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三つの物語 光文社古典新訳文庫

フローベール

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784334753856
ISBN 10 : 433475385X
Format
Books
Publisher
Release Date
October/2018
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

無学な召使いの人生を、寄り添うように描いた「素朴なひと」、城主の息子で、血に飢えた狩りの名手ジュリアンの数奇な運命を綴った「聖ジュリアン伝」、サロメの伝説を下敷きに、ユダヤの王宮で繰り広げられる騒動を描く「ヘロディアス」。透徹した文体からイメージが湧き立つような短篇集。

【著者紹介】
ギュスターヴ・フローベール : 1821‐1880。フランスの小説家。ルーアンで外科医の息子として生まれる。大学でははじめ法律を学ぶが性に合わず、創作活動に向かう。1857年、4年半をかけて書き上げた処女作『ボヴァリー夫人』が、訴訟事件が起きたという宣伝効果もあってか大ベストセラーになり、作家としての地位を確立した。1880年、自宅で死去

谷口亜沙子 : 1977年生まれ。早稲田大学文学学術院博士課程フランス文学専攻単位取得退学。パリ第7大学文学博士。博士論文の主題はミシェル・レリス。現在、明治大学文学部仏文科准教授。専門は「詩(ポエジー)」を中心とした近現代のフランス文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • やいっち

    「無学な召使いの人生を、寄り添うように描いた「素朴なひと」」は、傑作。推敲を重ね、過度の思い入れを排した叙述……なのにフェリシテの人間像がじんわり。「城主の息子で、血に飢えた狩りの名手ジュリアンの数奇な運命を綴った「聖ジュリアン伝」」は、ありきたりに感じられた。聖人になってからの事蹟を描いてないからか。「サロメの伝説を下敷きに、ユダヤの王宮で繰り広げられる騒動を描く「ヘロディアス」」は、旧約聖書の錯綜する部族や国の歴史が我輩には把握できず退屈だった。訳者による詳しい解説を読んでからも。

  • nobi

    懐かしい映画を観るような「素朴なひと」。血しぶき上がるコマが連続する劇画風「聖ジュリアン伝」。名優揃いの演劇「ヘロディアス」。三つの物語が違った角度から心を揺さぶってくる。一:忠実な召使いフェリシテの度重なる不条理な悲哀と名前の字義通りの至福。二:業(ごう)の深さが繰り出すシーンの急迫と寂寞そして悔悛。三:洗礼者の激しい言葉と対照的な蠱惑的な舞。後者二つの激しい世界に対峙するかのような最初の素朴さの超然とした世界。時代も土地も境遇も異なるのに登場人物達と情景が立ち現れて深奥の記憶が呼び覚まされるかのよう。

  • NAO

    『素朴なひと』愛するもの全力を注ぐフェリシテは、彼女が無学であるがゆえに、一層その純粋さを際立たせている。彼女の愛情は一見空回りしているように見えるが、それはつまり、彼女に何の打算もなくその愛情が無償のものであるということを示していることにもなるのではないだろうか。『聖ジュリアン伝』運命に翻弄されそこから逃れることのできなかったジュリアンはオイディプス王を思わせる。『ヘロディアス』サロメ伝説をサロメの母ヘロディアス側から描いた作品。三作品とも、登場人物の繊細な心理描写が素晴らしい。

  • 星落秋風五丈原

    『ヘロディアスHérodias』はヘロデ王の妻の名前だ。本編は音楽に詳しい人なら歌劇『七つのヴェールの踊り』で知っている新約聖書のエピソードだ。但しこの件は、新約聖書ではイエスの布教活動が始まる前触れでしかない。そのため、堂々の主役イエスや、後にイエスを処刑する総督ピラトは脇役ですらなく、話に出てくる程度だ。 ヘロデ王は洗礼者ヨハネを牢獄に入れていたが処刑する決断が下せない。妻ヘロディアスは非難されている当事者の一人なので、ヨハネが忌々しくて仕方がない。身分が高い出自を誇示してまで煽っているが、効果なし。

  • molysk

    中編「ヘロディアス」。踊りの褒美に洗礼者ヨハネの首を望んだのは、少女サロメの悪魔的な純真さ。こう描いたのはオスカー・ワイルド。本作は、母ヘロディアスがサロメを唆したという、福音書に近い視点。夫の領主アンティパス、支配者ローマの総督、宗派や民族の代表者らで混乱するユダヤの王宮を、娘の踊りで幻惑して、自らの願望を果たしてしまう。冷徹で果断なるヘロディアス。一方で、その俗な行動が、ヨハネの衰え、イエスの栄えという聖なる結末をもたらした。キリスト教という主題は、他の2編「素朴なひと」「聖ジュリアン伝」と通底する。

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