フラン・オブライエン

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第三の警官 白水uブックス

フラン・オブライエン

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784560071885
ISBN 10 : 4560071888
Format
Books
Publisher
Release Date
December/2013
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

あの老人を殺したのはぼくなのです―出版資金ほしさに雇人と共謀して金持の老人を殺害した主人公は、いつしか三人の警官が管轄し、自転車人間の住む奇妙な世界に迷い込んでしまう。20世紀文学の前衛的方法、神話とノンセンス、アイルランド的幻想が渾然となった奇想小説。

【著者紹介】
フラン・オブライエン : 1911年、アイルランドのディロウン州で生まれる。本名ブライアン・オノーラン。ダブリンのユニヴァーシティ・カレッジを卒業後、公務員として働きながら完成した長篇『スウィム・トゥー・バーズにて』(1939)はベケット、ジョイスらに高く評価された。しかし、第二作『第三の警官』は出版社に拒否され公表を断念。マイルズ・ナ・ゴパリーン名義の新聞コラムで長年にわたって人気を博す。1966年のエイプリル・フールに死去。翌年、『第三の警官』が出版されると、20世紀小説の前衛的方法とアイルランド的奇想が結びついた傑作として絶賛を浴びた

大沢正佳 : 1928年生まれ。中央大学名誉教授。英文学・アイルランド文学者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • ケイ

    同作者の『スイム・トゥ・バース』が苦手だったが、この作品は最初からつかみが上手い。独白なのか、自白させられているのか。作中のそこかしこで引用される「ド・セルビイ」の話の理解に気を取られ、全体を流れる不可思議さに目を向けていなかったことに終盤で気付く。そして、全てがわかったときに感じる怖さ。やられたなあと思う。もう一回ページを捲らされる。解説者の言葉『ジョイスは大陸に去り、ベケットはその後を追った。そしてオブライエンは踏みとどまった数少ないアイルランド作家の一人である』アイルランドとは?と考えてしまった。

  • まふ

    アイルランドのジョイス、ベケットの系譜に連なる幻想的・超現実的世界の作品。一読、不思議な世界に取り込まれる。金持ちのメザース老人を金銭目的で撲殺した「わたし」の前に三人の警官が現れる(ただし3人目のフォックスは姿を現さない)。警官たちとのやり取りの中でわたしは死刑の判決を受ける。が、そこを逃げ出して自分の家に戻ると家の壁の中に自分の警察署を持つフォックスと出会う…。⇒

  • コットン

    老人を殺した僕が名前を忘れ警察へ。警察では時計を盗まれたと言うが警察は何故か自転車又は自転車関連部品の盗難と考えられてしまう。そして『ド・セルビィ理論』なるものも時折物語の注釈に入り込み……といった感じで進んでいくドライなカフカ的物語が展開し、具体的だけれどたどり着く先が見えない幻想譚。

  • NAO

    場面が切り替わったところで察しがつくが、語り手は死んでいる。名前を無くすとは存在していないということで、語り手は死後の世界にいるのだ。語り手は三人の警官に出会うだが、そこで語り手が出会った三人の警官はなんとも風変わりで、中でも第三の警官は話に出てくるだけでなかなか登場しない曲者だ。アイルランドには、死者が再生するという伝説があり、この作品はそういったアイルランド的な要素を取り入れているが、何しろジョイスの『フェネガンス・ウェイク』を意識しているということで、突飛な世界観と言葉遊び的な表現に戸惑わされる。

  • HANA

    凄いな、これ。どこを取っても奇想に満ち溢れているよ。一見したところ一人の男のロードノベルなのだが、深刻な様子は全然無く全編を奇っ怪な論理や法則が支配していて始終ニヤニヤさせられっぱなしだった。原子論による人間と自転車の関係とか、自転車に拘る警官だとか、こういう変わった論理大好きなので、個人的には読みながら大喜び。とはいえ進むにつれて物語は不気味な様相を呈してきて、ラストでそれは頂点に。思わず途中と照らし合わせてしまいました。後、あとがきに重大なネタバレがあるので、今から読む人は注意してもらいたいです。

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