マーティン・j・ブレイザー

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失われてゆく、我々の内なる細菌

マーティン・j・ブレイザー

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784622079101
ISBN 10 : 4622079100
Format
Books
Publisher
Release Date
July/2015
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

19世紀に始まる細菌学によって、人類は微生物が病原になりうることを知った。そしてカビに殺菌力が見出される。抗生物質の発見である。以来この薬は無数の命を救う一方、「念のため」「一応」と過剰使用されてきた。これは、抗生物質は仮に治療に役立たなくても「害」は及ぼさない、という前提に基づいている。しかし、それが間違いだとしたらどうなのか――。
人体にはヒト細胞の3倍以上に相当する100兆個もの細菌が常在している。つまり我々を構成する細胞の70-90%がヒトに由来しない。こうした細菌は地球上の微生物の無作為集合体ではなく、ヒトと共進化してきた独自の群れであり、我々の生存に不可欠だ。構成は3歳くらいまでにほぼ決まり、指紋のように個々人で異なる。その最も重要な役割は先天性、後天性に次ぐ第三の免疫である。しかしこの〈我々の内なる細菌〉は抗生剤の導入以来、攪乱され続けてきた。帝王切開も、母親から細菌を受け継ぐ機会を奪う。その結果生じる健康問題や、薬剤耐性がもたらす「害」の深刻さに、我々は今ようやく気づきつつある。
マイクロバイオーム研究の第一人者である著者は、この問題に対して実証的に警鐘を鳴らすとともに、興奮に満ちた実験生活、忘れがたい症例や自身の腸チフス感染などを通じて、興味深いが複雑なマイクロバイオームへの理解を一気に深めてくれる。その案内人とも言えるのがピロリ菌だ。19世紀にはほぼ全ての人の胃にありながら、21世紀の今は消えつつある。そのピロリ菌の本態に迫ることは、マイクロバイオーム全貌解明への指標となりうるかもしれない。

目次

第1章 現代の疫病
第2章 微生物の惑星
第3章 ヒトのマイクロバイオーム
第4章 病原体の出現
第5章 驚異の薬
第6章 抗生物質の過剰使用
第7章 現代の農夫たち
第8章 母と子
第9章 忘れられた世界
第10章 胸焼け
第11章 呼吸困難
第12章 より高く
第13章 ……そしてより太く
第14章 現代の疫病を再考する
第15章 抗生物質の冬
第16章 解決策
エピローグ

原注
訳者あとがき
索引

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Comprehensive Evaluation

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • やいっち

    抗生物質は有効だが、的確に処方しないといけない。そうでないと、ターゲット以外の必要な、あるいは無害な細菌をも駆逐しかねない。近年の微生物を中心とする生物学は、我々人間に限らず、多くの多細胞生物は微生物(細胞)の海に漂っているという認識を強めている。  今や抗生物質に限らず除菌剤など、薬漬けの我々。日本もいよいよアメリカ並みに、肥満やアレルギー症状、自閉症、などなどの抗生物質の過剰投与に由来する、マイクロバイオームの異変という事態が本格化する。

  • ボル

    素晴らしい著書。ブレイザーの研究ドキュメントや一家の病気との闘いまで網羅されている。抗生物質は劇的に効果を上げた傍ら、耐性菌の出現で抗生物質が効かなくなる危険性を述べるばかりか、食肉に抗生物質を使用し成長促進させた肉を人間が食していることが人体に影響しているのではないかと警告している。現在人の肥満原因についても記している。腸内細菌達が抗生物質によって減少すると、病気を引き起こす微生物が増殖出来る点、ピロリ菌がいなくなると体内に影響が出る点など驚くべき内容。訳者も医療に携わる山本太郎氏でありとても解りやすい

  • ロア

    ここまで解明されているのに、なぜ医療現場は変わらないのかな?(*゚ω゚*)

  • 大島ちかり

    非常に重要なことが書かれており、大急ぎで読みました。抗生剤を知らない間に摂取してしまっている私の体は、もう手遅れのような気がします。医者で薬を出されるときは、よく話し合った方がいいですね。知らない間に抗生剤を飲んでしまい、大事な菌まで殺してしまうだろうから。安いお肉を食べても同じです。太らせるために抗生剤を餌に入れてますから。

  • ケニオミ

    非常に有益な本でした。人類との共生期間の長いピロリ菌は、人類と持ちつ持たれるの関係を築いてきたが、胃炎や胃がんを起こす原因として排除の対象となった。しかし、排除することで、喘息などのアレルギーになりやすくなるなど負の結果が見られるようになった。同じように、子供の頃から抗生物質を多用することで、糖尿病などのなりやすくなるばかりでなく、常在菌を殺すことで、危険な細菌の増殖を招き、死に至るケースもあることが分かった。抗生物質の使用は最低限にしてきたが、その方針が正しいことがよく分かる本でした。一押しです。

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