マルク・ロギン・アンスパック

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悪循環と好循環

マルク・ロギン・アンスパック

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784794808912
ISBN 10 : 4794808917
Format
Books
Publisher
Release Date
February/2012
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

夕食後の皿洗いはどちらがするか、というカップル間の営み(互酬・贈与)からグローバルな市場での取引(等価交換)まで、「相手も同じことをするという条件」で何かを行うときには循環的関係が出現するが、たいていは悪循環で、私たちはその環の中に閉じ込められてしまう。著者アンスパックはM・モースの議論(贈与論)を発展させ、復讐をはじめ「相手も同じことをするという条件」でなされるさまざまな慣行や行為を取り上げて比較し、その相互関係をつきとめるという甚だ刺激的なやり方で議論を展開する。そして人にマイナスの影響を及ぼす循環的プロセスや因果関係をあらゆるところに見つけ出し、それが問題の根元であるとして、そこからいかにすれば抜け出し、悪循環を好循環に転換できるかを考察する。

目次 : 第1章 復讐と贈与(殺した者は殺せ/ とても強力な取引/ くれる人に贈る)/ 第2章 贈与とお返し(贈与の魔術/ 認識できないことを認識する/ 「第三の人物の謎」/ 循環する因果関係/ ビールの奢り合いと背中側での手渡し/ 酒屋、肉屋、パン屋)/ 第3章 あなたと私(一人、神、あなた/ チャタレイ夫人、その恋人、そしてジョン・トマス/ グラスを洗うのは誰?/ 親、子どもたち、サンタクロース/ 第三の人物の場所/ 「賢者の贈り物」)/ 第4章 われわれと全体(両端を結ぶ/ 見えざる手による迷子/ 円環の復習)

【著者紹介】
マルク・R・アンスパック : 1959年生まれ。ハーバード大学を優等(B.A.cum lauda)で卒業し、1988年にパリの社会科学高等研究院で博士(人類学)、1991年にはスタンフォード大学で学位(文学)を得る。現在はパリのエコール・ポリテクニク(理工科大学)に設置されているCREA(応用認識論研究センター)の研究員

杉山光信 : 1945年東京に生まれる。東京大学文学部卒業。東京大学新聞研究所教授を経て、明治大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • cybermiso

    モースやレヴィストロースの系譜を継ぐ贈与交換論、 人々は交換するために交換する。その観点ではある好意的行為に対し同量を直接返す等価交換思考は借りを清算してしまい関係終了のおそれが。パートナー間でそのような契約関係に陥ると罰を罰で返す悪循環に移行する危険性もある。脱却には二回食器洗いをするような相手への信頼を置く自己犠牲が必要である。贈与には第三者的概念を媒介することが望ましい。それはマオリ族のハウであったり子供達への見返りのない贈り物であったり小節「賢者の贈り物」の例であったりする。

  • takao

    互酬性を好循環に

  • アルゴス

    この書物は、人間関係における相互性のメカニズムを考察した興味深い本である。わたしたちは他者と「貸し、借り」の関係で生きていると考えることができる。夫婦であれば、家事を誰がやるか、贈り物はどんなものをあげればよいか、困ったときには、どのように手助けするかなど、互いの関係は相手に与えた大きさ、相手から与えられた大きさの積み重ねで形成されていく。この貸しと借りはたんに与え、与えられるだけのものではなく、プラスになる与え方、マイナスになる与え方がある。こうした相互関係の観点から考察した興味深い本。★★★☆

  • いとう・しんご

    P.リクールに教えられた、ビンゴ!な一冊。相互性は循環を生み出し、当事者はそれを悪循環から好循環にするよう、自ら行動できる。しかし、ハイエクを守護者とする新自由主義者たちは、最終的な政府による救済を期待しつつ、自らの当面の利益を最大化するために「市場を神格化しているけれども、市場のほうは私たちのことを魚かジャガイモと同じくらいにしか気にしないだろう」P158という痛烈な一言には思わず脱帽。ちなみに第3章の冒頭にロックシンガーStephen Stillsの「4+20」が引用されているのも良きかな(^.^)

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