Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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• ヘラジカ

  読了日：2020/06/12

  スペイン文学。掌編のように短いエピソードで構成された幻想的な作品。廃村に住み着いた男が、そこへ死にに来た者たちにとっての冥界への渡し守となる。廃墟と自殺者という暗いイメージが結合しても陰鬱さがないのは、あとがきで書かれている通り、「パライソ・アルト」自体が既にして現世からはみ出した辺獄(リンボ)だからか。ユニークな自殺者たちと語り手の超然とした会話は、あっけらかんとしていて奇妙に爽やか。整然としてはいるものの、確かにルルフォの『ペドロ・パラモ』の雰囲気を思い起こす。死生観をぼかされる不思議な体験だった。

• キムチ

  読了日：2020/08/29

  昔【暁烏敏】の伝記〜「地獄は一定すみかぞかし」石和鷹を読んだ時と同じ感覚・・だったがこちらの方が遥かに陽気、明るく愉しい。「今のおいらは踊る影になった・・但し同性の相手と抱き合うのは苦手」なんてね。パライソ・アルトを訪れる人と最後の語りをする。そこは地上のどこよりも素晴らしい夕焼けが観られる〜なんて素敵🎵表題から想像していた情景はムリーリョ「無原罪の御宿り」日本を離れてスペインでの幻想は内在する枠から幽体させ、遊ばせてくれる・・死の世界すらも。この堕天使、女の子の手を引き股間に導く生臭さもあるんだ💕

• ケロリーヌ＠ベルばら同盟

  読了日：2020/12/11

  【第170回海外作品読書会・積読本消化】パライソ・アルト。損なわれることのない悠久の時間がながれる天空のパラダイス。この神の道から遠く隔たった廃墟の村に、ある目的を持って巡礼者のようにやって来る人びとを迎えるのは、黒いスーツにオリーブ色の帽子を被った“天使“。求めがあれば、歌い、踊り、打ち明け話の相手をし、速やかな目的遂行の手伝いもする。現と幻のあわい、グロテスクで詩的な、鮮烈でいて不思議に儚げな味わいの物語。

• 星落秋風五丈原

  読了日：2020/07/09

  人生を諦めた人にしか用がないと言われる廃墟パライソ・アルトには、さまざまな人がやってくる。逆立ちで現れたうなじにコウモリのタトゥーがある少女、車に積んだ札束を燃やしたいという大物銀行家、横笛を吹きながら現れ、質問にも横笛で答える男。廃墟に住む案山子のような「天使」は彼らの話に耳を傾け、向こう側への旅立ちを見送る。

• あさうみ

  読了日：2020/06/15

  生者と死者の狭間の地で生活する天使の話。不思議だ…来る人来る人、頭のネジが抜けてて、こいつら一癖二癖あるな…と思ったら世話役の天使が負けてなかった！（笑）ゴーイングマイウェイ！面白おかしくて、読み終わると憑き物がなくなり、肩の荷が軽くなった気分になれる。

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