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私労働小説 負債の重力にあらがって

Brady Mikako

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784041141427
ISBN 10 : 4041141427
Format
Books
Publisher
Release Date
October/2025
Japan

Content Description

Don‘t Blame Youeself!
セクハラ、パワハラ、カスハラ、人種差別に事なかれ主義やポジティブ教の上司まで。
ジョブには最低なものとの戦い(ワーク)がつきまとう。
ホールスタッフ、激安量販店の店員、屋敷の掃除人にローンの督促人etc.
「底辺託児所」の保育士となるまでに経た数々のシット・ジョブを軸に描く、自伝的小説にして魂の階級闘争。

「あたしたちは負債の重力に引きずられて生きている。」
だが、負債を返済するために生き続けたら人間は正気を失ってしまう。シット・ジョブ(くそみたいに報われない仕事)。
店員やケアワーカーなどの「当事者」が自分たちの仕事を自虐的に指す言葉だ。
他者のケアを担う者ほど低く扱われ、「自己肯定感を持とう」と責任転嫁までされる社会。自らを罰する必要などないのに。
働き、相手に触れ、繋がる。その掌から知恵は芽吹き、人は生まれ直し、灰色の世界は色づく。
数多のシット・ジョブを経た著者が自分を発見し、取り戻していった「私労働」の日々を時に熱く、時に切なく綴る連作短編集。

みんな誰かに負債を返すために生きている。それこそが、闇だ
■面倒を避け続ける職場では、いいことは悪いことになり、悪いことがいいことになる。
■上から目線の人々は、あまりに視線の位置が高すぎて、その位置から下の人間の姿が見えてない。だけど、なんとなく下のほうに人がいる気配がするので、とりあえず声はかけておくが、相手の姿は見えないし声も聞こえないのだ。
■嫌と言えない理由があるから貸すのであり、返さなくてもいいという暗黙の了解もあるのだ。こういう特殊な取り決めが成り立つ関係を、家族と呼ぶのだろうか。

【著者紹介】
ブレイディみかこ : ライター・作家。1965年、福岡県福岡市生まれ。96年から英国ブライトン在住。日系企業勤務後、保育士資格を取得し、「底辺託児所」で働きながらライターとなる。2017年、『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』(みすず書房)で第16回新潮ドキュメント賞を受賞。19年、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社、のち新潮文庫)で第73回毎日出版文化賞特別賞、第2回Yahoo!ニュース|本屋大賞 ノンフィクション本大賞、第7回ブクログ大賞(エッセイ・ノンフィクション部門)などを受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • シャコタンブルー

    六話の葛藤と静かな闘争の自伝的小説だった。水商売、スーパー、レストラン、掃除人等が登場するが誰もが何かの重荷を背負っている。労働と負債返済道徳という支配に囚われながら生活している。金銭との見返りで自分自身をがんじがらめにして苦しんでいるようにも思える。権利と主張はするが諦めも混ざっている。あの時代の英国、アイルランドで搾取されていた従業員のため息や嘲りが鮮やかに伝わってきた。「店長はサクセスお化け」が印象に残った。嫌な客に対して見事な機転でやり返した福店長に拍手喝采。

  • 読特

    勤め先のスナックのママにストーカーされる。万引きを捕まえて叱られる。皿洗いで雇われたのに、チャイナドレスを着て受付に立たされる。邸宅の清掃バイトをして、”見るな”とメモされていたものを目にする。量販店で列に割り込んできた男をのらりくらりと時間をかけてあしらう。借金取り立ての電話をして、盾にされた子供を相手に、自らの幼少時代を回想する。…末端に追いやられ、給仕するだけの側に回り、観察し、呆れながら、自らの身の上を受け入れる。稼ぐのは、富を築くためではなく、負債の重さにあらがうため。人々は今日も暮らしている。

  • ズー

    みかこさんの保育士時代の話は他の著作で読んで知っていたが、それ以外の仕事の話はおそらく初めて。どの経験もしっかりとした観察力と感受性のおかげで、知り得ない情報や気づきを、ひどい状況でも、みかこさん節でどこか笑い飛ばすように読むことができる。昔から強い方だったんだなぁと読むほどに思う。あと、その時のスーパーの店員たちの「正しい」と思うことに対しての団結力とか、気持ちいいものがあって、それは日本にはないもので羨ましく思うなどした。最後の話はみかこさんの幼少期を考えるとより耐え難い状況だったんだろうなぁと思う。

  • 本の蟲

    英国で息子が通う底辺中学と、その周辺環境をシニカルな目線で描いた『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』作者の自伝的労働小説。今まで渡り歩いてきた、無数のハラスメントが横行する国内外のシット・ジョブ(底辺職)。六本木のスナック、英国のスーパーや激安量販店、似非アジアン料理店、ローンの督促等。どれもブラックユーモアと悲惨の境界を行き来するような語りで「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見れば喜劇である」の言葉を思い出す。特に順番は関係ないだろうが、労働小説二作目らしいので、一作目も手に取る予定

  • りょう

    私労働小説の2冊目。いろんな仕事をしてきた彼女のあれこれなんだけど、これを読んでいると正しいことっていうのは1つでもなく、1つもないこともありうる、正しさなんて相対的なものになってるんじゃないか、と思ってくる。となると、何を指針に生きていったらいいのか、ますますわからなくなる。

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