ポール・ハーディング

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ティンカーズ Ex Libris

ポール・ハーディング

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784560090213
ISBN 10 : 4560090211
Format
Books
Publisher
Release Date
April/2012
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

退職後、時計修理を営んできた80歳のジョージ・ワシントン・クロスビーは、死の床で、自宅がばらばらに崩壊する白昼夢を見る。記憶や思い出の数々が脳裏に浮かんでは消えていくなか、鮮明に思い出したのは、11歳のとき、貧しい行商人だった父ハワードが、クリスマスイヴの夕食の準備のさなかに癲癇の発作におそわれた光景だった。ジョージは父が頭を床に打ちつけないようおさえつけていた指を強く噛まれ、それを見た妻キャスリーンは、夫を施設に入れることをひそかに決意する。その計画を知ったハワードは絶望し、いつものように行商に出たまま、二度と戻ることはなかった。病を苦にし、家を出た父の意識の流れ、牧師だった祖父のエピソードなど、現代を含むさまざまな時間軸の物語が、18世紀の時計修理手引書からの抜粋や手書きの文章とともに織り上げられていく。死にゆくジョージが最後に思い出した光景とは…驚異の新人による奇跡のデビュー作。2010年度ピュリツァー賞受賞作。

【著者紹介】
ポール・ハーディング : 1967年生まれ。ロックバンドのドラマーとして活動した後、アイオワ大学の創作科課程を修了。ハーヴァード大学の創作科などで講師を務めるかたわら執筆した『ティンカーズ』が、ニューヨーク大学医学部付属の新興出版社ベルビュー・プレスより2009年に刊行されてデビュー。2010年度ピュリツァー賞フィクション部門を受賞し、一躍その名を知られるようになる。ボストン近郊在住

小竹由美子 : 1954年東京生まれ。早稲田大学法学部卒業。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • ケイ

    少年は父を畏怖し、逃れようとし、大きな手に救われる。誰もがいずれは迎える死を見据え、祖父から父へ息子へ孫へと引き渡されてく何かや、家長制度、芯の据わった母、年老いた家族の看取りなど、今の世界からは失われかけているものだからだろうか、読み手の琴線を震わせる。作者は、ドラマーをやめ、マリリン・ロビンソンの夏期創作コースに参加。埋もれそうだった処女作品は、NY大学医学部の非営利出版が癲癇が描かれていることで出版。ハワードと山の男の触れ合いが、そしてインディアン達が、郷愁をかきたてる。 ピューリッツァー賞受賞作。

  • たま

    『ある一生』(ゼータ−ラー)の訳者あとがきで言及されていて読んだ。シンプルな『ある一生』とは違うタイプの作品だがとても良かった。時計職人ジョージとその父行商人ハワードの意識、誰が書いたか不明のテキスト、18世紀の時計修理テキストなどが併置され、私は苦手かな…と読み始めたが、隠者とハワードの交流に魅せられ一気に引き込まれた。北米の自然、厳しい生活、都市化、機械化、そこで生きた二人の老人の意識がぶつかりあい激しい火花を散らす不思議なすばらしい小説。小竹さんの訳業に脱帽である。2010年ピュリッツァー賞受賞。

  • つちのこ

    ストーリーに集中できずに他ごとを考えてしまうと、更に迷いの深淵から抜け出せなくなる。戻っては同じ行を読み返し進める厄介な読書となった。著者の瞼に浮かぶ心象風景や謎めいた言葉のコラージュがつなぎ合わされていくが、これが終章になるにつれ全体像が見えてくると、時を刻んだ家族の歴史とキーワードである時計の動きが重なっていく。その抜群の構成力の見事さに驚く。死に瀕したジョージの朦朧とした意識のなかに浮かぶのは父の姿ばかりでない。人生の終焉を象徴するぐるぐると回る走馬灯。薄れゆく極彩色の夢の風景を連想してしまった。

  • りつこ

    死の床についている80歳のジョージ、その父ハワード、そして牧師だった祖父。3代にわたる父子の物語を軸に、時計修理の手引書やハワードが書いた文章も織り交ぜられる。とても面白かったのだが、近づいては離れていくような、大きな風景を映し出したあとにミクロの世界に連れて行かれるような、不思議な感覚。特にハーワードの物語がぐっときて何度か涙がこぼれた。エンディングがとても良かった。

  • 藤月はな(灯れ松明の火)

    時計職人、ジョージの最後の8日間を描いた作品。去来するジョージの思い出になぜか、癇癪持ちだった祖父の人生や癇癪を患い、ジョージを傷つけてしまったことで家を出るしかなかった父の放浪の記憶、時計修理の説明書も溶け合う。身近にパーキンソン病の人がいるので家族から介護されるジョージの心境へいつの間にか謝り続けるようになったその人の心境を重ねてしまい、遣る瀬無くなりました。そして最期にジョージが思い出した光景がまた、切なすぎる・・・。やり直せることができる事は僅かだ。それでも大切な記憶は消えることはないと思いたい。

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