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遊戯の終わり 岩波文庫

フリオ・コルタサル

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784003279021
ISBN 10 : 4003279026
Format
Books
Publisher
Release Date
June/2012
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

肘掛け椅子に座って小説を読んでいる男が、ナイフを手にした小説中のもう一人の男に背後を襲われる「続いている公園」、意識だけが山椒魚に乗り移ってしまった男の変身譚「山椒魚」など、崩壊する日常世界を、意識下に潜む狂気と正気、夢と覚醒の不気味な緊張のうちに描きだす傑作短篇小説集。短篇の名手コルタサルの、夢と狂気の幻想譚。

目次 : 1 (続いている公園/ 誰も悪くはない/ 河/ 殺虫剤/ いまいましいドア/ バッカスの巫女たち)/ 2 (キクラデス諸島の偶像/ 黄色い花/ 夕食会/ 楽団/ 旧友/ 動機/ 牡牛)/ 3 (水底譚/ 昼食のあと/ 山椒魚/ 夜、あおむけにされて/ 遊戯の終わり)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • buchipanda3

    「きっと夢でもみたんでしょう」。短篇集。コルタサルの洗練された硬質な語りが良い。読み進めると見知らぬ人の夢の中の遊戯に弄ばれているような感覚を持った。でもそれはふざけているのではなく、人が意識の奥に抱える不安(自己の存在や死などへの)が内から外へ零れ落ちて妄想となったもので、それを描写することでままならぬ現実の世界を藻掻きながら受け入れようとしていると思えた。荘子の胡蝶の夢を想起させる話があるなど哲学的な味わいもある。表題作など子供の内面を綴った話では、現実と自分の心の擦り合わせの揺らぎが印象深かった。

  • HANA

    読んでいるうちに何が現実で何が幻想かわからなくなってくるような作品が素敵。今まで読んだこの手の幻想小説といえば、幻想が現実を侵犯してくるのが多かったが、これは最後のシーンで一気にそれが反転させられる感じ。「河」とか「キクラデス諸島の偶像」が特に顕著で実にいい。結局(あの子)が何だったのかはっきりしないまま終わる「昼食のあと」、楽団の奇妙な鑑賞会「バッカスの巫女たち」、いつの間にか立場が入れ替わっているのが上手い「山椒魚」も実に自分好みだった。世界がひっくり返る様、十分堪能できた。

  • touch.0324

    甘美な香りを放つ書き出しの一文にふらふらと吸い寄せられて物語のドアを開けると、暗く静かな部屋に誘われる。ドアの隙間から射すわずかな光を頼りに部屋の様子を探ってみると、どうやらそれほど広くはなく、凝った作りでもないらしい。テーブルの上の装身具が目を引いた。細部を確認しようと手に取り、埃を払い、あらゆる角度から窺う。そうしている内にドアから注意が逸れる。蝶つがいの擦れる甲高い音に合わせて光はドアの方へと飲み込まれ、金属のラッチが噛み合う音を最後に物語のドアは閉じる。感情のわだかまりは、光と音の残滓だ。

  • chanvesa

    「続いている公園」には、巻頭から驚かされる。本の中の男と女のどちらが読み手を襲撃してきたのだろうか。もしかしたら女の可能性もある。あまりにインパクトが大きくて、私にとっては後の小説は分が悪い。他には「殺虫剤」が好き。アリ退治といっても南米のアリは強力なイメージがあるので、この少年の少年ならではの狭い世界の不完全さと、アリ退治の方法の「抜け穴」みたいのが重なってくる。

  • 藤月はな(灯れ松明の火)

    いつもは岩波文庫は大学図書館から借りているのですがなかなか、届かずに遂に名古屋市の図書館から予約して借りました。文庫が入ってくるまで最低でも2か月なんて待ってられっか!(苦笑)暴力に内包された死と性、ラテンアメリカ特有のマチョの概念、終わらない静かな狂気と唐突に訪れる死の落差、因果関係に関係がない破綻が描かれているため、乾いていながら心の片隅に残る不安が消えない短篇集。コルタサルの物語は、読むとだんだん、現実をも侵食していくような予感すらも感じられるほど生々しくも突き放した印象を抱きます。

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