Books

ズボンをはいた雲 マヤコフスキー叢書

マヤコフスキー

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784907511012
ISBN 10 : 4907511019
Format
Books
Publisher
Release Date
May/2014
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

ぼくの精神には一筋の白髪もない!
戦争と革命に揺れる世紀転換期のロシアに空前絶後の青年詩人が現れる。名は、V・マヤコフスキー。「ナイフをふりかざして神をアラスカまで追い詰めてやる!」と言い放ち、恋に身体を燃やしにゆく道すがら、皇帝ナポレオンを鎖につないでお供させる。1915年9月に友人オシップ・ブリークの私家版として1050部が世に出た青年マヤコフスキー22歳の啖呵が、世紀を越えて、みずみずしい新訳で甦る。
きみはマヤコーフスキイを読んだことがあるかい?


――そのマヤコーフスキイが廿二歳のとき、《ズボンをはいた雲》という詩を書いたのさ、そして廿二歳ということの意味をかたっているんだ、それを知っているかい?
大江健三郎『日常生活の冒険』より

――小笠原訳で目の前に現れた『ズボンをはいた雲』は、私のささやかな先入見を微塵に打ち砕き、底知れぬ魅惑の力で、次へ次へと行を追わせた
入沢康夫「マヤコフスキー『ズボンをはいた雲』讃」より

――全く、こういうものは空前絶後というか、一九一五年当時の「二十二歳の美男子」マヤコフスキーにのみ発生した一種の奇跡みたいな現象で、それ以前には決してなかったし、それ以後の二十世紀が二十一世紀に変っても、当分はあり得ないのではあるまいか
小笠原豊樹「訳者のメモ」より

――若々しい。みずみずしい。高慢で、独りよがりだ。でも、その詩句は、疾走感に満ちている。
陣野俊史(2014年5月21日付「日本経済新聞」夕刊)

――ナルシシズムを高らかに誇る「ぼくの精神には一筋の白髪もない」との断言が鮮烈だ。
2014年5月15日付「日本経済新聞」


も く じ
一 マヤコフスキー『ズボンをはいた雲』讃(入沢康夫)
二 ズボンをはいた雲 四畳み聖像
三 訳者のメモ(小笠原豊樹)



ヴラジーミル・マヤコフスキー Влади мир Влади мирович Маяко вский
ロシア未来派の詩人。1893年、グルジアのバグダジ村に生まれる。1906年、父親が急死し、母親・姉2人とモスクワへ引っ越す。非合法のロシア社会民主労働党(RSDRP)に入党し逮捕3回、のべ11か月間の獄中で詩作を始める。10年釈放、モスクワの美術学校に入学。12年、上級生ダヴィド・ブルリュックらと未来派アンソロジー『社会の趣味を殴る』のマニフェストに参加。14年、第一次世界大戦が勃発し、義勇兵に志願するも、結局ペトログラード陸軍自動車学校に徴用。戦中に長篇詩『ズボンをはいた雲』『背骨のフルート』を完成させる。17年の十月革命を熱狂的に支持し、内戦の戦況を伝えるプラカードを多数制作する。24年、レーニン死去をうけ、長編哀歌『ヴラジーミル・イリイチ・レーニン』を捧ぐ。25年、世界一周の旅に出るも、パリのホテルで旅費を失い、北米を旅し帰国。スターリン政権に失望を深め、『南京虫』『風呂』で全体主義体制を風刺する。30年4月14日、モスクワ市内の仕事部屋で謎の死を遂げる。翌日プラウダ紙が「これでいわゆる《一巻の終り》/愛のボートは粉々だ、くらしと正面衝突して」との「遺書」を掲載した。


