。その当たり前のことをもっと詳しく調べて讃えようという本、非常に好奇心そそられる内容でした。いくつもの悲惨な医学的な事故も含まれるけども、特によかったのは、ゼロ号患者の癌細胞が、その後実験に利用されて、通算数トンになっている事実とかは本当に賞賛されてしかるべき事実だと思った。人体の不思議も垣間見ながら、海馬を失った男など、様々な人たちが医学の進歩を支えた記録がとても面白くまとまった本でした。話によって、テンションが違うのが気になったが、読みやすかった。

  • kawa

    0番目の患者とは、初めて特定の感染症に罹ったと見なされる患者を言うとのこと。本書は医学の世界で脇役・端役に置かれがちな患者にスポットをあてて、医学の発展過程や問題点を論ずる野心的な試み。なじみの無い分野で、翻訳文かつアイロニカルな表現に苦戦したが、中々興味深い内容で最後まで読めた。中世での怪我の治療ははさみを扱う理容師の仕事、歯の治療者は抜歯師と呼ばれた、気持の良くなると実演ショ−で用いられた「笑気ガス」が麻酔の始まり、予防接種は6世紀に中国で天然痘の膿を希釈して吸入したことに始まる、等々の蘊蓄が面白い。

  • こばまり

    いずれのエピソードも当事者の戸惑いや恐れ、苦痛、嘆きを少なからず孕んでいるのに、どこか飄然とした趣があるのは著者がフランス人だからだろうか。時に出典がWikipediaなのはご愛嬌。片目でもハンサムなフィネアス・ゲージの表紙が印象的。

  • にゃおこ

    はからずも医学上の発見発展に寄与した患者さんたちへのリスペクトと、誠実に患者さんと向き合う医療関係者だけではないことへの憤りの二本立て。covid-19感染者の第1号を暴くようことは無意味だけれど、著されているような0号患者に時には思いを馳せるべきいう著者の考えには頷ける。

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