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造形思考 上 ちくま学芸文庫

パウル・クレー

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784480096012
ISBN 10 : 4480096019
Format
Books
Publisher
Release Date
May/2016
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

クレーの遺した膨大なスケッチ、草稿のなかからバウハウス時代のものを集成。独創的な作品はいかにして生まれたのか、その全容を明らかにする。

【著者紹介】
パウル・クレ- : 1879‐1940年。スイス生まれ。1898年にドイツのミュンヘンに出ると、以後ヨーロッパ各地を遍歴しつつ美術の研鑽を積む。第一次世界大戦での動員を経て、1921年から約10年間バウハウスに奉職。退職後にナチスが台頭すると祖国スイスに亡命し、晩年まで制作活動を続けた。作風は独自なもので、美術界のみならず多方面に影響を与えた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • みつ

    キュビズム、フォービズム、シュールレアリスムなど20世紀絵画の潮流から離れた地点で、独自の芸術を追求したパウル・クレー。本書1920年代にバウハウスに招聘された際の講義録をまとめたものの上巻。言葉だけでは抽象度が高く難解ではあるが、作品とともに語られると、点から線、さらに面、立体へと次元を高め、また明暗と色彩が加わることで作品が完成していく考察が、具体性をもって語られる。図版は多いが色彩を伴う作品であってもモノクロで示されるのは、やはり残念。下巻では色彩が中心となるようなので、カラー図版への期待も大。

  • nbhd

    書いてあることがよくわからない、もしかすると、「文字を読む」よりもこの本に載っている大量の「スケッチを描き写す」ほうが、よっぽどいろいろわかるかもしれない、とも思う。いびつな画家パウル・クレーの講義まとめ。クレーの絵が、理論的に構成されているということはわかるのだけれど、その理論っていうのは、常人には理解できるようなものでもなくて、言っちゃえばじっさい本人にしかわからないようなものだなぁっていうのがソボクな感想。「コントラスト」とか「運動」っていうキーワードもだんだん浮かぶけど、腑に落ちない、むむむ。

  • またの名

    意味不明な抽象画の背景には実に緻密でロジカルな考究があったことを気づかせる草稿群。上に対するものとして下を語れるように概念は必ず反対概念とペアを作り両項は流動的な運動にすぎないと断りつつ、世界を部分的に切り取っただけの静力学の観点に縛られた不自由な人間空間から解放され、運動生成する宇宙全体を捉える動力学へ羽ばたこうと試みる。直観や運動生成を讃える芸術志向の系列に自らを位置づけながらも、「全体をできれば一挙に論じたいのであるが、それができないから…やむをえず分析的方法に甘んじ」ているとは思えない見事な分析。

  • やいっち

    彼なりに、懸命に造型理論を語っているのだが、小生にはどこか空回りしているように思えてならない。というか、理論の書じゃなく、ある種の詩文、モノローグに感じられてしまうのだ。むろん、自分の理解力、咀嚼力の不足がそういう印象を抱かせるのだろう。でも、クレーが一端、彼の理論(なるもの)によって(かどうか)絵を描き始めると、ほんのちょっとでも、線が刻み始められると、そこには理論(理屈)などを遥かに超えて、絵としての生命が息づきはじめ、どんな理屈よりも雄弁に天使の世界を印象づける。 

  • roughfractus02

    形を造る過程に注目する著者は、自然を再現するのではなく見えるようにすることを造形と呼び、音楽的な比喩を多用しつつキャンバスも点も動態と捉え、静止も一つの動きとして表そうとした。前後、左右、明暗等の2項コードからAでもBでもある、AでもBでもない、AであれBであれという仕方でカオス(白と黒の間の灰色)の動態性を導く本書は、ダイアグラム(図式)的な抽象として絵画を提示する。本書では感覚の具象的な情報処理を通して対象となる以前の中間領域の構成(コンポジション)に絵画を置く。抽象が子供の絵に見えるのはそのためだ。

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