小笠原 豊樹〈おか さわら・とよき〉 ロシア文学研究家、翻訳家。1932年、北海道虻田郡東倶知安村ワッカタサップ番外地(現・京極町)に生まれる。51年、東京外国語大学ロシア語学科在学中にマヤコフスキーの作品と出会い、翌52年『マヤコフスキー詩集』を上梓。56年に岩田宏の筆名で第一詩集『独裁』を発表。66年『岩田宏詩集』で歴程賞受賞。71年に『マヤコフスキーの愛』出版。75年、短篇集『最前線』を発表。露・英・仏の3か国語を操り、『ジャック・プレヴェール詩集』、ナボコフ『四重奏・目』、エレンブルグ『トラストDE』、チェーホフ『かわいい女・犬を連れた奥さん』、ザミャーチン『われら』、マルコム・カウリー『八十路から眺めれば』、スコリャーチン『きみの出番だ、同志モーゼル』など翻訳多数。2013年出版の『マヤコフスキー事件』で読売文学賞受賞。現在、マヤコフスキーの長篇詩・戯曲の新訳を進めている。


Customer Reviews

Comprehensive Evaluation

☆
☆
☆
☆
☆

0.0

★
★
★
★
★
 
0
★
★
★
★
☆
 
0
★
★
★
☆
☆
 
0
★
★
☆
☆
☆
 
0
★
☆
☆
☆
☆
 
0

Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

powered by

  • 夜間飛行

    食べ物を焼く旨そうな匂いがする。駅前広場からテンポのよいヴァイオリンの調べが聞こえる。そんな宵の口の雑踏を歩きながら、ポケットからマヤコフスキーの詩集を取り出す。《お伽話のロケットでメフィストフェレスとつるんで、/天空の寄木細工を滑りまわる/ファウストなんかに用はない!/ぼくの長靴の釘一本のほうが、/間違いなく/ゲーテの幻想劇よりよっぽど恐ろしい!》。《小鳥は/歌で物乞いする、/飢えても声高く/歌ってる、/でも、おれは人間だ、マリヤ、/肺を患う夜がプレスニャ通りの汚れた手に吐き出した、/単純な男なんだ。》

  • まさむ♪ね

    そのニヒルな眼差しに、ズキューン!イメージが定まることなくむくむくと無限に沸き上がってくる、その奇跡のようなタイトルに、ドキューン!止めは、《ぼくの精神には一筋の白髪もないし、/年寄りにありがちな優しさもない!/声の力で世界を完膚なきまでに破壊して、/ぼくは進む、美男子で/二十二歳。》だ・・・ズドーン!わたしの心は完璧に撃ちぬかれた。→

  • Y2K☮

    再読。ちょくちょく詩の成分が足りなくなるので、絵本みたいに月イチで何かしら読む。の第一弾。即決でこれにした。表紙のデザインも含めて(どうもシド・ヴィシャスを連想する。似てないのに)一番清々しい詩集かもしれない。神すら恐れぬ支離滅裂。理屈も何も無い。のに伝わる。伝わるけど言葉に変換不能。多分するべきでもない。本物の詩は丸く収まる大人の商品ではない。最小限の枠内で好きに暴れりゃいい。時にパンクな詩はパンクな音楽を超える破壊力。そしてふと気づく。No Futureは「今を生きる」と同義だ。これぞ最高の人間賛歌。

  • シッダ@涅槃

    【詩の部分のみ読了】序の部分で「美男子で/二十二歳」となんの屈託も宣言したかと思いきや、本詩では求愛と失恋と都市=群衆嫌悪が入り交じった混沌たるもの。そこに屈折が聞こえなくはないが、この振れ幅が若さか。地理ー歴史ー宇宙的なものも引っ張り込んでいるが、大袈裟な印象はない。好みです。ロシアは革命前夜!

  • シローキイ

    出だしから怒涛の勢いを以って流れる激流のような詩。初期の長編詩なのでまだ少年らしい感傷が残った感じがある。特にマリアに対する彼のいじらしい懇願は、神をリアリズムの元愛したい。架空の存在として恭しく讃美するのではく、一人の女人として生々しく。マヤコフスキーの攻撃的なするどい比喩には衝撃と胸騒ぎを覚えた。こんな文章はマヤコフスキーにしか創れないし、操れない。そして読者は自然と読み返したくなるだろう。たとえ理解しがたいと思えど。

レビューをもっと見る

(外部サイト)に移動します

Recommend Items